シックハウス症候群診療マニュアルQ&A2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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Q10.転居してから体調不良があるとのことで、シックハウス症候群かなと思っていますが、換気以外に日常生活で注意することを教えて下さい。
A

基本的な留意点は ①十分な換気 ②化学物質の発生源となるものを減らす ③規則正しい生活習慣(食生活も含め)の3点。

住環境の中には化学物質やカビ・ダニの発生源はいたるところにある。このような要因の除去には、換気とこまめな掃除が重要。

症状は個人差が大きく、感じる人とあまり感じない人がいる。原因の特定が難しく他の疾患と鑑別が難しいので、医師への相談が必要。

化学物質は新しい家具やカーテン、じゅうたん、床に塗るワックス類、防虫剤、芳香剤、消臭剤などにも含まれ、有害物質の発生源となることがある。
Q11.シックハウス対策に有効な新改築時の材料の選び方を知りたい。
A

シックハウスの原因として考えられる化学物質には、合板、接着剤や塗料に多く含まれるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレンなどがある。ホルムアルデヒドについては、建築基準法(平成15年7月1日施行)のなかで、合板、パーティクルボード等には規格がある。それ以外の化学物質については各業界で規格が定められている場合もあるので設計の段階で設計士や施工業者とよく相談して材料選びを行う。
合板、パーティクルボード : ホルムアルデヒド
建材 : ホルムアルデヒド
木材 : アセトアルデヒド
壁紙 : ホルムアルデヒド、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
接着剤、塗料 : ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン等
(参考)
合板等;日本工業規格(JIS)、日本農林規格(JAS)のホルムアルデヒド放散量規格。
【ホルムアルデヒド放散量の基準値】規格に合格するものは測定値が下に掲げる基準値以下であること
普通合板、コンクリート型枠用合板、構造用合板、難燃合板、防炎合板、特殊合板、フローリング、単板積層材、構造用単板積層材及び構造用パネル(ただし、コンクリート型枠用合板にはFは設定しない。)
F☆☆☆☆
F☆☆☆
F☆☆
F☆
平均値 0.3mg/.
平均値 0.5mg/.
平均値 1.5mg/.
平均値 5.0mg/.
最大値 0.4mg/.
最大値 0.7mg/.
最大値 2.1mg/.
最大値 7.0mg/.
集成材及び構造用集成材
F☆☆☆☆
F☆☆☆
F☆☆
F☆S
平均値 0.3mg/.
平均値 0.5mg/.
平均値 1.5mg/.
平均値 3.0mg/.
最大値 0.4mg/.
最大値 0.7mg/.
最大値 2.1mg/.
最大値 4.2mg/.
VOC ;各業界で規格を作成
建材メーカーから製品に関するMSDS(化学物質安全データシート)を取り寄せることも可能。
建築材料の区分
ホルムアルデヒドの放散速度
(μg/m3h)
告示で定める建築材料
大臣認定を受けた
建築材料
内装の
仕上げ制限
名 称
対応する規格
5以下
規制対象外建材
JAS、JISのF☆☆☆☆
第20条の5
制限なし
第4項の認定
5超20以下
第3種ホルムアルデヒド発散建築材料
JAS、JISのF☆☆☆.
(旧E0、Fc0)
第20条の5
第3項の認定
使用面積
を制限
20超120以下
第2種ホルムアルデヒド発散建築材料
JAS、JISのF☆☆
(旧E1、Fc1)
第20条の5
第2項の認定
120超
第1種ホルムアルデヒド発散建築材料
無等級
(JAS、JISの旧E2、Fc2)
使用禁止
測定条件:温度28℃、相対湿度50%、ホルムアルデヒド濃度μg/m3(指針値)以下
日本農林規格(JAS)
表示区分
ホルムアルデヒド放散量
平均値
最大値
Fc0
0.5mg/リットル以下
0.7mg/リットル以下
Fc1
1.5mg/リットル以下
2.1mg/リットル以下
Fc2
※(Fc2-S)
5.0mg/リットル以下
(3.0mg/リットル以下)
7.0mg/リットル以下
(4.2mg/リットル以下)
日本工業規格(JIS)
表示区分
ホルムアルデヒド放散量
E0
0.5mg/リットル以下
E1
1.5mg/リットル以下
E2
5.0mg/リットル以下
Q12.リフォームを予定している患者さんがいます。シックハウス対策の建材・商品を使ってもらえるように工務店に依頼する事は難しいのでしょうか。
A

リフォームの前に、工務店や設計者と十分な話し合いを行い、自分の希望をしっかり伝えて材料選びを行うことが基本。今はどのメーカーもシックハウス対策を施した商品を扱っている。メーカーの説明を鵜呑みにするのではなく、納得いくまで調査し、建築業者等にシックハウス対策が施された建材や接着剤を使用するように話し合うこと。

換気構造にも気を配ること。
Q11も参照
Q13.患者さんの訴えでは、体調の変化が部屋によって異なるとのことです。理由と対策について教えてください。
A

建築資材による違いや、建物基礎の薬剤などが原因とも考えられる。この点については、施工業者に問い合わせが必要。
また、家具や調度品の影響も考えられ、空気が滞留しやすい場所があることも考えられる。

改善の基本は換気。空気の入れ替えをこまめに行うこと。
Q14.新しい家具や装飾品等を設置してから体調に変化を感じるという患者さんがいます。どのように指導したらよいですか。
A

家具や装飾品にも多くの化学物質が使われており、それが原因となっている可能性がある。しかし私達の回りの製品(建築資材も含む)で、化学物質を全く使用していないものはほとんどない。まずは充分な換気を心がけること。

身体的な変化(目がちかちかする、体がだるい、など)に注意し、症状の悪化がみられるようなら医師への相談を勧める。

家具や装飾品以外にも布製や皮製のソファーなど、なかに詰められているクッション材に反応した症例も報告されている。新規に購入した製品に反応しているように感じたら、その製品を出来るだけ身近に置かないことが必要。
(参考)
室内環境配慮マークをご存知ですか?
~人にやさしい家具~
このマークは、家具に使われる合版、繊維版、パーティクルボード及び接着剤はF☆☆☆又はF☆☆☆☆のもので、塗料はホルムアルデヒドを含まないものを使用している家具に付けられるものです。
(当会自主表示制度)
社団法人全国家具工業連合会
Q15天然(自然)材料は安全ですか。
A

安全性が高いとは思われるが、材の保存・保管用に化学薬品が使用されている場合があり安全であると断言はできない。

天然木材の香り成分であるテルペン類は、森林浴に代表されるリラクゼーション、快適性の促進などの効果が知られている。これらテルペン類を含めて、室内の総揮発性有機化合物(TVOC) として測定される場合があり、測定値のみからの判断には注意が必要。

天然材料の方が安全性は高いと思われるが、中には天然成分にも反応する人もいるので、その点も注意が必要。
Q16.シックスクールという言葉を聞くが、学校に対してワックスの選定指導など行っているのですか。
A

自治体によって対応が異なっている。学校や教育委員会に問い合わせを勧める。

全国的な傾向として、児童・生徒の健康管理について関心が高まっている。一部ではあるが「シックスクール・マニュアル」を策定している自治体もある。ホームページでも閲覧できるマニュアルもあり、参考にするとよい。