ブラームス交響曲第4番 カール・シューリヒト さりげなさの中ににじむ深い味わい。まさに大人の芸術 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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今日はブラームスの交響曲第4番を。演奏はカール・シューリヒト指揮シュトゥットガルト放送交響楽団。1964年3月6日のライヴ録音盤、です。1964年、と言うとシューリヒトは84歳、彼の最後のステージは翌1965年のザルツブルグ音楽祭でしたから、最晩年の記録の一つと言っても良いと思います。(最後の録音は1966年5月、コンサート・ホールレーベルに録音したブランデンブルグ協奏曲、のようです。)

 

ブラームスの交響曲第4番はブラームスの作曲した4曲の交響曲の最後の曲であり、最もブラームスらしい、と言われる曲でもあります。

「交響曲第4番ホ短調作品98(こうきょうきょくだい4ばんホたんちょうさくひん98、ドイツ語: Sinfonie Nr. 4 in e-Moll op. 98)は、第3交響曲完成の翌年1884年から1885年にかけてヨハネス・ブラームスが作曲した最後の交響曲。第2楽章でフリギア旋法を用い、終楽章にはバロック時代の変奏曲形式であるシャコンヌを用いるなど、擬古的な手法を多用している。このことから、発表当初から晦渋さや技法が複雑すぎることなどが批判的に指摘されたが、現在では、古い様式に独創性とロマン性を盛り込んだ、円熟した作品としての評価がなされており、4曲の交響曲の中でも、ブラームスらしさという点では筆頭に挙げられる曲である。同主長調で明るく終わる第1番とは対照的に、短調で始まり短調で終わる構成となっているが、これは弦楽四重奏曲第1番、第2番やシェーンベルクが管弦楽に編曲しているピアノ四重奏曲第1番など、ブラームスの室内楽曲では以前から見られる構成である。ブラームス自身は「自作で一番好きな曲」「最高傑作」と述べている。演奏時間約40分。」(Wikipedia 交響曲第4番 (ブラームス) より)

 

深い哀愁に満ちたこの曲を、シューリヒトはいかにも彼らしい軽く歯切れの良くさりげなく流れる音楽として表現します。決して重々しくはならず、決して暗すぎる表情も見せずさらさらと流れる音楽。しかし、その中に込められた思いは決して軽いものでは無く、その音楽の中から伝わってくる味わいのなんと深いこと。ふつふつと、そしてひたひたと押し寄せてくる感興。ああ、これがブラームス、そしてこれこそシューリヒトの音楽。曲もそして演奏も、これこそ酸いも甘いも噛み分けた大人にしか為し得ない境地に達した芸術なんだな、と改めて感じました。良い演奏、でした。

 

 

カール・シューリヒト・コレクション 第2集 / シュトゥットガルト放送交響楽団 歴史的録音集 1951-1966 (Carl Schuricht Collection II / Radio-Sinfonieorchester Stuttgart Historical Recording 1951-1966) (10CD) [輸入盤]

SWRアーカイヴ収蔵の正規音源を使用したCD10枚組の内容には、正規音源によるリリースとしては初めてとなるもののほかに、これまで商品化されたことがなく、おそらく当セットで初めて日の目をみる音源が数多く含まれているのが見逃せないところです。
作品の成立した同時代の空気を吸い、シューリヒトが得意としていたシュトラウスの「家庭交響曲」をはじめ、ベートーヴェンの「運命」、ブラームスの「アルト・ラプソディ」「悲劇的序曲」、ヴェーバーの「オベロン序曲」、レズニチェクの「ドンナ・ディアナ序曲」、ギュンター・ラフェエル(1903-1960)の「シンフォニア・プレーヴェ」といった独墺系のプログラムに、楽団のコンマスで名手シマーが独奏を務める、オブシエ(1900-1957)の「ヴァイオリン協奏曲」がこれにあたります。
そして、なにより興味深いのが、ディスク10には、ブラームスの「第2交響曲フィナーレ」と、ワーグナーの「パルシファル」のリハーサル風景がたっぷり収められていること。
高潔な人柄で団員や共演したソリストたちから尊敬を集めたシューリヒトですが、プローベは「蜜のように甘いものではなかった」とウィーン・フィル・エピソードにも記載されているように、思いがけず巨匠による至芸の奥義に触れられるのは無上の喜びといえるでしょう。

シュトゥットガルト放送交響楽団
カール・シューリヒト(指揮)

 

 

 

カール・シューリヒトの芸術[30枚組]

オーケストレーションを客観的に整理した解釈と、明確で生命力に満ち、なおかつ気品のある美しさを湛えた演奏が現在も多くの支持を集めているカール・シューリヒト。彼が1955年から60年まで、シュトゥットガルト放送交響楽団を振って南ドイツ放送(SDR)に残した放送用のセッション録音やライヴをCD20枚にわたり記録した「カール・シューリヒト・コレクション」、続くCD10枚組の「同第2集」、合計30枚のCDを新たに1つのBOXとした集大成が登場しました。巨匠の素晴らしい遺産をたっぷりとお楽しみいただけます。

 

 

 

 

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赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録2 (MFブックス)

ルートルフがようやく1歳に!! 兄弟コンビの領地復興ストーリー第2弾!

貧乏男爵家次男のルートルフは、別世界の『記憶』を持った頭脳派0歳児。やがて困窮する領民の状況を知った彼は、兄のウォルフにだけ自身の正体を明かして、領地救済に乗り出していく。ふたりは黒パンやコロッケなどを次々と発明し、おかげで領地は危機を脱しつつあった。
そんなある満月の夜、ルートルフとウォルフはオオカミのザムの背に乗せられて、隣のディミタル男爵領へ連れていかれる。森の中に着いたふたりが見たのは、柵に捕われたザムの仲間たちだった! 領地困窮の大きな原因となった害獣大繁殖のカラクリを知ったふたりは、オオカミ解放作戦を開始するが……。
さらに、1歳を迎えたルートルフの前に見知らぬ赤ちゃんが現れて!? 赤ちゃん度MAXでお届けする、領地立て直しストーリー第2弾。

 

 

 

 

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ルートルフ・ベルシュマンは生後6か月で突然大人並みの意識に目覚め、別世界の『記憶』に何かを告げられるのを感じる。焦らず周りの状況認識と言語習得から始めると、間もなく自分が男爵家の次男であり、領地が困窮していることを知る。領民たちが冬を越せないほどの深刻さに、自分が大人になるまでじっとしていられないと感じたルートルフは、兄のウォルフに自身の正体を明かし、ふたりで領地救済に乗り出そうと決意する。
「ぼく、のこと、ひみちゅ」
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二月の苫小牧。完全犯罪をもくろむ男が用意した完璧なはずのアリバイは、意外な人物によって崩される。人を【援護/まも】るつもりが、いつも必ず容疑者にしてしまう――史上最も不器用な「探偵」が活躍する、デビュー作『掃除機探偵の推理と冒険』に続く新感覚ミステリ

 

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