倉山満「自民党の正体 こんなに愉快な派閥抗争史」 自民党の派閥とは一体何なのか? | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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昨年末から自民党清和会のパーティ券問題が大きなスキャンダルに発展し自民党の金銭問題や派閥というものが注目されるようになっています。そんな時だったこともあってか、Kindle Unlimitedで無料で読める本の中に「自民党の正体 こんなに愉快な派閥抗争史」と言う本を見つけ読み始めました。

 

著者は倉山満氏。かなり口は悪いですし(文章ですから口が悪いというのはおかしいですか?(笑))、時折首をひねるような部分は有るにしろ(笑)、この人の歴史関係や政治に関する本はわりと共感する部分も多く著書は比較的良く読んでいます。

 

この本は、2015年に出版された本のようで、自民党の派閥抗争史も第2次安倍政権までです。


自民党の派閥抗争史、と言うと先ず頭に浮かぶのは「小説吉田学校」です。そう言えばあれを読んだのは高校生の頃か大学に入った頃だったか……、と思って「小説吉田学校」を調べてみると、文庫版が出版されたのは私が社会人になってからのようです。あれっ寝そんな後だったかな? どうも記憶というものは当てになりません(笑) かなり長い小説ですが全巻一気に読んだ記憶は、たぶん間違いないでしょう。そう言えば映画も見ました。主演が森繁久弥、吉田茂の娘(と、言うことはあの麻生太郎氏のお母様、です。)役が吉永小百合、そして田中角栄役が西郷輝彦(これは絶対に似ていないですよね(笑))

 

この「自民党の正体」で著者は「小説吉田学校」を「嘘八百」の「必読の悪書」と言います(笑) と言って「小説吉田学校」に関する記述が結構有るのですが、ある意味この本自体視点や見る角度を変えた「小説吉田学校」、とも言えるかも知れません。自民党が結成されるまでの話も面白いのですが、保守合同以後の自民党の派閥の盛衰や、特に「三角大福中」時代以降の政治家たちの人物像がなかなか読み応えあります。特に三木武夫と田中角栄。そして中曽根やその後に続いた竹下登、小泉純一郎。彼らの政治力や権力の裏付けはなんだったのか、著者の分析力はなかなか鋭いものがありなるほどと思わせられるものも多く。

 

面白い本でした。それぞれの時代の思い出などもあり、一気に読んでしまいました。

 

長期政権を維持するためにはアメリカ・大蔵省(現財務省)・参議院の支持が必要、と著者は言います。(参議院のと頃は現在は公明党と言っても良いかもしれません。) 多分そうなのでしょう。もちろん民主主義の政治体制の中で政権を維持するためには多数の人の支持が必要なのは当たり前で、色々な人への忖度があるのもやむを得ないことでもあります。しかし、そう言った様々なしがらみのためにどうしても必要なことが実行できないとしたら、現在の体制に問題があるという事では無いかとも思います。戦後80年近く経っても憲法の一文字すら修正できない現状は一体どうしたらよいのか。

 

清和会のパーティ券問題で、政治にはお金がかかるから、と言う声もあります。しかし、もうそろそろそのあたりから変えていかなければならないのでは無いでしょうか。お金をかけないで選挙はできないものか。自民党のような政党に派閥というものが本当に必要なのか。今起きている問題は、今だけの問題ではありません。「自民党の正体」で描かれた派閥抗争による自民党内での政権交代の歴史。そんなものが作りだしたいびつなシステムの一つなのです。このまま終わらせて本当に良いのでしょうか?それは間違いなく自民党の、それも清和会という一つの派閥の問題として騒ぐだけで終わらせる問題では無いのだろうと思います。真剣に考えなければ成りませんね。

 

 

自民党の正体 こんなに愉快な派閥抗争史

戦後の大部分の時期において「政権与党」となり、日本を“支配?”してきた自民党。いまこの時も、この党に所属する政治家たちが様々な物議をかもしつづけている。だが冷静に考えてみれば、自民党は実に「不思議な党」であり、「おかしな党」である。何でこんな党なのか。誰がどうやって動かしているのか。物事はどんな原理で決まっているのか。そもそも、この党の存在意義はどこにあるのか……。本書は、戦前の政党史、戦後の混迷期、保守合同、「三角大福」の争い、闇将軍、竹下支配、失われた10年、小泉純一郎の改革、そして安倍内閣へと至る、前史から現在までの大河のような自民党の歴史を詳述し、「自民党の謎と秘密」をすべて白日の下に晒す意欲作である。党人、官僚、変人、権力の鬼など、超個性的な人たちが織りなしてきた不思議な政党史を、抱腹絶倒のエピソードをふんだんに交えつつ、大放談! 大笑いし、膝を打ちつつ読み進めるうちに、この党の「行く末」までが手に取るようにわかるようになること、うけあいである。すべての日本人必読の一冊!

 

 

 

 

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