3)感染症の減少
新生児の免疫反応はTh2細胞分化が優位であるが、成長に伴いTh1細胞分化に変化する。
成長に伴い環境から適当な刺激が入ることにより、Th1/Th2細胞のバランスが保たれる。
すなわち細菌、ウィルス感染により、単球・マクロファージからインターロイキン12(IL-12)が分泌され、このIL-12がIFN-γを作り出し、感染防御にあたる。と同時にINF-γがTh2細胞からのIL-4,IL-5の分泌を抑制する。
しかし、戦後のわが国では多量の抗菌薬やワクチン接種によりTh1細胞分化を誘導する細菌感染やウィルス感染が減少し、免疫機構が変わった可能性がある(Th1細胞が減少し、Th2細胞が増加する)。
かっては、好酸球はヒスタミン、SRS-Aを分解する酵素を持ち寄生虫や微生物に対して、アレルギー反応を抑制すると考えられていた。
現在は寄生虫感染が減少し、好酸球は行き場を失っている。I型アレルギー反応の際、IL-5により好酸球が大量に動員され、好酸球炎を引き起こすことが明らかとなった。
人間は基本的には一万年前と同じ遺伝子と免疫細胞をもっているが、退治する細菌やウィルスが減少すれば、免疫細胞はほかに向かって反応し、通常はほとんど無害であるダニやスギ花粉など抗体を作る。
戦後社会の行き過ぎた清潔志向、あらゆる細菌を寄せ付けない風潮が問題で、人間の生体防御機構を働かしていろいろな抗体を作ることが必要となる。
今後は私たちの生活では、IL-12の分泌を促進するようにしなければならない。