3)脂肪酸
略語
名前
多く含む食品・組織
16:0
パルミチン酸
動物油脂、バター
18:0
ステアリン酸
動物油脂
18:1(n-9)
オレイン酸
動物油脂、オリーブ油、バター
18:2(n-6)
リノール酸
紅花油など多くの種子油
18:3(n-3)
α-リノレン酸
シソなどの植物の葉、
20:4(n-6)
アラキドン酸
レバー、卵(卵白)、さざえ、あわび
20:5(n-3)
エイコサペンタエン酸
イワシ、サバなどの魚油
20:6(n-3)
ドコサヘキサエン酸
マグロ、サバなどの魚油、脳神経細胞
ヒトは糖質・タンパク質を食べると余分なカロリーは飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸)やオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸として脂肪組織(右下表)に貯えられる。
飽和脂肪酸は血液中のコレステロールや中性脂肪を増やし、オレイン酸は胃酸の分泌を調整し、腸の運動を滑らかにし、X線、放射線から体を守り、便秘を予防する。植物ではオレイン酸にもう一つ二重結合が増えるとリノール酸ができ、さらに二重結合が増えるとα―リノレン酸ができる。しかし、ヒトではリノール酸、α-リノレン酸を作ることが出来なくて、食事として外から摂取するしかないので、必須脂肪酸とよばれる。
必須脂肪酸に含まれるものにはリノール酸、アラキドン酸、α―リノレン酸、EPA、DHAなどがある。これらは細胞膜のリン脂質の構成要素で、プロスタグランディン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどのエイコサノイドを産生する。
一価不飽和脂肪酸
動物性食品
オリーブ油
飽和脂肪酸
過剰カロリー
動物性食品
パーム油
砂糖、チョコレート
ご飯、牛肉
牛乳、卵
リノール酸は成長、生殖生理や皮膚の状態を正常に維持する上で必須である。摂取されたリノール酸はヒトの体の機能を保つために必要なアラキドン酸に変換される。アラキドン酸は過剰になると血圧を上げ、血液の凝固を促進し、アレルギー症状を悪化させる。
αーリノレン酸は学習機能や網膜機能を高く保つ上で必須である。
例外的にα-リノレン酸はシソ油、エゴマ油、アマニ油などの植物油にも多く含まれているが、本来n-3ω系は海藻類、植物プランクトンなどに多く含まれる。
食物連鎖の結呆、EPAやDHAが魚介類のほか、クジラ、トド、オツトセイなどの脂肪に多く含まれるようになる。
α―リノレン酸はリノール酸系列の代謝を多くの酵素の段階で競合阻害し、アラキドン酸由来のエイコサノイドからの影響を和らげる。
また、α―リノレン酸がエイコサペンタエン酸(EPA)、さらにドコサヘキサエン(DHA)に変換されると血小板凝集の抑制、血管拡張、アラキドン酸作用を抑制する。
なお、DHAは脳、神経細胞の機能を働かせる作用をもつ。