「美味礼讃」 辻静雄の半生 すごく面白いのですが・・・対立者は皆極悪人?(笑) | エッチングでオリジナルグッズを!エッチング工房クリスタルウインド

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「美味礼讃」

Kindle unlimitedで、海老沢泰久著「美味礼讃」を見つけ、読んでみました。

「美味礼讃」は「辻静雄の半生」と言うサブタイトルが付いた海老沢泰久の代表作の一つです。
辻静雄は、世界三大料理学校とも呼ばれる辻調グループの創始者で、フランス料理の研究家としても知られ多数の著作を残しています。戦後の日本に本格的なフランス料理を定着させる功労者でした。

「美味礼讃」は大坂の読売新聞の記者だった辻静雄は料理学校創業者の娘と出会い結婚しやがてその料理学校の経営に参加する事から
フランス料理の研究に着手、アメリカを訪れ、料理研究家のサミュエル・チェインバレンやM.F.K.フィッシャーのサジャスチョンを受け、さらに渡仏し伝説的な三つ星レストランのオーナーでマドの愛称で呼ばれるマダム・ポワンやポール・ボキューズらと親交を深めフランスの有名レストランを食べ歩きます。その経験はそれまでの日本で普及していた(フランス料理風の)西洋料理と本物のフランス料理の違いを明らかにしました。愕然とした彼はその後も渡欧を重ねヨーロッパのレストランを数多く食べ歩き研究を深めていきました。そしてその研究成果は辻調理師学校の授業などに反映され教育水準を上げていく事に貢献したのです。

じつに明晰な文体で描かれる辻静雄の半生記は一気に読ませる魅力にあふれていました。バターやクリームを多用した濃厚なフランス料理の味わいを思い浮かべながら、思わずよだれが出そうな気分を味わったり満腹で苦しみながらさらに食べ続ける辻静雄夫妻の様子に少しの同情と、贅沢言うなよ(笑)なんて気分を同時に感じたりしながら一晩であっという間に読了。面白かったです。

ちょっと不満というか、突っ込みたくなるのは主人公辻静雄に対立する人物はみな極悪人のように描かれている事か。逆に彼に協力的な人物はみな超善人。それほど単純じゃないだろう、と言いたくなる部分もありました。まあ、単純化した方が読み物としては読みやすいかも知れませんが、実際の人物をモデルにした実話に近い物語ですから主人公以外は仮名とは言え、悪役(?)のモデルにされた人にとっては腹が立つどころでは済まないかも知れません。なかなか難しい問題かも知れませんが。



美味礼讃 (文春文庫)
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