「B(べー)ブラームス20歳の旅路」 ブラームスの青春の日々と「ハンガリー舞曲集」 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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『ハンガリー舞曲集』は、ヨハネス・ブラームスがジプシー(ロマ)音楽を基にして編曲した21曲からなる舞曲集です。最初はピアノ連弾のために書かれ爆発的な人気を博しました。その後それを基にピアノ独奏版、ヴァイオリン版、管弦楽版、ギター独奏版などのヴァージョンが生み出されました。管弦楽版もよく知られていますが、ブラームス本人が管弦楽用の編曲をしたのは第1曲、第3曲、第10曲で残りの18曲はさまざまな音楽家によってオーケストレーションされています。

この動画は先日今年9月の演奏会限りで引退することを発表したベルナルド・ハイティンクが当時常任指揮者を務めていたアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮し1980年に録音した演奏です。


「B(べー)ブラームス20歳の旅路」



「19世紀半ばのドイツ。若きヨハネス・ブラームスとエドゥアルト・レメーニは二人で音楽修行の旅に出る。ドイツ音楽の正統派を目指すヨハネスは、自由奔放なレメーニに自分にない魅力を見出し、自らの道を模索していく。」(Amazon 内容紹介より)

何か面白そうな物は無いかなと、スマートフォンでAmazonのKindleストアをあれこれとみていたら、この画像が目に付きました。

ブラームスまだ20歳の青年だった頃、シューマンとの運命多岐な出会いをする直前の話です。ヴァイオリニスト レメーニとともに演奏をしながらの旅に出たブラームスは様々な出来事や出会いを経験しながら自らの音楽を磨き上げようとしていきます。

クラシックの音楽家を主人公にしたコミックのも珍しいですし、それがブラームスとなると知名度はともかくキャラクターとしてはいかにも地味な感じで、逆に一体どんな話なんだろうと興味がわきました。

天才肌のレメーニと正統派の音楽家を目指すブラームスの葛藤というか小さなぶつかり合いの中からブラームスが新しい自分を発見していくと言うような流れがなかなか面白く絵もきれいで楽しい作品でした。

ただ3巻で完結していますので少し物足りないというか、さあこれから、と言うところで終わった感じもあり、この先の2人を見てみたい様な気もします。

(もっとも実話では、このあと2人は仲たがいをしてしまうようですし、そのずっと後には『ハンガリー舞曲集』の著作権をめぐって訴訟騒ぎになる様ですので、美しい青春の想い出はこのコミックで扱われた頃で終わりだったのかもしれません(笑))



エドゥアルト・レメーニはブラームスとの決裂後、イギリスのビクトリア女王のお抱え楽師になるなどヨーロッパ各地でヴァイオリニスト賭して活躍しました。1886年には世界一周の演奏旅行を企画。途中で日本でも演奏しているようです。

「レメーニは1886年7月に伴奏ピアニストのイシドール・ラックストーン(Isidore Luckstone)、ソプラノ歌手ルイーザ・マルケッティ(Luisa Marchetti)、そのメイドとともに来日。まず神戸の居留地にあった劇場で2公演を行い(日本人の観客はゼロだった)、その後横浜に向い、8月に居留地で5公演開いた一方で、8月10日には昼に明治天皇ほかの御前演奏、夜には鹿鳴館で演奏会を開いた。御前演奏には、明治天皇のほか昭憲皇太后や、小松宮彰仁親王と有栖川宮熾仁親王の御一家などが出席した。なお、この演奏会が昭憲皇太后以下の女性皇族が宮中で初めて洋装を着用した場となった。」(エドゥアルト・レメーニ - Wikipediaより引用)

ブラームスが生きた時代は幕末から明治にかけての頃だったんだな、なんてあらためて気づき不思議な気分になったりしますね。




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