腸間膜静脈硬化症の話

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 昨日の投稿で、漢方薬の副作用について質問を受けた際に1例として「腸間静脈硬化症」を引き合いに出しました。今日はその「腸間静脈硬化症」の話です。

 医療関係者の中でもご存じない方が多いと思います。かく言う私も二年程前迄は知りませんでした。私が知ったのはeラーニングによる花輪先生の講義がきっかけでした。

 腸間膜静脈硬化症(ちょうかんまくじょうみゃくこうかしょう)は、腸管静脈の線維性肥厚・石灰化によって起こる虚血性消化管疾患とのことです。

 原因は、福岡大学筑紫病院長 岩下明徳先生監修の資料を引用すれば、

 「漢方薬、特に山梔子(さんしし)がその原因の一つとする多くの報告がなされている。山梔子中のゲニポシドが大腸の腸内細菌によって加水分解され、生成されたゲニピンが大腸から吸収されて腸間膜静脈を通って肝臓に到達する間に、アミノ酸やたんぱく質と反応し、青色色素を形成するとともに、腸間膜静脈壁の線維性肥厚・石灰化を引き起こし、血流を鬱滞させ、腸間壁の浮腫、線維化、石灰化、腸管狭窄を起こすと考えられている。漢方薬の服用歴がない症例もあり、その他の要因として、環境要因や遺伝的要因、合併疾患との関係性や免疫異常の関与など、様々な考察がなされているが、現在のところ漢方薬(山梔子)以外に関連性が強く示唆される報告はない。」
とのことです。

 腸間膜静脈硬化症の症例は「黄連解毒湯」、「加味逍遙散」、「辛夷清肺湯」によって集積されたそうですが、生薬[山梔子]を含む漢方薬は「黄連解毒湯」、「加味逍遙散」、「辛夷清肺湯」の他にも「茵蔯蒿湯」、「温清飲」、「加味帰脾湯」、「荊芥連翹湯」、「五淋散」、「柴胡清肝湯」、「梔子柏皮湯」、「清上防風湯」、「清肺湯」、「防風通聖散」、「竜胆瀉肝湯」があります。

 私としては、「防風通聖散」をダイエット薬として漫然と何年も飲み続けてしまうのは良くないと思いました。

http://www.nikkankyo.org/qa/take_kampo.html
⬆日本漢方生薬製剤協会のホームページ。こちらに詳しい情報が提供されています。
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