誘発筋電図検査 [編集]
筋電計を用いた低頻度の反復神経刺激試験(Harvey-Masland試験)において、漸減現象(waning)がみられる。
血液検査 [編集]
80%の患者の血清から、抗アセチルコリンレセプター抗体が検出される。全身型重症筋無力症における抗アセチルコリンレセプター抗体の特異度は98%と言う高い数値であるので、抗アセチルコリンレセプター陽性かつ臨床的に全身型である場合には診断的価値が極めて高い。ただし筋無力症状が眼筋のみに限局する場合は、陽性率は50%に過ぎない。抗体価は重症度を反映しないが、陽性なら同一患者ではその抗体価は病状の重さを表すことが多い。
診断 [編集]
診断は、抗アセチルコリンレセプター抗体陽性であり、テンシロンテストで陽性であることが一応の目安となるものの、抗アセチルコリンレセプター抗体陰性の重症筋無力症というものも存在する(必ずしも、それらが抗アセチルコリンレセプター抗体由来症例でないとは限らない)。
鑑別 [編集]
薬剤誘発性筋無力症
ペニシラミン、アミノグリコシド系抗生物質、プロカインアミド、ポリミキシンBなどが誘発する。
先天性筋無力症候群
神経筋接合部の構成要素(神経終板・アセチルコリン受容体・コリンエステラーゼ)の遺伝子変異による。最多の型はアセチルコリン(ACh)受容体の変異によるもので、テンシロンテストで症状が増悪する。
ランバート・イートン症候群 (Lambert-Eaton myasthenic syndrome: LEMS)
肺癌(小細胞癌)に合併する抗VGCC (voltage-gated Ca Channel) 抗体による。神経筋接合部でCaチャンネルが作動せずAChを放出できないため、重症筋無力症と似た症状を呈する。筋電計を用いた神経反復刺激試験で漸増現象(waxing)が確認されたり、軽負荷運動の反復により一時的な筋力回復が起こる事が主な特徴。
神経衰弱
甲状腺機能亢進症
ボツリヌス症
進行性外眼筋麻痺
ミトコンドリア脳筋症の一つ。筋生検が診断に必要。
合併症 [編集]
呼吸不全 [編集]
致死的合併症。頻度も高い。特に感染時は、筋無力症状の悪化として起こりやすい。
胸腺肥大 [編集]
胸腺腫や胸腺過形成など、胸腺肥大が70~80%に合併。CTやMRI検査によって発見される。男性患者の32%、女性患者の20%は胸腺腫を持つ。逆に胸腺腫の患者の30%は重症筋無力症を合併する。40歳以上で胸腺が拡大していれば、まず胸腺腫を疑う。
自己免疫疾患 [編集]
他の自己免疫疾患と合併すると、オーバーラップ症候群と呼ばれる。
3~8%に甲状腺機能亢進症がみられる。甲状腺機能の亢進は、筋無力症状を悪化させうる。
時に関節リウマチ・橋本病など、他の自己免疫疾患も合併する。