wikipediaより
関節リウマチ(かんせつりうまち、Rheumatoid Arthritis:RA)は、自己の免疫が主に手足の関節を侵し、これにより関節痛、関節の変形が生じる代表的な膠原病の一つで、炎症性自己免疫疾患。
しばしば血管、心臓、肺、皮膚、筋肉といった全身臓器にも障害が及ぶ。
名称 [編集]
以前は、「慢性関節リウマチ」と呼ばれ、第6回日本リウマチ学会総会(1962年)において「Rheumatoid Arthritis」の日本語訳が「慢性関節リウマチ」に決定されたが、「Rheumatoid Arthritis」という学名には「慢性」という語は一切含まれておらず、実際急性発症する例もあるため、これは完全な誤訳であるとする意見が多くあり、第46回日本リウマチ学会総会(2002年)において「関節リウマチ」を正式名称とする声明が発表された[1]。
これに伴い、2006年、厚生労働省による特定疾患の名称も「関節リウマチ」に変更された[2]。
病因 [編集]
Mycoplasma fermentansは、GGPL-III抗原の研究から、RAの原因のひとつと推察されている[3]。
ビオチン欠乏が一部の膠原病群の原因といわれている、ビオチン(「ビオチン欠乏により発症する病」の節)参照のこと
臨床像 [編集]
関節炎 [編集]
関節リウマチ患者の手関節炎という言葉がわかりやすいので用いたが、実際に関節リウマチ患者におこるのは、関節の中でも特に滑膜がおかされ増殖する「滑膜炎」である。
関節リウマチの患者は女性が多い。
初期には「朝のこわばり(morning stiffness)」と呼ばれる症状が出現する。朝起きてから、手をにぎることが困難であり、文字通りこわばっている。こわばりは、日によって違う場合がありひどい時で何も握れないなど症状はまばらである。5-10分程度のこわばりは他の疾患でも診られるが、1時間以上も続くこわばりであれば関節リウマチまたは他のリウマチ性疾患の可能性が高い。
朝のこわばりのため、朝食の準備ができなくなる、シャツの釦を留められないなど生活に支障を来すことになる。昼頃にはたいてい改善している。
また、症状の持続時間は関節リウマチそのものの活動性と関連している。すなわち1時間続く「朝のこわばり」より2時間続く「朝のこわばり」の患者の方が、関節リウマチが今まさに関節を破壊する強さが強い可能性がある。
また、夜にもこわばりがあるというが関節リウマチとの因果関係は不明である。
しかしながら万が一ということも考え医者の診察をしたほうが良いとされる。
ただ夜のこわばりは、朝起床時と同様に体が休まっているなど条件が同じなためリウマチに大きく関係するとの論説もある。
そのうち、関節痛がおこるようになる。初期には手の指の関節(特に近位指節間関節)、また足の指の関節がおかされる。
次第に手首、肘、膝など体の中心に近い大きな関節の痛みを感じるようになる。
関節痛は、手を動かすなど活動すると増強する。
そのため、強い関節炎があるとき、患者は自然とその関節を動かさないようにする傾向がある。
このような典型的な関節炎の症状のほか、関節リウマチは慢性に続く炎症であるため、全身倦怠感や易疲労感を持つ。
関節炎が進行すると、関節そのものが変性してゆく。
関節にある滑膜細胞の増殖(パンヌス)、軟骨の破壊と骨にはびらんが生じる。最終的には関節という構造物が破壊し尽くされ、骨と骨が直接接した強直という状態になる。
こうなるともはや関節を動かすことは出来ない。
そのかわり、炎症も終息し痛みは感じない(炎症が起こる場であった滑膜が、完全に破壊され消失してしまったからである)。
また、逆に関節が破壊された結果だらんだらんになることもあり、この場合ムチランス破壊と呼ばれる状態であるが強直よりもずっと頻度は低い。
指の骨が強直すると、最終的にスワンネック変形あるいはボタン穴変形といわれる典型的な関節リウマチ患者の手の形を呈する。
尺側偏位もリウマチ患者によく見られる指が全て外側(尺骨側)を向く変形であるが、これは関節の脱臼が原因である。
指の変形において、DIPのみが変形を来たす場合は、ヘバーデン結節や乾癬性関節炎を念頭において、鑑別診断を下す。
また、筋肉と骨とをつなぐ腱の周囲に炎症がおよぶなどして腱断裂が生じることがある。
これは突然発症し、無痛性である。腱が無くなれば、まさにそれに連続する筋肉を動かすことが出来なくなる。
手足の関節の他では、胸・腰の背骨はおかされないが首の背骨(頚椎)はおかされやすい。
頚部痛を生じるか、または頚椎が亜脱臼し脊髄損傷を来す。
又、鎖骨には両端に関節がついており他の関節と同じように関節痛が起こる事もある。