東京衛研年報より2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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2.室内空気中化学物質とその濃度を支配する因子
2.1.室内空気中化学物質の発生源と種類最近の住宅では,経済性や施工後の歪みに対するクレームを避けるといった事情から無垢の木材に代えて接着剤で
貼り合わせた合板, 集成材,パーティクルボードが使用されることが多くなった.また,内装材には装飾を施したビニル壁紙,化粧合板,化粧石膏ボード,ビニルシート等の建材や機能性を有した化学畳,防虫・難燃カーペット,難
燃カーテン等が多く使用されるようになった.しかし、これらの建材や内装材及び塗料・接着剤からはホルムアルデヒドやVOC等が徐々に放散し,室内空気を汚染する可能性がある.さらに,防蟻剤処理や防虫剤,殺虫剤,芳香剤,ワックス等の家庭用品も室内空気汚染の原因となる.表1及び表2に住宅やオフィスビルの室内を汚染する可能性のある化学物質の発生源と種類4,5)を示した.世界保健機構(WHO)6)によれば沸点の低い方から順に高揮発性有機化合物(VVOC,Very Volatile Organic Compounds,沸点50-100℃以下),揮発性有機化合物(VOC,50-100~240-260℃),準揮発性有機化合(SVOCSemiVolatileOrganic Compounds, 240-260~380-400℃),粒子状物質(POM,Particulate Organic Matter, 380℃以上)と分類されている.VVOCにはアセトアルデヒド,VOCにはトルエン,キシレン,SVOCにはフタル酸エステル,リン酸トリエステル等が含まれる.
2.2.発生速度と換気
最近の高気密住宅では自然換気回数が少なく,1時間当たり0.1回以下と従来の住宅の1/10になる場合がある.仮に,換気回数が1/10で化学物質の発生速度が同じで外気濃度を0とすれば,室内空気中の化学物質濃度は10倍にもなる.
逆に窓開け等により換気を心がければ,室内空気中の化学物質濃度を一気に低下させ,健康被害を未然に防止することも可能である.なお,自然換気回数は基本的にC値(隙間相当面積)に依存するが,室内外温度差及び外気の風速に
よっても変化する.
発生速度Eは様々な発生源からの1時間当たりの発生量の材料化学物質
木材α-ピネン,β-ピネン,リモネン
有機溶剤・油性塗料用
トルエン,キシレン,トリメチルベンゼン,デカン,ウンデカン,
アルコール類,メチルエチルケトン,酢酸エチル,酢酸ブチル
有機溶剤・水性塗料用
エチレングリコール,ベンジルアルコール,1-メトキシ-2-プロパ
ノール,エタノール,イソプロピルアルコール
殺虫剤,防蟻剤
ジクロルボス,クロルピリホス,アレスリン,ペルメトリン,
フェニトロチオン,ダイアジノン,ケロシン,
防菌・防カビ剤
チアベンダゾール(TBZ),p-クロロメタキシレノール,イソプロピ
ルメチルフェノール,ホルムアルデヒド
防ダニ,防虫剤
ヒノキチオール,フェニトロチオン,フェンチオン,TBZ,
パラジクロロベンゼン,ナフタレン,アレスリン,エムペントリン
芳香・消臭剤リモネン,α-ピネン,パラジクロロベンゼン,植物抽出油
清掃剤・ワックスエタノール,デカン,トルエン,キシレン,トリメチルベンゼン
接着剤
ホルムアルデヒド,トルエン,キシレン,トリメチルベンゼン,
アルコール類,アセトン,酢酸エチル,メチルエチルケトン,
フタル酸ジブチル,フタル酸ジエチルヘキシル
難燃剤
リン酸トリブチル,リン酸トリス(2-クロロエチル),
リン酸トリス(2-クロロイソプロピル)
可塑剤フタル酸ジブチル,フタル酸ジエチルヘキシル
主な材料
化粧板接着剤,可塑剤
壁紙・糊接着剤,可塑剤,溶剤,防カビ剤
断熱材発泡尿素樹脂,尿素樹脂バインダー
塗料,接着剤,シール剤有機溶剤,可塑剤
プラスチック配管可塑剤
澱粉糊防カビ剤
プラスチックタイル可塑剤,有機溶剤
畳殺虫剤
床接着剤,ワックス
木材防腐剤,殺虫剤
カーペット接着剤,可塑剤,溶剤,防カビ剤,防ダニ剤
タンス接着剤,塗料,防虫剤
カーテン難燃剤
開放型暖房器燃料,燃焼生成物
ガスレンジ燃焼生成物
日用品化粧品,事務用品,接着剤,芳香・消臭剤接着剤,芳香・消臭剤
掃除機, 防菌剤,防虫剤
テレビ,OA機器,コード可塑剤,難燃剤
燃料燃料,添加剤
排ガス
内装材可塑剤,難燃剤
接着剤
自動車関連
電化製品,
事務機器
発 生 源
合板,パーティクルボード,
中密度繊維板(MDF),集成材
建材
家具,調度品