昨日に引き続き、またワグナーの「ジークフリート牧歌」を。
今日はブルーノ・ワルター指揮ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏、1935年6月に録音された音源です。1933年のナチス政権成立後ドイツを離れたワルターはこの時期ウイーンを拠点に活動していました。(1938年オーストリアがナチス・ドイツに併合されるとスイスに逃れその後アメリカに移住します。)これはそうした時代に遺された大切な記録です。
ワルターはこの「ジークフリート牧歌」を愛していたらしく、スタジオ録音を6回、ライヴも含めると8種類の録音を遺しているそうです。(宇野功芳著「名指揮者ワルターの名盤駄盤」より) このウイーン・フィルハーモニーとの音源はその4回目の録音です。
「名指揮者ワルターの名盤駄盤」での宇野功芳氏のこの演奏の批評を…
「(前略)旋律がほんとうの意味で歌われているのはこのレコードなのであり、それはワルター・プラス・恍惚たるウィーンの歌だ。ホルンや木管も魅惑的だが、弦の甘美さにいたっては比類もなく、まろやかな情緒を描きつくすのである。(後略)」(宇野功芳著「名指揮者ワルターの名盤駄盤」より)
この評にあまり付け加えることもなく…
ほんとうに蕩けるような弦の艶やかさです。
音楽を感動させる物って、リズムや音程の正確さや演奏の上手い下手だけではない、なにか言葉にできない要素があるんだな、なんてことを改めて考えてしまいました。一時代前の美しかったヨーロッパへの思いを感慨を込めて歌い上げる60歳を前にしたブルーノ・ワルター。そのワルターの指揮に見事に応えるウイーン・フィル…。しかし、ワルターはこの後さらなる試練を迎えるのです。
「(前略)
移住先のウィーンでは歓迎されてウィーン国立歌劇場やウィーン・フィルで、フルトヴェングラーなどと人気を争うほどの活躍をしたが、1938年にオーストリアがナチス・ドイツに併合されてしまうと、命に危険を感じウィーンを出てスイスのルガーノへ逃れた。この年創設されたルツェルン音楽祭にトスカニーニらと共に招かれたりしているが、パスポートもない状態でモナコなどに市民権の取得を打診し不調におわる。やがてフランスから手をさしのべられフランス国籍を取得、フランスなどドイツとオーストリアの影響の及ばない地域を中心に演奏活動を続けた。翌年もルツェルン音楽祭に招かれるが、チューリッヒで離婚調停中だった次女のグレーテルが夫に射殺され、その夫も自殺するという悲劇(著名なバス歌手エツィオ・ピンツァとグレーテルとの不倫関係が原因という)がワルターを襲う(音楽祭はトスカニーニが自らのスケジュールをキャンセルして代役を務める)。1939年9月に第二次世界大戦が勃発して欧州での戦火が激しくなると、ついにルガーノの家を出てアメリカへと逃れた。アメリカでは、カリフォルニア州ビバリーヒルズに居を構え、常任のポストには就かずにニューヨーク・フィルハーモニックやメトロポリタン歌劇場などを指揮した。(後略)」(Wikipedia ブルーノ・ワルター より )
Bruno Walter Conducts the Best of Wagner & Bruckner
Bruno Walter The Early Recordings: Mozart, Schubert, Haydn, Beethoven, Wagner, Mahker
名指揮者ワルターの名盤駄盤: 全盤レコード番号・CD番号付き (講談社+アルファ文庫 D 9-1)
名盤3割! 駄盤3割! 巨匠の魅力に迫る大労作!!――大指揮者ブルーノ・ワルターとファンとして手紙のやり取りを続けた著者が語る巨匠の魅力。全レコードを録音順に細部にわたって聞き込み、率直かつ辛口な批評でワルターの音楽をたどる。巻末には、ニューヨーク・フィルとの公演記録、ザルツブルク音楽祭への出演記録、全レコードの曲目を収録。
好評発売中のそえだ信「赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録」シリーズの第3弾が出版されました!!!
(表紙画像公開されました。正装した凜々しい貴公子ヴォルフと可愛いルートルフ!)
赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録3
ルートルフ、ついに正体がバレる!?
7か月かけた数々の発明により困窮する領地を救ったベルシュマン男爵家の兄弟コンビ。ようやく安定した長閑な生活を満喫する一家のもとに、王都の父から手紙が届いた。内容は建国記念祭を見に王都へ来ないかという誘いだった。ウォルフとルートルフは家族と伴に王都へ行くことを決める。
しかし数日後、王都への道中、ルートルフは妹のミリッツァと一緒に謎の男たちに攫われてしまう。護衛の助けが間に合わない絶体絶命の状況に、ルートルフは勇気を振り絞り……!?
さらに、自分が別世界の『記憶』を持っていることをこのまま隠し続けるのは難しいと考えたルートルフは、兄以外にも秘密を打ち明けることを決意して――。
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赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録1
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不作による飢餓、害獣の大繁殖。大ピンチの領地を救うのは、赤ちゃん!?
ルートルフ・ベルシュマンは生後6か月で突然大人並みの意識に目覚め、別世界の『記憶』に何かを告げられるのを感じる。焦らず周りの状況認識と言語習得から始めると、間もなく自分が男爵家の次男であり、領地が困窮していることを知る。領民たちが冬を越せないほどの深刻さに、自分が大人になるまでじっとしていられないと感じたルートルフは、兄のウォルフに自身の正体を明かし、ふたりで領地救済に乗り出そうと決意する。
「ぼく、のこと、ひみちゅ」
ふたりは別世界の『記憶』と『加護』という不思議な力を頼りに、領地に襲い来る問題への対処法を考えていくが……。
秘密を共有した兄弟コンビは無事に男爵領を救うことができるのか?
頭脳派0歳児の活躍とかわいらしさに目が離せない、本格異世界ファンタジー。
ルートルフがようやく1歳に!! 兄弟コンビの領地復興ストーリー第2弾!
貧乏男爵家次男のルートルフは、別世界の『記憶』を持った頭脳派0歳児。やがて困窮する領民の状況を知った彼は、兄のウォルフにだけ自身の正体を明かして、領地救済に乗り出していく。ふたりは黒パンやコロッケなどを次々と発明し、おかげで領地は危機を脱しつつあった。
そんなある満月の夜、ルートルフとウォルフはオオカミのザムの背に乗せられて、隣のディミタル男爵領へ連れていかれる。森の中に着いたふたりが見たのは、柵に捕われたザムの仲間たちだった! 領地困窮の大きな原因となった害獣大繁殖のカラクリを知ったふたりは、オオカミ解放作戦を開始するが……。
さらに、1歳を迎えたルートルフの前に見知らぬ赤ちゃんが現れて!? 赤ちゃん度MAXでお届けする、領地立て直しストーリー第2弾。
刑事の鈴木は、目覚めるとロボット掃除機になっていた! しかも眼前には男の死体が……。『地べたを旅立つ』改題。解説/辻真先
二月の苫小牧。完全犯罪をもくろむ男が用意した完璧なはずのアリバイは、意外な人物によって崩される。人を【援護/まも】るつもりが、いつも必ず容疑者にしてしまう――史上最も不器用な「探偵」が活躍する、デビュー作『掃除機探偵の推理と冒険』に続く新感覚ミステリ
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