今日は1956年に飛行機事故のため36歳の若さで亡くなった指揮者グィード・カンテッリの遺した録音からワーグナー「ジークフリート牧歌」を。
カンテッリと言えばトスカニーニの後継者と目されていたように、きびきびとした生命力溢れる演奏が持ち味で遺された演奏の多くはそうした音楽を聴くことができますが、この「ジークフリート牧歌」では、それと同時にたっぷりとした情感豊かな歌も聞かせてくれています。厳しく磨き上げられたオーケストラから浮かび上がる濃厚な香り。美しい音楽です。
この演奏ではホルンの独奏をこれもまた若くして亡くなってしまった天才奏者デニス・ブレインが務めています。カンテッリとブレインは一歳違い。カンテッリが生まれた一年後にブレインが生を受けています。そしてカンテッリが
不幸な航空機事故亡くなった翌年、ブレインは自らが運転する自動車の事跡でこの世を去りました。共に36歳だったのです。今も惜しまれる天才演奏家のなんとも不思議な縁と言えるのでしょうか。そんなことを思うとこの演奏もより感慨深い思いで聞いてしまったのでした。
「グィード・カンテッリ(Guido Cantelli, 1920年4月27日 - 1956年11月24日)はイタリアの指揮者。36歳でフランスで飛行機事故により不慮の死を遂げた。短い一生の間に、ヨーロッパの多くの有名な歌劇場ばかりでなく、アメリカ合衆国や南アフリカ共和国でも活動した。
ミラノ近郊の町ノヴァーラのイタリア軍軍楽隊長の息子として生まれる。初めはピアノを習い、14歳の時には早くも「天才少年ピアニスト」としてデビューしている。その後、ミラノ音楽院に進学し、指揮と作曲を学んだ。(中略)
レジスタンス運動に身を置いていた時も、(「お尋ね者」だったため)偽名を使いつつ音楽活動を続けていた。戦後の1945年1月、スカラ座オーケストラを初めて指揮し、それを初めとしてイタリア各地のオーケストラを次々と指揮するようになる。イタリア人の若手指揮者としては、年上であるカルロ・マリア・ジュリーニらを差し置いて、指揮界の当時の長老アルトゥーロ・トスカニーニの後継者と目されており、トスカニーニ自身もカンテッリの演奏とレジスタンス参加時のエピソードに感銘を受け、大きな期待を寄せていた。
1948年に両者は初めてスカラ座で顔を合わせ、トスカニーニの招きで1949年1月15日にNBC交響楽団を指揮し、アメリカ・デビューを飾った。
(中略)
1950年9月には、英HMV最初のLPレコードの演奏家として選ばれ、チャイコフスキーの交響曲第5番をレコーディングした。この頃からNBC交響楽団のほかにアメリカではニューヨーク・フィルハーモニックやボストン交響楽団、イギリスではフィルハーモニア管弦楽団に頻繁に客演するようになった。
(中略)
1956年11月16日、病気療養で実質引退していたヴィクトル・デ・サバタの後任としてスカラ座の音楽監督に指名された。翌11月17日にスカラ座でブラームスの交響曲第1番などを指揮したコンサートが生涯最後のコンサートとなった。1週間後の11月24日、パリのオルリー空港からニューヨーク・フィルに客演するカンテッリも乗ったニューヨーク行きの航空機(アリタリア航空のDC-6、機体記号I-LEAD[1])が離陸に失敗、空港外れの畑に墜落してしまう。この墜落事故での生存者は2人であったが、収容所脱走の時と違い、この時のカンテッリは「奇跡の2人」の中に入ることはできなかった。
カンテッリが悲劇的な事故死を遂げた時、死の床にあったトスカニーニにはカンテッリの訃報が知らされなかった。トスカニーニは1957年1月16日、カンテッリの後を追うようにして亡くなった。1950年代前半のある時期、カンテッリと同世代の指揮者として目覚ましい躍進を遂げていたのが、2歳年上にあたるアメリカのレナード・バーンスタインだった。バーンスタインは、カンテッリが指揮するはずだったコンサートで代役を務めている。」(Wikipedia グィード・カンテッリ より )
「デニス・ブレイン(Dennis Brain, 1921年5月17日 - 1957年9月1日)は、イギリスのホルン奏者である。死後の今日に至るも、世界中で最も卓越したホルン奏者のひとりとして知られる。
三代にわたってホルンの名手を産んだホルン一家の5人目の奏者。祖父、二人の伯(叔)もホルン奏者で、父オーブリー・ブレインは、BBC交響楽団の首席ホルン奏者としてロンドンの音楽界では著名な人物。SP時代の録音でホルンの活躍する曲はほとんどオーブリーによるほどである。 デニスはセントポールスクールと王立音楽院でホルンを学び、後者では教授をしていた父に師事し、ホルンとオルガンを修めた。デニスは父の相方の第2奏者として活動を始めた。1939年に録音されたモーツァルトのディヴェルティメント第17番の録音では、レナー弦楽四重奏団とブレイン父子の共演を聴くことができる。
(中略)
ブレインは21歳でシドニー・ビーア率いるロンドン・ナショナル交響楽団の首席奏者に指名された。そのときの録音、チャイコフスキーの交響曲第5番やファリャの『三角帽子』、ワーグナー の『ジークフリートのラインへの旅』で、ブレインの際立った音調を聴くことができる。
第二次世界大戦中には英国空軍に徴兵され、イギリス空軍中央軍楽隊の首席ホルン奏者を勤めた。ピアニストのデニス・マシューズと競演したベートーヴェンの『ホルンソナタ』の有名な録音もあり、演奏家としての地位は揺がなかった。
大戦後、ブレインは2つの新しいオーケストラのホルンパートの首席奏者に招聘された。ウォルター・レッグが創立したばかりのフィルハーモニア管弦楽団と、トーマス・ビーチャムが創立したロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団である。この兼務が可能だったのは、当時ロンドンの多くのオーケストラが各演奏会で出演可能な演奏者の溜まり場を形成していたからであり、ブレインは双方の演奏会に毎回出演していたわけではなく、それぞれのオーケストラの録音時には出席するという実態であった。しかし、1954年4月には両方への所属が困難となり、ロイヤル・フィルを去った。
1957年9月、エディンバラ音楽祭からの帰路、トライアンフTR2に乗っていたブレインは、ロンドンまであと約33キロというハートフォードシャーのハットフィールドを通過中に運転を誤って樹木に車をぶつけて即死した。ブレインは車が好きで、譜面台には時々車雑誌が載っているほどだった。この音楽祭でのブレインの最終公演の一部はレコードに残されている。最後の演目は、アンコールとして演奏したマラン・マレのル・バスク(ピアノ伴奏はウィルフリッド・パリイ)であった。事故の翌日、ブレインはリヒャルト・シュトラウスのオペラ『カプリッチョ』の録音に参加することになっており、事情を知らない人はサヴァリッシュ指揮で彼の演奏を聞けるものと信じて疑わなかった。プーランクによる『ホルンとピアノのためのエレジー』は、ブレインを追悼して作曲されたものである。」(Wikipedia デニス・ブレイン より )
Guido Cantelli conducts Wagner & Brahms
イタリアの名指揮者、グイド・カンテッリ[1920-1956]の主要な録音を集めた23枚組ボックス。トスカニーニの後継者と目され、若くしてスカラ座の首席指揮者に就任することが決定しながらも、ほどなく飛行機事故で36年の短い生涯を終えてしまった悲劇の指揮者カンテッリ。その芸風は戦後の新しい世の中にふさわしい快活で新鮮なものでした。亡くなった時期が1956年ということで、その録音のほとんどはモノラルですが、セッション録音されたものに関しては情報量の多い聴きやすい音質のものが多く、中にはブラームスの交響曲第3番や、ベートーヴェンの交響曲第7番、シューベルト:未完成、モーツァルト:交響曲第29番といったステレオ録音もあったりするので、鑑賞条件は比較的良好と言えると思います。
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