ブルックナー 男声合唱と管弦楽のためのカンタータ「ヘルゴラント」バレンボイムの2つの録音 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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今日はブルックナーの男声合唱と管弦楽のためのカンタータ「ヘルゴラント」を聴きました。

 

この「ヘルゴラント」と言う曲、完成された楽曲としてはブルックナーの生涯最後の曲なのです。この曲の後にはそれ以前から作曲が続けられ、結局未完に終わった交響曲第9番が遺されるのみ、でした。

 

と言うブルックナーという人の伝記的な意味でも重要な意味を持つ曲の筈なのですが実は私は今日まで聴いたことがありませんでした。そして実際演奏されることが極めて少なく、録音されることもあまりない曲らしいのです。


「『ヘルゴラント』(ドイツ語: Helgoland)は、アントン・ブルックナーによる男声合唱と管弦楽のための声楽曲である。1893年に、ウィーン男声合唱協会(Wiener Männergesangvereins)の創立50周年を記念して作曲された一種の世俗カンタータである。完成された作品としては、ブルックナーの最後の作品となる(未完成の交響曲第9番は、1896年の作品である)。

この題材をブルックナーが自分で選んだのか、それとも他者の注文を満足させようとの目論見だったのかは不明である。歌詞は、アウグスト・ジルバーシュタインの詩によっている(ちなみにブルックナーは修業時代の1864年に、ジルバーシュタインの詩に曲付けしたことがあった)。歌詞の大意は、ヘルゴラント島のサクソン人がローマ人の侵攻に脅かされているが、神の介入によって救われる、というものである。部分的には、熱狂的ですらあるような力強さが漲っており、ブルックナーの作品の他のどの作品にも増して、ワーグナーの影響の痕跡が伺われる。

初演は1893年10月8日、ウィーンにてエドゥアルト・クレムザー指揮、ウィーン男声合唱協会とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によって行われた。聴衆には大絶賛され、臨席していた皇帝からも賞賛されたという。一方で、音楽評論家のロベルト・ヒルシュフェルトからは、合唱の扱いが器楽的すぎるとの批判を受けた。

1890年にヘルゴラント島が大英帝国からドイツ帝国に返還されたばかりであったというのは、興味深い事実である。」(Wikipedia ヘルゴラント より)

 

ある方のブログによると、演奏されることが少ないのは、「とんでもなく演奏が困難」だからではないか、と言う事なのですが、もしそれだけが理由だとしたら昨今はむしろ演奏が技術的に難しい曲だからあえて挑戦しようという合唱団などがあっても不思議ではない気がするのですが…、さて、どうなのでしょう?

 

演奏されることも録音すらも極端に少ないと言われる中、指揮者ダニエル・バレンボイムはこの曲を1979年(シカゴ交響楽団&合唱団)と1992年(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団&ベルリン放送合唱団、エルンスト=ゼンフ合唱団)に2回録音しています。

 

YouTubeにその両方の音源がありましたので両方聴いてみました。この記事冒頭に掲載したのがシカゴ交響楽団との1979年の録音、この下に掲載するのがベルリン・フィルとの1992年の録音です。

 

曲はエネルギッシュなオープニングから抒情的な美しさを聴かせる部分、きびきびしたリズムや男声合唱らしい力強さを感じさせる部分、充実した管弦楽と共に雄弁に物語を描きながら最後の壮大なコーダーに至るまで初演時に「聴衆には大絶賛され」た理由がよく分かる素晴らしい音楽でした。亡くなる3年前の曲ですが、少なくともこの頃まではブルックナーの創作意欲は少しも衰えていなかったことがよく分かりますし、作曲家としての技量はとんでもない領域に達していたのではないかという気がします。彼の寿命があと数年延びていたら。交響曲第9番がどのような形で完成していたか。ほんとうに惜しまれてならない気がしました。

(そう言えば、先に挙げたブログには、この「ヘルゴラント」のコーダー、実はブルックナーが交響曲第9番の最終楽章に使おうと用意していた物を「思わず」使ってしまったのではないか、と書かれていました。そのために第9番の最終楽章の構想が振り出しに戻ってしまい結局完成できなかったのではないか、と。そう考えるとさらに興味深く感じられますね。)

 

バレンボイムのベルリン・フィルとの演奏は以前のシカゴとの演奏と比べ随分テンポが速くなっています。よりエネルギッシュな物を感じこれはこれで魅力的ですが、シカゴとの演奏のゆったりとしたスケール感もまた捨てがたい気がします。

 

 

 

 

 

 

ブルックナー:交響曲第7番、ヘルゴラント、詩篇第150篇

現代屈指のピアニスト/指揮者ダニエル・バレンボイムがドイツ・グラモフォンに残した名盤をSHM-CDで再発。本作は、1972年~1980年(テ・デウムは1981年)にかけて録音、シカゴ交響楽団を振ったブルックナー交響曲全集から人気の交響曲第7番にヘルゴラント、詩篇という合唱作品を収録。ヘルゴラントはブルックナーが完成させた最後の作品。1979年3月録音。

 

 

ブルックナー:交響曲全集/交響曲第1番-第9番/ヘルゴラント/ダニエル・バレンボイム(指揮),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ブルックナー:交響曲全集/交響曲第1番-第9番/ヘルゴラント/ダニエル・バレンボイム(指揮),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 

 

 

 

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ルートルフ、ついに正体がバレる!?


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しかし数日後、王都への道中、ルートルフは妹のミリッツァと一緒に謎の男たちに攫われてしまう。護衛の助けが間に合わない絶体絶命の状況に、ルートルフは勇気を振り絞り……!?
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「ぼく、のこと、ひみちゅ」
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赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録2 (MFブックス)

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貧乏男爵家次男のルートルフは、別世界の『記憶』を持った頭脳派0歳児。やがて困窮する領民の状況を知った彼は、兄のウォルフにだけ自身の正体を明かして、領地救済に乗り出していく。ふたりは黒パンやコロッケなどを次々と発明し、おかげで領地は危機を脱しつつあった。
そんなある満月の夜、ルートルフとウォルフはオオカミのザムの背に乗せられて、隣のディミタル男爵領へ連れていかれる。森の中に着いたふたりが見たのは、柵に捕われたザムの仲間たちだった! 領地困窮の大きな原因となった害獣大繁殖のカラクリを知ったふたりは、オオカミ解放作戦を開始するが……。
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