■恐怖 vs 非恐怖の結果
リスクに対するレベルの認知は、著しく増大する。
■状況に対する個人によるコントロール vs
コントロールの欠如
人々が特に、家や、学校、遊び場の近くに、電力線や携帯電話基地局が設置されることについて何も発言権がない場合に、EMF 設備からのリスクが高いと認知する傾向がある。
■自発的 vs 非自発的曝露
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がん、ひどい痛み、長引く痛みや障害といった病気や健康状態は、何よりも恐れられる。特に子供においては、EMF 曝露のような潜在的有害性によるがんの小さな可能性にさえ、公衆は強い関心を持つ。
■直接的 vs 間接的利益
携帯電話を持っていない人が、携帯電話基地局からのRF 電磁界に曝露したり、彼らのコミュニティに電力供給しない高圧送電線から電磁界の曝露を受けるとなれば、設備の直接的利益をなんら認知しないであろうし、関連するリスクを受け入れにくい。
■曝露の公平性 vs 不公平性
不公平なEMF 曝露のため社会正義上の問題が起こるかもしれない。例えば、設備が経済的理由によって貧しい地域(地価が安い場所)に設置される場合、その地域社会は、不公平な潜在的リスクに耐えなくてはならないことになる。
認知するリスクを低下させることは、個人のリスクに関連する要因に対抗することを意味する。コミュニティでは、その健康に影響を及ぼす恐れがあると彼らが考えるEMF設備建設の提案や計画について知る権利があると考えられる。又、何らかの統制やプロセス決定への関わりを望んでいる。科学者、政府、産業界、公衆間の公開情報やコミュニケーションのシステムが確立されない限り、新しいEMF 技術は、信用されないし、又恐れられるであろう。
リスク・コミュニケーションの必要性
今日、テクノロジーから受ける環境リスクについての公衆とのコミュニケーションは、重要な役割を担っている。米国立調査委員会(NRC)によれば、リスク・コミュニケーションは、「個人やグループ、機関間で情報や意見を交換する相互作用プロセスである。リスク・コミュニケーションには、例えば、リスクの性質につい
ての様々なメッセージ、厳密に言えばリスクとは言えないもの、リスクメッセージ又はリスク管理の法的、制度上の整備に対する懸念、意見、反応などが含まれる」。それ故、リスク・コミュニケーションは、科学的リスク計算を提示するのみならず、倫理や道徳関係の幅広い論争の議論の場でもある。
健康リスクに関する不確実性を含む環境問題では、支持できる根拠を持った決定が必要である。そのためには、科学者は科学的根拠を明確に提示し、政府機関は安全に関する規制と政策措置の情報を国民に提供し、懸念を抱く市は、どの程度であれば問題のリスクを容忍できるかを判断しなければならない。このプロセスで重要なのは、こうした利害関係者間のコミュニケーションをわかりやすく有効なものとすることである
EMFリスク・コミュニケーションの管理
公衆が環境健康問題を自覚するにつれ、公務員や技術者や科学者、特に大きな個人事業や公共事業の産業経営者への信頼感は同時に低下する。公衆の大部分はまた、科学技術の変革の進歩が政府の管理に比べあまりにも早くなっていると信じている。その上、政治的に開かれた社会では、人々は行動をおこしたり関係者になることができる。個人、コミュニティ組織、非政府組織は、もし決定プロセスから締め出された場合、決定への指図や妨害活動といった行動をもって干渉することをいとわないであろう。そのような社会傾向により、すべての利害関係者間で効果的なコミュニケーションをとる必要性が増している。
リスク・コミュニケーションの計画、評価に成功するためには関係するあらゆる側面と当事者について考慮すべきである。このセクションは以下に示すような4 段階を通じてのEMF 問題に関するコミュニケーションについて紹介する。