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サルコイドーシス (Sarcoidosis) とは、原因不明の類上皮非乾酪性肉芽腫を認める疾患である。多発・多臓器にわたることがある。
概念 [編集]
サルコイドーシスは、肺、リンパ節、皮膚、眼、心臓、筋肉など全身諸臓器に[乾酪壊死]を認めない類上皮細胞肉芽腫が形成される全身性の肉芽腫性疾患である。Th1関与の過敏性免疫反応が関与すると考えられているが、1869年本症の皮膚病変が英国の内科医ジョナサン・ユッチンソン(Jonathan Hutchinson)らによって報告されて以来原因はなお不明である。典型的には若年女性に好発し、肺門部リンパ節腫脹および肺野病変、皮膚、関節および眼症状にて初発することが多く、約90%が肺病変を形成するといわれている。
原因に関してはグラム陽性の嫌気性細菌であるアクネ桿菌 (Propionibacterium acnes) が原因とする説もある。一方、どこにでもある種々の環境刺激に対して、免疫反応が起きたとする報告もある。ストレス等が遠因だが、詳細は不明である。
有病率は人口10万人当たり2.2人で、男女別では男性1.7人、女性2.6人と女性に多い病気である。好発年齢は20 - 30代と50 - 60代の2峰性を示す。
病理 [編集]
サルコイドーシスの病理は多彩であるが、リンパ組織や肺に多い肉芽腫性病変、全身性の微小血管炎(ミクロアンギオパチー)が多いとされている。肉芽腫性病変は肺の場合はリンパ管に沿うように間質に分布することが多いが、その癒合性、局在部位、臓器特異性によって様々な形態像をとる。非乾酪性肉芽腫を形成する異物型巨細胞の細胞質に星状小体やShaumann小体がみられることがあるが、本症に特異的ではない(結核、ベリリウム症でも認められる)。肉芽腫性の病変の大部分は自然退縮するが、硝子化として残存したり、少数例では繊維化へ進展する。ミクロアンギオパチーは肉芽腫が血管壁を侵襲し、血管壁の構造破壊によっておこると考えられている。病理学的な検討によると血管壁の肉芽腫の分布は分節的であり外膜から中膜にかけての分布が多いとされている。