泣き虫 フクロウ なぜ哭くの | crow2410のブログ
これは おとぎばなしです。

昔々 そのまた昔の
まだ ひとつひとつの山に名前などなく
その山に住む 主の名前で呼ばれていた頃のこと

とびきりおおきな 大天狗の山
まわりにちいさな からす天狗の山々

今日は 年に一度の 祭り事
東の山の 真っ白な護り神
西の山の 深紅の護り神

大天狗の山に 集い 祝う

深い 深い 森のなか
おおきな たき火を かこむ
たくさんの 黒い影
おおきいのやら ちいさいのやら
火影に ゆらり ゆらゆら

真ん中に
お神酒で 赤い顔が もっと真っ赤な
大天狗

まわりを からす天狗が とりかこみ
羽根ばたつかせ 飛び跳ね 踊る

山 森を 治める 大天狗への お供えの
お神酒は まだまだ たくさん

明日の朝は まだ遠い

からす天狗は それぞれに 笛や鼓
酔いにまかせて 囃し立て
白い顔の 巫女様が
薄い薄い 絹を身にまとい
その音に合わせて
ふわり ひらりと 舞踊る

その時 泣き虫フクロウ ひとりぼち
はずれの森の闇の中
ホーホーホと
大きな目玉くりくりさせて
やせがまん 
泣き虫フクロウ ひとりごと
せめて 強がりひとりごと

舞姫の 優しい笑顔 見るだけで
フクロウ 心満たされる

せめて すべてが終わる朝までは
ホーホーホと
やせがまん