今日はルネサンス期のスペインの作曲家クリストバル・デ・モラーレスのレクイエムを聴きました。
モラーレスについては以前にも記事投稿しています。
近い時代のフランドルやイタリアの音楽家の音楽と比べ、独特の陰影と色彩感を感じる音楽はちょっと惹きつけられる物があります。これは、モラーレスの後輩にあたるスペインの大作曲家ヴィクトリアの作品にも感じられる要素でもあり、もしかするとイベリア半島の風土や歴史なども関係しているのかもしれない、などと考えてしまいます。
石造りの教会の厳かな響き、ステンドグラスの填められた窓から差し込む光。大航海時代の扉が開いた頃、これから最盛期に向かおうとしていた時代のスペインの地の底から湧き上がるようなエネルギーを胸の奥底に秘めながら静かに厳かに歌われる祈りの歌。
しかし。
こんな清麗で美しい宗教音楽が奏でられていたその陰では、例えば新世界で行われていた口に出すのもはばかられるような残虐行為の数々。いや、新世界だけでは無く、アジアでもアフリカでも。これから数百年にわたって繰り返されたキリスト教世界の住人たちによる異教徒、非白人に対するおぞましい支配…
美しい音楽を聴きながらこんな事を考えるのは止めた方が良いのかも知れません。
いや、美しいことも醜いことも全てひっくるめて人間なのだ、と言う事なのかも知れません。
それにしても。
いまパレスチナで起きていること、ウクライナで起きていること、などを考えるとやはり複雑な気持ちになってしまいます。
宗教とは何か。
芸術とは何か。
人間とは、何か。
民族も宗教も何もかも関係なく、全ての人が平和に過ごすことのできる日は来ないものか。
「クリストバル・モラーレス(Cristóbal de Morales, 1500年頃 セビリャ - 1553年10月7日 マルチェーナ Marchena)はルネサンスの作曲家。ビクトリア以前のスペインの作曲家では、最も影響力があった。
(中略)
ほぼすべての作品が宗教曲であり、そのすべてが声楽曲である。しかしながら楽器は、演奏の際に伴奏として使われていたかもしれない。モラーレスは数多くのミサ曲を作曲しており、そのいくつかは、おそらく教皇庁の聖歌隊のために作曲されたためであろう、目をみはるほどの難しさである。モテットは100曲以上、マニフィカトは18曲、エレミアの哀歌は少なくとも5曲ある。(このうち1曲はメキシコの単独の手稿譜に存在している)。《マニフィカト》のみがモラーレスを他の作曲家から際立たせる存在であり、こんにち彼の作品の中ではこれらが最も頻繁に演奏されている。様式的に見ると、モラーレスの作品は、中期ルネサンスの他のイベリア半島の作曲家と多くの点で共通点があり、たとえば現代人の耳にとって調性音楽のように聞こえる和声進行への偏愛(4度や5度によるバスの動きはゴンベールやパレストリーナよりも普通に行われている)や、トマス・タリスなどの同時代のイギリス音楽よりさらに自由な、準固有和音や借用和音の利用である。モラーレスの作曲様式で特徴的な点の一つが、リズムの自由であり、随所で3対4のポリリズムが認められ、また、ある声部が、他声部の主導的な拍節感を無視して、テクスト通りのリズムで歌うために、クロスリズムが生ずる箇所もある。後半生において地味で重厚なホモフォニー様式で作曲するようになるが、一生を通じてモラーレスは、テクストの表現と分かりやすさを芸術上の最高の目標とした、注意深い職人なのであった。
モラーレスは国際的な名声を得た最初のスペイン人作曲家である。その作品はヨーロッパ全域で販売され、多くの楽譜は新大陸にも渡って行った。モラーレス作品は、作曲者の死後から100年経ってもなお多くの音楽著作家や音楽理論家によって、当時の完璧な音楽の一つに数えられていた。」(Wikipedia クリストバル・デ・モラーレス より)
Morales;Officium Defunctorum/M
クリストバル・モラレス(スペイン)Cristóbal de Morales 1500~1553
「レクィエム」 (死者のための5声のミサ曲) Requiem
ジョルディ・サヴァール (Cond) Jordi Savall
エスペリオンⅹⅹ Hesperion XX
ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャ Chor La Capella Reial de Catalunya
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