今日は久し振りにクナッパーツブッシュのブルックナーを。
1963年1月24日にライヴ録音されたミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団とのブルックナー交響曲第8番です。
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団とのブルックナー交響曲第8番、と言うウエストミンスターから発売されたステレオ録音によるディスクが有名です。ブルックナー第8番の名盤というと先ず始めに名前の出る録音、です。クナッパーツブッシュの代表的な演奏、と言っても良いかもしれません。
今日聴いた演奏は、そのウエストミンスター盤が録音される数日前のコンサートライヴ、なのです。
モノラルの放送録音と言う事で、セッション録音されたディスクとは比較にはならないかも知れませんが、想像されるよりはずっと聴きやすい音で、ライヴらしい音のばらつきは有るにしてもセッション録音のウエストミンスター盤よりむしろ自然な息づかいが感じられる聴き応えのある演奏です。
そう言えばクナッパーツブッシュのブルックナーはすべてが所謂「改訂版」による演奏で、戦前戦中から戦後にかけて研究が進み新たに出版された「原典版」は全く使わなかったようです。その事でクナのブルックナーを否定する意見なども聞くことがあります。
私は、まあめんどくさがりなクナッパーツブッシュは新たな楽譜を研究するより若い頃勉強し隅から隅まで知り抜いた「改訂版」の使用にこだわったのだろう程度に考えていたのですが(笑)
HMVのサイトでこんな記載を見ました。
「クナはブルックナーの楽譜について、ブルックナー本人の意思で出版され、作曲者と遺族が多少なりとも著作権報酬を得ることができた「初版」にこだわり続けました。理由のひとつとして、色々と危なっかしいブルックナーの人生をもっとも献身的に支えたフェルディナント・レーヴェの存在が大きかったことが考えられます。」(ハンス・クナッパーツブッシュ ミュンヘン・フィル・コレクション(11CD)商品解説 より )
レーヴェを始めとしたブルックナーを善意で支え、ブルックナーの音楽の普及に尽くした「弟子」たちに対する思いがあったのでは無いか・・・
それと、新たなブルックナー研究の中心になっていたローベルト・ハース等国際ブルックナー協会とナチスとの関係に嫌気がさしていたのでは無いか、とも。
どうやら、このブルックナーにおける「楽譜」の問題は一筋縄ではいかないことのようです。
私など難しい事は分かりませんし、遺された演奏を聴いて気に入るかどうかがすべて、と思いますのでそれ以上深入りはする気もありませんし、たぶんできないでしょう。
ともかく、クナッパーツブッシュのブルックナー、私は好きです。(笑)
あまりにも有名なウェストミンスターのセッション録音直前のライヴ。
オリジナル・マスターのからの復刻で、過去に流布していたディスクとは比較にならないほど鮮明な音質。
最晩年の悠然とした解釈が手に取るようにわかり、初めて聴いたかのような新鮮な感動を与えられる。
クナ・ファン、ブルックナー・ファン必携。
ハンス・クナッパーツブッシュの芸術 with ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
ブルックナーのライヴ録音のほか、ステレオのセッション録音など、クナがミュンヘン・フィルを指揮した代表的なものがCD11枚分集められています。