合併症 [編集]
クローン病は消化管以外にも、以下のような多彩な臨床像を伴うことが多い。
関節症状:関節痛・関節炎(約40%)
皮膚症状:結節性紅斑・壊疽性膿皮症・Sweet病
眼症状:虹彩炎
原発性硬化性胆管炎
検査 [編集]
血液検査 [編集]
CRP・赤沈が活動性に相関する検査として用いられる。また、アルブミンや総蛋白からは栄養状態を評価する。
内視鏡検査 [編集]
クローン病では以下の内視鏡所見が特徴とされる。基本的に大腸内視鏡の他に上部消化管内視鏡検査も含めた全消化管検索が行われる。
非連続性病変
敷石像
縦走潰瘍
多発性アフタ:自覚症状のあるものとして口腔内アフタが多く見られる
狭窄病変・裂溝・瘻孔病変
竹節状変化:胃の病変においてみられることが多い
消化管造影検査 [編集]
X線検査による消化管造影検査においても、上記の内視鏡所見が認められる。小腸の病変が多いため、小腸の病変検索においては内視鏡検査ではなく、消化管造影検査が多用され有用である。小腸の病変精査に対して小腸内視鏡による検査が施行されることもあるがカプセル内視鏡検査は行われない。
病理 [編集]
クローン病の病理所見としては以下が特徴とされる。
非乾酪性類上皮細胞肉芽腫:微小な肉芽腫が多数形成(ただし組織検査での検出率は多くても50%程度)
消化管粘膜の全層性炎症所見:リンパ球浸潤を多く認める炎症像
裂溝形成:リンパ管に伴う組織欠損像
潰瘍病変:粘膜の潰瘍
診断 [編集]
基本的に臨床像・消化管像(内視鏡所見・消化管造影所見)・病理所見によって診断される。一般的な診断基準として旧厚生省クローン病診断基準が広く用いられている。
治療 [編集]
根治することは無く、緩解状態へ導入・維持することが治療目標である。治療は、栄養療法(食事療法)や薬物療法といった内科的治療が行われ、消化管狭窄・消化管穿孔等に対して外科的治療が行われる。なお日本では食事療法と薬物療法を組み合わせることが多いが、欧米では薬物療法が主体となることが多い。
栄養療法 [編集]
腸管を安静におくことで緩解状態に導入し、炎症が抑えられて症状の改善がみられる。症状が重く消化管からの栄養摂取が行えない場合は、食事制限と併用し高カロリー輸液による栄養補給を行う。食事制限(絶食療法)は、重症例では絶飲食が続くこともあり、しかも緩解維持のためには食事制限は継続的に行わなければならない上に、成分栄養剤を摂取する必要もある。具体的には栄養剤を併用しながら脂質の摂取制限に始まり、肉類の制限や繊維質の食品を避けるように指導される。つまり、抗原性を示さないアミノ酸を主体とする食物と、脂肪量を減らした食物などが中心となる。炎症を起こしにくい食事として一般的には、「低脂肪」、「低残渣」の食事が推奨される。しかし近年では狭窄のない場合に限っては繊維質の制限を行わないこともある。