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7. この病気にはどのような治療法がありますか
特発性間質性肺炎に含まれる7つの疾患で治療法は異なります。
特発性肺線維症以外の場合には確定診断がついた時点から治療を開始します。
多くの場合ステロイドを中心とした免疫抑制剤がよく効いて、肺の陰影を含めて呼吸病態が改善するからです。
特発性肺線維症の場合、息切れなどの自覚症状がほとんどない患者さんは、喫煙者であればすぐ禁煙し、病態進行の程度を数ヶ月観察します。
禁煙のみで病態が改善することもあるからです。
進行を認めるようであれば、自覚症状の程度に応じて段階的な治療を行います。
咳を抑える対症療法も日常生活を改善しますが、間質性肺炎本体の治療ではありません。最近では抗酸化作用をもつ薬剤の吸入量、抗線維化作用の薬剤、ステロイドとある種の免疫抑制剤などの併用など、我国独自の様々な治療法が確立されてきました。
特に特発性肺線維症患者さんを対象とした始めての抗線維化剤は日本で初めて治療薬として認可を受け、世界的にも注目を集めています。
従来に比べ長期のステロイドや免疫抑制剤による副作用に対する対処も改善している傾向はありますが、それでも風邪の予防、禁煙、体重制限、規則正しい生活など、患者さん自身の日常生活の管理も重要です。
病気が進行し呼吸で酸素を十分取り組めない場合には、在宅酸素療法といって日常生活で酸素を吸入する治療法が行われ、必要であれば呼吸リハビリも行われます。さらに肺病変の影響で心臓の負担が増加している場合にはその治療もあわせて行います。
また、若いながら呼吸機能の改善が期待できない場合には、一定の厳しい基準を満たすことを確認されたうえで、脳死肺移植の適応も検討されます。
このような様々な新しい治療方針が試みられている一方で、特発性肺線維症のような進行する肺線維化疾患はまだまだ難治性であり、治療が困難であるのが現状です。
病期の早い軽症の段階から、間質性肺炎の専門施設で治療方針を検討してもらうことも含めて、主治医の先生によく相談することも必要でしょう。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
難治性進行性肺線維症としても知られる特発性肺線維症や、線維化傾向の強い線維性非特異性間質性肺炎は、ステロイドや免疫抑制剤による強力な治療によっても治療効果が十分ではなく、自覚症状を感じてから3~5年くらいで呼吸ができなくなることがあります。
また、風邪の様な症状のあと数日内に急激に呼吸困難となる急性増悪が死期を早めることがあります。
そのほかの非特異性間質性肺炎や器質化肺炎は一般に治療に良く反応しますが、中には軽快増悪を繰り返し、徐々に悪化していく場合もあります。
特発性間質性肺炎と診断された後に膠原病などの原因疾患が明らかになることがあります。
また特発性間質性肺炎などの間質性肺炎では肺がんを合併する頻度が高いことが知られ、病状が安定していても定期的な検査を受けることが必要です。