オットマール・スウィトナー 愛人と息子に会うため週末ごとにベルリンの壁を越え・・・ | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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クラシック音楽を中心にした好きな音楽と読書感想、日々の雑感などを思いつくまま気まぐれに書き綴ります

 

昨日、クーベリックのモーツァルトを聴きながら、暫く忘れていた演奏の録音のことを思い出していました。

 

オットマール・スウィトナー指揮NHK交響楽団演奏による「モーツァルトの交響曲第40番」

 

私が大学生の頃、4畳半一間の下宿生活にオーディオ機器など持ち込むことも出来ず、音楽はほとんどカセットテープで聴いていた頃のことですから、たぶん1975年前後にFMで放送された演奏だと思います。

 

私が初めてモーツァルトの第40番や第41番「ジュピター」等を聴いたのはカール・ベームが1955年頃にアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を振ったレコードでした。(この2曲と第39番が一枚に入って900円という驚異的な廉価版たでした(笑)) ベームが振るその第40番はとても無愛想だけれどストレートに何かが伝わってくるような演奏で今でもとても好きな40番の一つです。

 

スウィトナー指揮NHK交響楽団の第40番も初めて聴いた時から惹きつけられた演奏でした。割と速めのテンポでベームのコンセルトヘボウ盤と少し似た感じですが流れはもっとスマートな感じ。あっさりとしているようでなんとも言えない味のある演奏でした。引き締まったリズム、陰影の深い響き。テンポは決して大きく揺れているわけでも無いのにモーツァルトの心の揺らめきが伝わってくるようだったのです。

 

エアチェックしたカセットは何度も何度も繰り返し聴きました。(ワルターやベームのレコードとともにスウィトナー/N響のこの演奏も私のモーツァルト体験の原点の一つかも知れません。)

 

カセットを聴くことも無くなり、すっかりオットマール・スウィトナーと言う指揮者のことも忘れかけていたのですが、クーベリックのモーツァルトを聴きながら演奏の表情は随分違ったけれど同じくらい好きだった演奏・・・、と頭をよぎりました。

 

モーツァルト 交響曲第40番 スウィトナー指揮 N響 - YouTube

 

(これは1984年の演奏、と言う事ですので私が良く聴いていた録音とは違う演奏ですが、やはり基本的な解釈は同じようです。これもなかなか良い演奏だと思います。)

 

そう言えば、ブルックナーをよく聴き始めた頃、スウィトナーの演奏がとても良いという批評を読んでレコードを探したことがありました。でも結局見つからずそのまま忘れていたのですが・・・

 

Youtubeにスウィトナー指揮NHK交響楽団のブルックナー交響曲第8番の動画がありました。(その後動画削除されてしまったようです。)

 

この演奏を早く聴いていれば、ブルックナーの第8番ももっと早く好きになっていただろうに。

なんだか、そんな気がしました。

 

やはり凄い指揮者だったんだなと再認識。

 

Wikipediaの記事の最期の方に興味深いエピソード。

「2007年、ZDF/Filmkombinat制作、息子のイゴール・ハイツマン監督によるドキュメンタリー映画『父の音楽 指揮者スイトナーの人生』に出演した。妻とともに東ベルリンに暮らしながら、西ベルリンに住む愛人との間に一子イゴールを儲け、週末ごとにベルリンの壁を越えて彼らに会っていたこと、パーキンソン病のために指揮活動から身を引いたこと、妻・愛人・イゴールの3人に見守られながら穏やかな余生を過ごしていること、などが語られていた。」

さりげなく凄いことが書かれているような気がします(笑)

顔に似合わずすさまじい人生を送られたようで・・・

やはり一流の芸術家、です(笑)