化学物質過敏症の後遺症を初の労災認定 - 眼球運動障害
厚木労働基準監督署は、電気設備施工会社に勤め「有機溶剤」を吸った後、化学物質過敏症になった神奈川県茅ケ崎市の男性(40歳)の「眼球運動障害」を後遺障害として、労災認定した事が分かりました。
化学物質過敏症の後遺症が労災認定されたのは初めてと見られます。
眼球運動障害は化学物質過敏症に顕著な症状とされ、専門家は「今後、同様の症状のある患者の救済に繋がる可能性がある」と指摘しています。
男性は、2000年から取引先の会社で、半導体や液晶パネル部品を洗浄する設備の配線や加工作業に従事したところ、頭痛、目眩、吐き気が表れ、02年には手足の痙攣が止まらなくなりました。また、運転時は他の車との距離感が掴めなくなりました。
北里大学北里研究所病院(東京都)の検査で、動く指標を目で滑らかに追えない「中枢性眼球運動障害」と判明しました。
更に、化学物質に対するテストで、配線作業で使用した有機溶剤含有の接着剤に過敏に反応する事が確認され、化学物質過敏状態などと診断されました。
男性の労災請求に対し、厚木労基署は2003年時点では治療費は支給出来ないとの判断を示しましたがその為、男性は神奈川労災職業病センター(横浜市)に相談の上、同病院で再受診し、眼球運動の障害が残っているとの診断書を添え再び労災請求しました。
厚木労基署は、2009年10月、治療による改善が望めないと認め、両目に著しい障害が残る障害第11級と認定し、一時金約350万円を支給しました。
男性を診断した坂部貢医師(現東海大医学部教授)は「眼球運動の障害は、化学物質過敏症の重症度をみる上で重要な要素だが、後遺症として認められた例を知らない。他の化学物質過敏症の患者も同様の後遺障害を認められる可能性がある」と話しています。
労災認定だけでなく障害者年金認定なども盛んになってきました。
もう泣くだけの時代ではないのです。