<一般的性質>
エチルベンゼンは無色で特有の芳香を持つ、常温では可燃性の液体。分子量は106.16で、常温での蒸気圧は約0.9kPa、蒸気密度は約3.7である。従って揮発性は高いが、空気より重く、低部に滞留する性質があると考えられる。しかしながら、通常は対流により拡散し、空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になると思われる。
<主な家庭内における用途と推定される発生源>
接着剤や塗料の溶剤及び希釈剤等として、また燃料油に混和して、通常は他の溶剤と混合して用いられる。キシレンの市販品は通常エチルベンゼンも含んでいる。
室内空気汚染の主な原因として推定されるのは、合板や内装材等の接着剤、塗料等からの放散である。建材だけでなく、これらを使用した家具類も同様である。
<健康影響>
臭い自体は10ppm以下でも感知できるといわれている。短期暴露では、蒸気がのどや目に刺激がある。数千ppmといったかなりの高濃度になると、目眩や意識低下等の中枢神経系に影響がある。
また、長期間皮膚に接触すると皮膚炎を起こすことがある。発がん性の指摘はない。
<現在の指針値>
現在の指針値は、3,800μg/m3(0.88ppm)で、安全性の観点から影響が認められる可能性がある濃度のうち最も低くなる、マウス及びラットの肝臓及び腎臓への無作用量を基に、安全率を加味して設定している。