・血管 [編集]
血管病変を合併する場合には、全身にくまなく留意しなければならない。
レイノー現象は膠原病でよくみられる両側性の手指の虚血を示唆している。
心臓では狭心症・心筋梗塞、肺では肺高血圧症、腎臓では糸球体硬化症、脳では脳梗塞が起こりうる。
これらにより関節リウマチ患者の生命予後は、一般の日本人と比べて悪い。[4]
眼 [編集]
関節リウマチ患者にはシェーグレン症候群が合併しやすく、乾燥性角結膜炎によるドライアイもよく見られ、目の内側にリウマトイド結節が生じることもある(関節リウマチ患者の20%程度がシェーグレン症候群を合併するといわれている)。上強膜炎や強膜炎が見られることがあるが、強膜炎を発症している場合は通常その他の関節外症状も合併していることが多く、血管炎の一症状である可能性があり、悪性関節リウマチの診断を念頭におかねばならない(悪性関節リウマチは公費負担対象の特定疾患である)。
呼吸器 [編集]
間質性肺炎、気道病変、胸膜病変、リウマチ結節、血管病変、睡眠時無呼吸症候群(顎関節病変、輪状披裂関節病変)などを合併することがある。その病型は様々であるが、原因としては関節リウマチそのものによる合併症(リウマチ肺と呼ばれる)、感染症(特に肺結核・ニューモシスチス肺炎)、治療薬(特にメソトレキセート)による副作用など多岐にわたる。
心臓 [編集]
心臓超音波検査を行うと心嚢液の貯留を認めるが、これは関節リウマチによる心膜炎の所見である。心臓にリウマトイド結節を生じることもある。
消化管 [編集]
関節リウマチ自体は消化管をおかさないが、慢性の炎症によりAAアミロイドーシスが生じることがある。
また、リウマトイド血管炎による虚血性腸炎はおこる可能性はある。いっぽう、非ステロイド系抗炎症鎮痛薬よる胃潰瘍は比較的よく起こる。
またメソトレキセートによる消化管の新陳代謝阻害により消化管出血を来すこともある。
関節リウマチ患者は上部消化管内視鏡を定期的に受けた方が良い。
腎臓 [編集]
関節リウマチ自体は腎臓をおかさないが、合併するシェーグレン症候群、ステロイドおよび非ステロイド性消炎鎮痛薬による間質性腎炎や金製剤・d-ペニシラミン、AAアミロイドーシスによる糸球体病変(膜性腎症が多い)がおこりうる。ブシラミン(リマチル®)はしばしば蛋白尿をおこすため検尿が行われる。
神経 [編集]
関節リウマチに伴い血管炎が生ずれば、それに伴い多発単神経炎が起こる事がある。
皮膚 [編集]
圧のかかる部位に、リウマチ結節と呼ばれる病変がみられることがある。皮下出血などもみられる。
血液 [編集]
重症の関節リウマチ患者においては、脾腫、白血球(好中球のみ)減少をきたし、フェルティ症候群と呼ばれる病態を呈することがある。
検査 [編集]
血液検査 [編集]
白血球増加、血小板増加、等の炎症所見が見られ、中でも特にC反応性蛋白(CRP)上昇、赤血球沈降速度亢進は活動性の指標となる。
リウマトイド因子(リウマチ因子、RF、RAテスト、RAHA、RAPA)は陽性であることがほとんどだが、関節リウマチがなくても陽性となるし、だれでも高齢となるにつれて陽性の頻度は高くなるからこれをもって診断を確定することは出来ない。また、活動性とは関連しないから経時的に測定することに意味はない。
リウマトイド因子高値自体は重症の関節リウマチであることを示唆すると一般に言われているが、証明されたわけではない。
より確実に診断につながる「抗CCP抗体」が、欧米では「リウマトイド因子」と組み合わせて用いられている。
CA-RF(抗ガラクトース欠損IgG抗体)、IgG型リウマチ因子などもよく用いられてきている。関節破壊の指標としては「MMP-3」が用いられる。
リウマトイド血管炎を発症すれば補体が低下する。フェルティ症候群を発症すれば、白血球その他の血球が減少する。