診断 [編集]
鑑別診断として
変形性頚椎症
HTLV-I関連脊髄症(HTLV-1 associated myeloathy、HAM)
脳・脊髄の腫瘍
脊髄動静脈奇形
ALS以外の運動ニューロン疾患
などを除外せねばならない。ALSと診断された後に他の治療可能な疾患と判明した例が少なくない。このような例では治るはずだった疾患を見過ごすことになるから、他の疾患を除外することは非常に重要である。特に上位ニューロン障害と下位ニューロン障害両方をきたす疾患として、孤発性ALS、家族性ALS以外にライム病やガングリオシドーシスであるHexosamnidase欠損症があるほかの他、筋力低下や筋萎縮が左右非対称に緩徐に進行する疾患として多巣性運動ニューロパチー、封入体筋炎、脊髄進行性筋萎縮症、post polio myelitisなどがあげられる。
身体所見 [編集]
線維束性収縮がある。特に上腕と前胸部の筋肉に認めることが多い。
ただし、線維束性収縮が単独の症状として現れることはなく、必ず他の所見を伴う。
反射の現れかたによって上位ニューロンの障害か下位ニューロンの障害かを見分けられる。初期は反射が亢進し、筋萎縮が進むと低下するという例が多い。特にバビンスキー反射の出現は上位ニューロンの障害を強く示唆する。
徒手筋力検査で筋力の低下を見る。筋萎縮がみられない、もしくは廃用性萎縮がある場合は上位ニューロンの障害が示唆される。早くから高度な筋萎縮がある場合は下位ニューロンの障害が示唆される。
陰性徴候がない。感覚障害・眼球運動障害・膀胱直腸障害・褥瘡の4つはALSの4大陰性徴候と呼ばれ、病初期の診断基準として重要である。ただし、人工呼吸器による延命でさらに病態が進むと、眼球運動障害などが現れることもある。
神経伝導検査 [編集]
伝導の速度と活動電位を調べる。運動線維のみで活動電位が低下し、伝導速度は運動線維・感覚線維ともに正常である。ただし頸椎症を合併して非典型的所見を示すことも多い。
筋電図検査 [編集]
神経の障害が疑わしい部位で、電位の振幅が大きくなり、多相性電位が現れる。
血液検査 [編集]
HAMなら抗HTLV-I抗体が出る。
画像診断 [編集]
脊髄MRIによって脊髄の疾患を除外する。