5.使用開始後の管理
(1)使用開始後の検査項目及び指針値
①新築,増築,改築,大規模修繕又は大規模模様替えを行った市有
施設等においては,使用開始後に定期に揮発性有機化合物(VOC)等の検査を行う。
②使用開始後に検査する項目は次のとおりとする。
厚生労働省指針値一覧
( )内は25℃換算
検査項目 指針値
ホルムアルデヒド 100μg/m3(0.08ppm)
トルエン 260μg/m3(0.07ppm)
キシレン 870μg/m3(0.20ppm)
エチルベンゼン 3,800μg/m3(0.88ppm)
アセトアルデヒド 48μg/m3(0.03ppm)
スチレン 220μg/m3(0.05ppm)
③検査は,原則毎年1回定期に実施する。
④ホルムアルデヒドについては,6 月~9 月の期間に検査することが望ましい。
資料10
「建築物における衛生
的環境の確保に関する
法律」
⑤検査の結果,測定値が指針値の2 分の1以下の場合は,その検査項目については次回からの検査を省略できる。ただし,改装,備品の新規搬入など,新たな揮発性有機化合物(VOC)等の発生源が生じた時は,改めて検査項目を検討する。
(2)検体採取方法
①検体の採取は,施設管理担当者(学校にあっては学校薬剤師等)が立ち会い,検査機関担当者に行わせるなど,公平性の確保に努めること。
②検体の採取方法は,厚生労働省の室内空気中化学物質の採取方法
と測定方法に準拠する。または,拡散方式でもよい。
③検体の採取場所は,過去の測定経過,換気状況,在室時間,使用頻度などを考慮して,必要と認める居室(学校の場合,普通教室,音楽室,図工室,コンピュータ室,体育館等)とする。また,各用途種別の居室内において,日照が多いことやその他の理由から,測定対象となる揮発性有機化合物(VOC)等の室内濃度が相対的に高いと見込まれる場所において,1カ所以上を選定し,部屋の中央付近の少なくとも壁から1m 以上離れた高さ1.2~1.5m の位置(学校の場合,机上の高さ)を検体採取位置とする。
④常時換気システムを有している場合は,検体採取時に稼動させてよい。
⑤検体採取時は,木製造作収納家具等の扉,引出しについては,開放した状態で行うこと。
⑥検査対象施設周辺に(1)の検査項目の化学物質を取り扱う工場等がある場合は,対照として外気も検体とする。
⑦対象室内を30分換気後に5時間以上密閉し,その後,吸引方式又は拡散方式により検体を採取する。
⑧吸引方式の場合は,概ね30分間で2回以上検体を採取する。
⑨拡散方式の場合は,8時間以上で1回検体を採取する。
(3)分析方法
①厚生労働省「室内空気中化学物質の採取方法と測定方法」に準拠し,検査機関が実施する。
(4)指針値超過時の対応
①上記の分析の結果,揮発性有機化合物(VOC)等の室内濃度が指針値を超過した場合は,発生原因の究明,汚染物質の発生を低減するための適切な措置を講ずること。
②通風,換気(機械換気等を含む)を行い,揮発性有機化合物(VOC)等の放散を促進すること。
③対策後,指針値を超過した物質について,再測定を行い,指針値以下であることを確認してから居室を使用すること。
(5)日常の換気対策等
①市有施設等の管理者は,使用開始後,常に換気により揮発性有機
化合物(VOC)等の放散を促進し,室内濃度の低減に努めるこ
と。