○業者との交渉を求めている場合のスキーム
相談の中には、これらの措置の負担等を施工契約先等に要求したいとすることもあるかも知れない。これらの相談に対しては、基本的に業者と本人の当事者間で交渉してもらうことなることを伝える。この際、第三者介在の希望が強ければ必要に応じて他の相談機関を紹介してもよい(7.参照)。さらに、弁護士の必要性を認める場合には、その旨を伝え、弁護士会の公害に関する無料電話相談を紹介してもよい。これらの際には、交渉の前に以後の交渉をスムーズに進めるため、以下の情報を入手しておいた方がよいことを助言する。
住まいのしおり
設計図面
部材仕上げ表
契約書
「住まいのしおり」には入居に際して注意すべき事柄が記されているはずである。適切な注意書きがあるか、十分説明が行われていたか、そしてその説明に基づく生活行動をとっていたかは、交渉の際重要となるだろう。設計図面は家屋の状況の把握に必要であり、部材仕上げ表からはどのような建材が使用されていたのかを知ることが出来る。設計や入居の際に特別な要望をして合意していたり、建材について条件を定めていたりした場合は、契約書等、それらの資料も重要である。
リフォームの場合にはその部位と箇所、工事内容についての相談・説明状況、工事の際の仕切状況、工事終了後に注意があったか、業者に何か申し出をしていたか等の資料があれば用意しておいた方がよい。
この他に、自らの状況として、体調不良を感じたのはいつからか、またはどんなときか、他の家族の状況はどうか、臭気はあったか等はまとめておいた方がよいだろう。室内空気質の測定結果を既に有しているのであれば、具体的な測定法、測定条件、そして測定結果をそろえておく。
建築物について交渉すると言うことであれば、
工事を請け負った契約先、貸し主もしくは管理会社
を交渉相手とする必要があること、また、何が問題であると考えているのか、何を求めて交渉するのかをはっきりさせ、要求があるのならば具体的に示すように助言する。
汚染物質を特定したい場合は使用した化学製品に対する情報の提供
汚染物質を低減したい場合には、「換気扇の設置」、「ベークアウト処理」、「空 気清浄機の購入」、「工事のやり直し」等の要求
具体に補償を求めるというので有れば、治療費、通院交通費、見舞金等の請求
等、である。要求の是非をアドバイスすることはできないが、とにかく交渉は具体的に事項を示して始めるよう、アドバイスすることは必要であろう。闇雲に被害を訴えるだけではまず交渉が暗礁に乗り上げることになるであろうから、交渉のポイントは明確にしておかなければならない。
従前の相談事例、その交渉経過、解決案等については「化学製品PL相談センター」の発行している「アクティビティニュース」*や「(社)住宅生産団体連合会」が発行している「住宅関連紛争事例集」**に詳しいので、必要に応じて入手し、参考にするとよいだろう。
* 「化学製品PL相談センターアクティビティーノート」
「化学製品PL相談センター」のインターネットホームページ上に公開されている。ほぼ毎月発行。
URL: http://www.nikkakyo.org/
**「住宅関連紛争事例集」
(社)住宅生産団体連合会より購入可能。基本的に年1回発行されている。