4)六系脂肪酸の摂取過剰
従来、コレステロールが動脈硬化の主要な危険因子であり、動物性脂肪はコレステロール値を上げるので悪玉、リノール酸の多い植物油はコレステロールを下げるので善玉という栄養指導が行われてきた。
しかし、現在の食事スタイルで間違っている最も大きな問題は、植物性脂肪酸である六系のリノール酸(ベニバナ油など)を多く摂っていることで、リノール酸は生活習慣病やアレルギーを促進することが明らかとなった。
このリノール酸の作用を抑制するのが、三系のα-リノレン酸(シソ油、エゴマ油)やEPA(魚油)、DHA(魚油)である。アトピー性皮膚炎や花粉症の患者が増えているのは、戦後の食生活の変化によるところが大きく、アレルギー反応を促進する六系脂肪酸の取りすぎが原因である。
5)アラキドン酸
リノール酸はアラキドン酸の原材料となる。
リノール酸を食べると体内で変換されてアラキドン酸となり、細胞膜成分であるリン脂質のグリセロール骨格に結合して存在する。
アラキドン酸は細胞膜の構成成分であり、何らかの原因で細胞に刺激が加わると、リン脂質によって取り込まれていたアラキドン酸が遊離する。
そしてロイコトリエン(LTA4)、 プロスタグランディン、トロンボキサンなどの種々の生理活性物質(エイコサノイドという)が作られ細胞機能の調節を行う。
この代謝過程をアラキドン酸カスケードという。トロンボキサンA2は血小板を凝集し、プロスタグランディンI2はこの血小板凝集を抑制する。
この二つがバランスよく機能すると正常な血流や血液凝固が保たれる。
しかし、リノール酸を多く摂りすぎるとそのバランスがくずれ、トロンボキサンA2がより多く作られ、血小板凝集能が高まり血栓を作りやすくなる。