wikipediaより
結節性多発動脈炎(けっせつせいたはつどうみゃくえん、Polyarteritis nodosa; PNまたはPAN)は全身性の炎症性疾患である。血管炎の一つであるが、中でも最も古くから知られており代表的な疾患である。
概念 [編集]
原因は不明だが、血管に炎症がおこる慢性疾患である。血管は人体の全身に分布しているので、必然的に全身疾患となる。血管炎というものはいずれも特定のサイズの血管のみを傷害することが知られているが、本症は中小動脈を特異的におかす疾患である。
歴史 [編集]
本症の発見の歴史は有名である。19世紀、西洋医学界は死亡例の剖検を行う事によって新たな病気を次々と発見していたが、その中の一つがこの結節性多発動脈炎であった。世界ではじめて内視鏡を行ったことでも有名なアドルフ・クスマウルは1866年、原因不明に死亡した患者を解剖したところ、血管が数珠上にボコボコと結節状に腫れている(動脈瘤を形成している)のを発見したのである。顕微鏡で観察したところこれが炎症性の病変である事が判明し、血管周囲の炎症によって結節ができたことから結節性動脈周囲炎Periarteritis nodosaと名づけた。20世紀に入ると、本症として診断されていたもののうち中小動脈にのみ血管炎をおこすものと細小動脈に血管炎をおこすものに分類できる事が明らかとなり、前者を結節性多発動脈炎、後者を顕微鏡的多発血管炎と称して現在に至る。
疫学 [編集]
ごく最近まで本症と顕微鏡的多発血管炎は混同される事が多かったので正確な情報は得づらいが、ヨーロッパでは100万人あたり数人の頻度であるとの報告がある。いずれにせよきわめてまれな疾患である。通常中年から壮年に発症し、やや男性に多い。
病因 [編集]
不明である。B型肝炎ウイルスやヘアリーセル白血病の関与が示唆されているが、いずれも認めないものも多い。