6)起炎物質によるアレルギー反応の促進
第I相:抗原が入ると感作リンパ球から分化したTh2細胞からIL-4が分泌され、B細胞からIgE抗体ができる。IgEは肥満細胞の表面にあるリセプターと結合する。
第II相:ふたたび、体内に同じ抗原が入ると、肥満細胞表 面にあるIgE抗体と反応し、その刺激が引き金となって顆粒内のヒスタミンなどの化学伝達物質が放出される。
第III相:顆粒が放出されると、細胞膜(アラキドン酸で構成される)に存在するホスフォリパーゼが活性化され、アラキドン酸由来の起炎物質(ロイコトリエン、プロスタグランディン、血小板活性化因子など)が作られる。これらの起炎物質が過剰であると皮膚炎(LTB4)、喘息(LTC4、LTD4)、鼻つまり(LTB4)、気管支収縮(PGD2)などのアレルギー症状を引き起こす。
IV相:6~10時間後、遅発相反応(好酸球炎)が生じ、好酸球の細胞膜からも起炎物質が作られる。
7)必須脂肪酸のω6/ω3バランスの重要性
γリノレン酸
月見草油
発酵油
大豆油
オイル
リノール酸
種子、穀類
ベニバナ油
マーガリン
マヨネーズ
ドレッシング
大豆、ひまわり
ラード、豚肉
アラキドン酸
肉類に少々
リノール酸を摂りすぎると体内がアラキドン酸で飽和され、アラキドン酸由来のエイコサノイドが過剰に産生されやすくなる。
このエイコサノイドの産生過剰が多くの慢性炎症性疾患の悪化や発症率の増加、さらには肺癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌、膵臓癌などの欧米型癌発症率の増加や、アトピー性皮膚炎や花粉症の発症にも関与すると考えられている。
アレルギー反応はアラキドン酸から作られるロイコトリエンなどの起炎物質により促進される。
従って、アレルギー過敏症を予防するためには、アラキドン酸のもとであるリノール酸を減らすことが大切である。
三系脂肪酸(α―リノレン酸、EPA,DHA)を増やすと、アレルゲンが人っても起炎物質の産生が抑制され、アレルギー反応が起きにくくなることが証明されている。
わが国では現在、カロリーの6.4%が六系で、1.6%が三系であるが、アレルギー体質を改善するためには六系/三系比率を2くらいに下げることが望ましい。