wikipediaより
重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう、Myasthenia Gravis; MG)とは、狭義には神経伝達物質であるアセチルコリンの筋肉側における受け皿であるニコチン性アセチルコリン受容体に抗アセチルコリン受容体抗体が結合してアセチルコリンによる神経・筋伝達を阻害するために筋肉の易疲労性や脱力が起こる自己免疫疾患である。日本では厚生労働省により特定疾患に指定されている難病である。
なお、広義にはMusk抗体由来症例や原因不明の類似症例等も重症筋無力症に含める場合もある。
分類 [編集]
筋力低下の現れる範囲によって分類する。
成人第I型(眼筋型)
一側または両側の外眼筋のみ侵される。
成人第II型(全身型)
外眼筋・頚筋・四肢筋などが侵される。最も高頻度。球麻痺が現れることもある。
成人第III型(急性激症状)
急激に発症し、広範囲の筋が侵される。呼吸筋も早期に侵されるため死亡率が高い。
成人第IV型(晩期重症型)
I型・II型より約2年の経過で見られる事が多く、III型とほぼ同様の症状を呈する。
成人第V型(筋萎縮型)
II型・III型・IV型の内、廃用性の萎縮ではない筋萎縮を示す物。
新生児一過性型
胎児の時期に、重症筋無力症の母親から胎盤を通じて抗アセチルコリン受容体抗体が移行するため、新生児に一過性に筋無力症状が生じたもの。
疫学 [編集]
有病率は10万人に4~5人、男女比は1:2。発症は10歳以下、女性30~40歳代、男性40~50歳代に多い。小児発症が比較的多いことは、日本の特徴である。
症状 [編集]
筋力低下が主症状。外眼筋の筋力低下による複視や眼瞼下垂(高頻度)・構音障害・嚥下困難等頭部から始まることが多い。85%の患者に、四肢の筋力低下が近位筋優位に起こり、歩行障害をはじめとした各種運動障害の原因となる。様々な条件が重なりクリーゼが起こると、球麻痺や呼吸筋の筋力低下による呼吸停止が起こる場合もある。
筋力低下は夕方ほど著明になり、睡眠で軽快する日内変動、日によって重さの異なる日差変動、筋肉を使うほど脱力症状が重くなる易過労性などが特徴である。
筋萎縮を伴うこともある。錐体路症状・知覚症状は伴わない。
発症の初期では、増悪と寛解を繰り返す。完全寛解はまれ。
検査 [編集]
テンシロン・テスト [編集]
エドロホニウム(商品名:テンシロン)を静注し、改善をみる。副作用として悪心・下痢・流涎・失神などが起こりうるので、硫酸アトロピンを用意しておく。