化学物質過敏症の裁判例 | 化学物質過敏症 runのブログ

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被告は、医療救護等を目的とし、大阪液済会病院(被告病院)を設置している社団法人であり、原告(昭和30年生)は、看護師の資格を有し、平成7年から正従業員として被告病院に勤務した女性である。
 

原告は、平成10年5月から午前は整形外科、午後は検査科の配属になり、検査科において、ステリハイドを使用して器具の洗浄を行っていた。原告は、この作業を長袖の予防着を着用し、プラスチック製の手袋を2枚重ねて作業していたが、被告病院においては、看護師に対し、防護マスクや防護ゴーグルなどの防護用具の着用の指示をしたことはなかった。

 原告は、検査科に配属になって以降、鼻粘膜や咽喉粘膜に違和感を感じ、医師にその旨を訴えたところ、同医師からステリハイドを吸入したことによる刺激症状と考えられるので耳鼻科診断を要するとの診断がされた。

原告は、消毒液がステリハイドからサイデックスに変更された平成11年1月以降も咽頭痛が継続し、平成12年1月からはアレルギー性鼻炎、結膜炎などの治療薬を処方された。原告は、同年6月からサイデックスを使用しない外科に、同年11月からは小児科に配属になったが、同年11月頃から、サイデックスの臭気だけで口内炎が出るようになり、その後口内炎が増悪し、歯肉炎、気道の粘膜の刺激症状があったことなどから、平成13年6月末に被告病院を退職した。

 原告は、平成13年7月8日に労働基準監督署に労災保険給付の請求を行い、平成16年8月6日、労災と認定されて療養補償給付の決定を受けた。

原告は平成14年10月頃大阪産業保健推進センターの医師から、化学物質過敏症ではないかとの診断を受け、他の病院においても同様の診断を受けた。


そこで原告は、検査機器を洗浄する際に使用した消毒液に含まれるグルタルアルデヒドの影響で化学物質過敏症に罹患したこと、被告には安全配慮義務違反があったことなどを主張し、被告に対し、後遺障害逸失利益1293万8960円、通院慰謝料300万円、後遺障害慰謝料600万円、弁護士費用226万2486円など、総額2488万7347円の損害賠償を請求した。

主文: 1 被告は、原告に対し、1063万8113円及びこれに対する平成16年6月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを2分し、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り仮に執行することができる。

runより:原告勝訴と言えるでしょう。控訴されましたがまだ係争中のようです