もう何年か前、マティアス・バーメルトが札幌交響楽団の首席指揮者に決まった頃、どんな人かと経歴などを調べたことがありました。作曲家としてはブーレーズとシュトックハウゼンに師事、指揮者を志してジョージ・セルに弟子入りし指揮者としての最初の仕事はストコフスキーの助手。なるほど。どうやらその後もかなりの経歴の持ち主らしく・・・。そう言った流れで、どうやらかなりディスコグラフィーも充実しているらしいと言う事はそのとき知ってはいたのですが、最近になってこの人の札響以前の録音にも触れてみたいとまた改めてネットをいろいろ調べてみました。
CDも輸入物で結構色々出ているようなのですが、Amazon Music UnlimetedやiTunes、ナクソス・ミュージック・ライブラリーなどでもの凄い数の録音が聴けることが分かりました。そして、驚いたのがその内容です。
上に掲載した画像はナクソス・ミュージック・ライブラリーで聴けるバーメルトの録音の一覧ですが、だいたい100件ほどあります。驚いたのはその数だけではなくその内容なのです。
知っている作曲家の名前がほんの数点ほどしか無い・・・。ドヴォルサークとサン・サーンスのチェロ協奏曲と数点のストコフスキー編曲の管弦楽集以外は、コープランド/ニールセンとシェーンベルクは一応多少は知っている内に入るかも知れませんが、レオポルド・モーツァルトやミヒャエル・ハイドン、サリエリなどは名前を知っている程度ですしその他の膨大な録音はほぼ知らない作曲家の作品ばかりなのです。
どうやら、1992年から2000年まで、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ首席指揮者時代、モーツァルトと同じ時代の作曲家の作品をかなり集中して取り上げたようですし、後はイギリスの作曲家の先品もおおいようです。そして自らが作曲家であるという事もあってか近現代の作曲家の作品もかなりの数があります。
そう言ったディスコグラフィーですから、何を取り上げてもかなり新鮮に聴けるのは間違いありません。
まず冒頭に掲載したのはパリー交響曲全集から第2番。全集を続けて聴いてみたのですが、中でもこの曲がとても気に入りました。
「初代准男爵サー・チャールズ・ヒューバート・ヘイスティングス・パリー(Sir Charles Hubert Hastings Parry, 1st Baronet, 1848年2月27日 - 1918年10月7日)は、イギリスの作曲家、教育者。ミドルネームの「ヘイスティングス」にあたる部分は英国でも「H.」と略記することが一般的である。
ウィリアム・ブレイクの詩に曲をつけた聖歌『エルサレム』が有名となっており、BBCプロムスの最終夜で必ず演奏されるなどイングランドで国民的に愛されている。
(中略)
パリーは、ワーグナー夫妻と個人的に親しく、ロンドンにおけるワーグナーの代弁者とみなされていたが、作曲家としては主にバッハやブラームスに傾倒した。ブラームス風の明快な和声、構成を基にしつつも、力強く全音階を突き進む旋律様式は、エルガーやヴォーン・ウィリアムズに影響を及ぼしている。作曲家としての完全な成長は、あまりの激務に取り組んだために、確かに妨げられはしたが、教師や学校管理者としての能力は言うまでもなく、そのエネルギーとカリスマ性によって、イギリスの文化的生活の中心に音楽を打ち立てる上で大きな力となった。詩人のロバート・ブリッジズと共同制作に取り組んだほか、音楽に関する数々の著作や論文を著した。『音楽芸術の進化The Evolution of the Art of Music 』(1896年)や、『オックスフォード版 音楽史』(1907年)、J.S.バッハ研究(1909年)などがある。」(Wikipedia チャールズ・ヒューバート・パリー より)
こちらは、レオポルト・コジェルフと言う人の交響曲です。モーツァルトやベートーヴェンの同時代の作曲家ですが、この曲もとても活気があって魅力的です。
「レオポルト・アントニーン・コジェルフ(Leopold Antonín Koželuh, *1747年6月26日 プラハ近郊ヴェルヴァリ - †1818年5月7日 ウィーン)は、ボヘミア出身のウィーンの作曲家・音楽教師。生前はドイツ語名レオポルト・アントン・コツェルフ(Leopold Anton Kozeluch)として有名だった。父親アントン・バルトロメウスは教師であり、従兄ヤン・コジェルフも作曲家、娘カタリナはピアニストであった。」(Wikipedia レオポルト・アントニーン・コジェルフ より)
下にリンクしたのは、L.モーツァルト、つまりモーツァルトのお父さんの作品。これらもあまり聴く機会ありませんよね。
こちらはストコフスキー編曲のバッハ、です。これもなかなか面白い。
「マティアス・バーメルト(Matthias Bamert, 1942年7月5日 ベルン州エアジーゲン ? )はスイスの指揮者・作曲家。
母国で学んだ後、ダルムシュタットやパリでブーレーズとシュトックハウゼンに師事し、1970年代以降の作風で両者の影響を受ける。1965年から1969年までザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席オーボエ奏者を務めるが、後に指揮者に転向した。
アメリカ合衆国において指揮活動に入り、まずはジョージ・セルに弟子入りし、その後レオポルド・ストコフスキーの助手となり、ロリン・マゼール時代のクリーヴランド管弦楽団で常任指揮者のひとりとなった。1977年から1983年までバーゼル放送交響楽団の音楽監督を務めた後、ヨーロッパ各地で幅広い名声を得るようになった。
1985年から1990年まで、ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団の首席客演指揮者ならびにグラスゴーの現代音楽フェスティバル「ムジカ・ノヴァ」の監督を務めた。革新的なプログラム作りで有名になり、武満徹やヴォルフガング・リーム、ジョン・カスケン、ジェームズ・マクミランら多くの作曲家の作品の世界初演に取り組んだ。1987年以降はロンドンに定住している。
1992年から2000年まで、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ首席指揮者。ルツェルン音楽祭監督職に在任中の1992年から1998年にかけて、想像力豊かな企画力の才能で勇名を馳せ、この頃には数々の音楽祭や音楽事業の組織にかかわるようになった。
2000年から2005年までニュージーランド交響楽団首席客演指揮者、2003年から2006年まで西オーストラリア交響楽団首席指揮者、2005年から2008年までマレーシア・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者を歴任。2017年からテジョン・フィルハーモニック管弦楽団首席客演指揮者。2018年4月から札幌交響楽団首席指揮者。
正統的なレパートリーの指揮者として安定した名声を受ける一方、新音楽や忘れられた18世紀の音楽、あらゆる時代の無視されてきた音楽の擁護でも知られている。ごく短期間で未知の楽譜に習熟し、演奏会や録音を通じてすこぶる効果的な初演を実現させる能力で知られている。録音数も数多く、モーツァルトの同時代の作曲家の作品や、パリーの交響曲全集、フランク・マルタンの管弦楽曲集、ロベルト・ジェラールの交響曲集、ストコフスキーの編曲集、コルンゴルトとエルンスト・フォン・ドホナーニの管弦楽曲集は評価が高い。また、マイケル・オルーク(Miceal O'Rourke)との共演によるジョン・フィールドのピアノと管弦楽のための作品集も名高い。
(中略)
自作の中では、ルイヴィル管弦楽団の録音(1974年)による《Mantrajana》が知られている。」(Wikipedia マティアス・バーメルト より)
バーメルトは落ち着いた指揮振りで派手さはないが、堅実かつ丁寧な音作りに励んでいる。パリーの音の世界を堪能するのに最適のアルバムである。
ヒューバート・パリー (1848-1918):
交響曲第1番 ト長調
交響曲第2番 ヘ長調 「ケンブリッジ」
交響曲第3番 ハ長調 「イングリッシュ」
交響曲第4番 ホ短調
交響曲第5番 ロ短調 「交響的幻想曲1912年」
マティアス・バーメルト(指揮)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
そえだ信「臼月【うすづき】トウコは援護【まも】りたい」
「掃除機探偵の推理と冒険」に続きこちらもよろしくお願いします。
4編の倒叙ミステリーからなる連作中短編集。ユニークなキャラクターが魅力的です!
ツイッターに感想がよせられています!
「昨日の予告通り、そえだ信 さんの『臼月トウコは援護りたい』の感想を、ブログにアップしました。 もうちょっと素直に読んでも良かったかも、という気もしないでも無いですが、私のようなヒネクレ者にも楽しめる、良い作品です。」
昨日の予告通り、そえだ信 さんの『臼月トウコは援護りたい』の感想を、ブログにアップしました。
— tap (@tap48647575) July 1, 2022
もうちょっと素直に読んでも良かったかも、という気もしないでも無いですが、私のようなヒネクレ者にも楽しめる、良い作品です。https://t.co/FSgVzXuqi3
https://t.co/ZaH6nfqFwY
そえだ信「臼月トウコは援護りたい」面白かった。
— Kenji Kimura/木村憲司 (@Kenji_Kimura_) June 28, 2022
被疑者の無実を証明しようと証言を剃ればするほど、被疑者のアリバイを崩していくキャラクターにまつわる、すっきりするミステリ短編集! pic.twitter.com/wnz6zKrsLq
「掃除機探偵面白かったので購入。 完璧なアリバイを用意して犯行に及んだ犯人たち。雇ったばかりの臼月トウコの援護によって追い込まれていく連作倒叙ミステリ。 風変わりのキャラと独創的なトリックの面白さが際立っていて、楽しめました。」
臼月トウコは援護りたい/そえだ信
— 濃緑ノ茶@読書垢 (@bookkk_7902) June 25, 2022
掃除機探偵面白かったので購入。
完璧なアリバイを用意して犯行に及んだ犯人たち。雇ったばかりの臼月トウコの援護によって追い込まれていく連作倒叙ミステリ。
風変わりのキャラと独創的なトリックの面白さが際立っていて、楽しめました。#読了 pic.twitter.com/onhd2OxvLh
「「臼月トウコは擁護りたい」、読了!倒叙モノの醍醐味の一つに犯人の焦燥感があると思うのですが、本作はこれが思う存分に楽しめて良いですね。使えないバイトとして犯人の目の前に出現する上に、自分の犯罪の弱点はきっちり刺してきて、クビだ!!!にいたる様式美が好き。ドラマにも向くのでは?」
「臼月トウコは擁護りたい」、読了!倒叙モノの醍醐味の一つに犯人の焦燥感があると思うのですが、本作はこれが思う存分に楽しめて良いですね。使えないバイトとして犯人の目の前に出現する上に、自分の犯罪の弱点はきっちり刺してきて、クビだ!!!にいたる様式美が好き。ドラマにも向くのでは?
— えぬびい/ n.bringer (@nightmareb) June 25, 2022
「『臼月トウコは擁護りたい』読んだぜ。 北海道(主に札幌)を舞台にした連作倒叙。犯人が上手く警察の追及を避けられたかな、ってところにふらりと「そうですよーこの人が犯人なワケないじゃないですかー」と加勢しに来たかと思ったらスーパー余計なことを言って急転直下事件を解決しちゃう臼月さんは」
『臼月トウコは擁護りたい』読んだぜ。
— 白樺香澄 (@kasumishirakaba) June 24, 2022
北海道(主に札幌)を舞台にした連作倒叙。犯人が上手く警察の追及を避けられたかな、ってところにふらりと「そうですよーこの人が犯人なワケないじゃないですかー」と加勢しに来たかと思ったらスーパー余計なことを言って急転直下事件を解決しちゃう臼月さんは
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二月の苫小牧。完全犯罪をもくろむ男が用意した完璧なはずのアリバイは、意外な人物によって崩される。人を【援護/まも】るつもりが、いつも必ず容疑者にしてしまう――史上最も不器用な「探偵」が活躍する、デビュー作『掃除機探偵の推理と冒険』に続く新感覚ミステリ
文庫版「掃除機探偵の推理と冒険」発売中
今朝のCBCラジオ「朝PON」で紹介したのは、そえだ信『掃除機探偵の推理と冒険』(ハヤカワ文庫JA)でした。目が覚めると円盤型お掃除ロボットになっていた、しかも部屋には死体が...というカフカもびっくりの設定。そして彼は札幌から小樽まで30kmの旅に出る。充電は?人目は?とにかく素っ頓狂で爽快!
? 大矢博子 (@ohyeah1101) June 9, 2022
本書は『地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険』というタイトルで2020年に刊行されたアガサ・クリスティー賞受賞作の改題文庫化。AI搭載お掃除ロボットのロードノベルってだけで斬新じゃん? 決死の覚悟で階段を降りたり側溝にハマったりという冒険がいちいち楽しい。あと肉じゃが食べたい。
? 大矢博子 (@ohyeah1101) June 9, 2022
刑事の鈴木は、目覚めるとロボット掃除機になっていた! しかも眼前には男の死体が……。『地べたを旅立つ』改題。解説/辻真先
解説者は、辻真先さん。とても素敵な解説でした。ぜひご一読下さい。
クリスティー賞受賞作が文庫化されて、どうやらぼくに作者からお声がかかったらしい。解説を書かせていただきました。カフカじゃないが、なぜか主人公は掃除機になったのです。そこからはじまる汗と涙のロードミステリ。このじれったくてスリリングな奇想にハラハラして、最後はスカッとしてください。 pic.twitter.com/yvc2qgZVFm
? 辻 真先 (@mtsujiji) May 15, 2022
そえだ信、いよいよ国際的作家に?(笑)
クリスタルウインド 添田@cwind7065
「地べたを旅立つ」タイで出版されたようです。 https://t.co/3z50OBCvBc
2022年03月16日 18:32
タイの次は、台湾、でした。









