シックハウス症候群診療マニュアル22 | 化学物質過敏症 runのブログ

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3)経過
化学物質を極力回避することにより、症状が軽快し、適切な指導のもとでは、数十%の患者が症状の改善を認めるようになる。

この点も患者にはよく説明する必要がある。

しかし、回避により症状の改善はみられているものの、暴露時には症状が再燃する症例も少なくなく、真の改善頻度に関しては今後の検討が必要である。

4.現症
本症固有のものは少ない。他疾患の鑑別が重要である。

5.検査
末梢血一般、生化学的検査、血圧など。症状に応じて、心電図、肺機能検査など、他疾患の鑑別に必要な検査を実施する。

なお、希ではあるが、ホルムアルデヒド暴露により、甲状線種を来した症例の報告があり、鑑別の意味も含めて、TSH、freeT3、freeT4の検査も考慮する。

6.治療および対応
本症に特異的な治療法はない。原因となる化学物質からの回避が治療の基本である。自宅や職場など症状が惹起される環境での化学物質対策からはじめる。

1) 室内の化学物質濃度の低減化

換気
SHSの場合は特に重要である。VOCは空気より重いため床面に淀み易い。換気口は床面に近いところにも必要であるが、わが国の住宅には適切な換気口が設置されていない場合が多い。扇風機なども併用して、効果的な換気に心がける。

化学物質濃度の高い場所に注意する
押し入れ、クローゼット、食器棚、タンス、防腐剤を使用したキッチンなどはVOC濃度が高くなり易い。十分な換気を行うのは当然であるが、場合によっては、VOC濃度の測定を依頼し、VOCの低い部屋を把握しておくことも必要である。特に、どの部屋で就寝するかは重要である。

測定は業者に依頼できるが、有料である。自治体によっては保健所に測定を依頼できる。

2)室内に化学物質を持ち込まない
家具、防火加工したカーテンやじゅうたん、床ワックス、石油ストーブ、殺虫剤、合成洗剤、衣料の漂白剤や柔軟剤の使用、タバコの煙、化粧品、香水などが問題となる。また、トイレでの消臭剤、芳香剤、洗剤の使用は化学物質濃度が高くなり、注意が必要。同じ理由で、浴室でのヘヤーカラーの使用も避け
る。

洗剤としては石鹸を使用する。また、購入した衣類の防虫剤、ドライクリーニングの洗剤中の溶剤、シャツなどの形状安定加工に使用したホルマリンなどが衣類に残っている場合がある。よく干して、室内に持ち込まないようにする。