2 シックハウス症候群、化学物質に起因するアレルギーの予防措置
シックスハウス症候群、化学物質に起因するアレルギーを予防するためには、学校の
施設整備において、ホルムアルデヒド、トルエン等の原因物質(以下、「化学物質」と
いう。)を含む建材、施工材等の使用を可能な限り削減する必要がある。
(1)学校施設の新築・改築・改修等
学校施設の新築・改築・改修等に当たっては、「学校施設整備指針」に基づき施
設整備に十分配慮する。
ア 建材等の選定
建材や施工材で規格等が設定されているものについては、化学物質の放散量が
最も少ないものを選定する。
<参考 規格等のあるもの>
(ア)木質建材
a 日本農林規格(JAS)
JASでは建材のうち、普通合板、構造用合板、コンクリート型枠用合板、
難燃合板、防炎合板、構造用パネル、フローリング、集成材、構造用集成材、
単板積層材及び構造用単板積層材についてのホルムアルデヒド放散量の等級
を定めている。
表示区分 ホルムアルデヒド放散量
平均値 最大値
Fc0 0.5mg/L以下0.7mg/L以下
Fc1 1.5mg/L以下2.1mg/L以下
Fc2
(Fc2-s)
5.0mg/L以下
(3.0mg/L以下)
7.0mg/L以下
(4.2mg/L以下)
※集成材及び構造用集成材については( )内の表示区分及び数値
b 日本工業規格(JIS)
JISでは木質系建材のうち、MDF(中密度繊維板)、パーティクル
ボードについて、ホルムアルデヒド放散量に応じた等級を定めている。
表示区分 ホルムアルデヒド放散量
E0 0.5mg/L以下
E1 1.5mg/L以下
E2 5.0mg/L以下
2 シックハウス症候群、化学物質に起因するアレルギーの予防措置
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(イ)壁紙等
a 日本工業規格(JIS)
壁紙、壁紙施工用でん粉系接着剤のホルムアルデヒド放散量については、
JISでデシケータ法による試験で壁紙が0.5mg/L、壁紙施工用でん
粉系接着剤が1mg/L以下と定められている。
b ISM規格
壁装材料協会では、インテリア材料(壁紙)についてISMガイドラインを
定め、これを満たす商品にISMマークの表示を行っている。
<安全規定>
物質名 商品の判定基準
ホルムアルデヒド 0.01ppm 以下
残留VOC 300μg/m3 以下
塩化ビニルモノマー 0.1ppm 以下
c SV規格
壁紙製品規格協議会では、壁紙製品に対して「壁紙製品標準規格(SV規
格)を定め、これに適合する製品にSVマークの表示を認めている。
<規格値概要>
物質名 製品規格
ホルムアルデヒド(ppm) 0.05 以下
TVOC(μg/g) 100 以下
塩化ビニルモノマー(mg/kg) 0.1 以下
可塑剤 フタル酸ジ-n-ブチルは使用
しない
※壁紙100g中のホルムアルデヒド12mgが0.05ppmに相当
(ウ) 接着剤
日本接着剤工業会は、日本接着剤工業会規格(JAI)を定めている。
接着剤の種類 品 質
ウレタン樹脂系建材用
接着剤
化審法 第1種特定化学物質及び第2種特定
化学物質、労安法 第1種有機溶剤を使用し
てはならない
エポキシ樹脂系建材用
接着剤
同上
二重床施工用ウレタン
樹脂系建材用接着剤
同上
ホルムアルデヒドを使用してはならない
※ 1 化審法:化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
※ 2 労安法:労働安全衛生法
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○ 日本塗料工業会の室内用建築用塗料の目標基準
日本塗料工業会は、厚生労働省の室内空気汚染化学物質の濃度指針値に基づ
いて室内環境におけるVOC濃度(配合量に占める比率)のガイドラインを定
めている。
塗料設計条件 エマルジョン塗料 溶剤形塗料
TVOC 1% 以下-
芳香族系溶剤 0.1% 以下1% 以下
アルデヒド類 0.01% 以下0.01% 以下
感差性物質 0.1% 以下0.1% 以下