法令解釈⑤(反対解釈について) | 司法書士 荒谷直樹のブログ

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(※法令解釈は、法規的解釈と学理的解釈に大別される。学理的解釈には、文理解釈、論理解釈、目的論的解釈がある。ここでは論理解釈について書く。)

 

 法令解釈にあたっては、まず、文言や用語に即して解釈する文理解釈が基本である。しかし、法令は、すべてのケースに備えて網羅的に規定できているわけではない。そこで、論理解釈が必要になる。

 

 ここでは、論理解釈のひとつ反対解釈について書く。反対解釈とは、ある条文が特定の事項に関して定めているが、それにあたらない場合は、条文が規定するのと反対の効果を導き出すというような趣旨の規定をも含んでいる解釈方法をいう。

 

 これは、規定されていない事項について法的判断を行う解釈方法である。たとえば、民法4条には「年齢十八歳をもって、成年とする」と定められている。この規定を反対解釈すると、年齢18歳未満は未成年であるということになる。

 

 注意しなければならないのは、反対解釈は、導き出された結論が形式論的には当然のようにみえるが、それが常に妥当性をもつとは限らないことである。やみくもに使うと、間違った結論におそれがある。分かりやすい例をあげる。マンションの管理規約に以下のような規定があるとする。

 

「管理規約777条  当区分建物の所有者は、犬猫を飼ってはならない。」(架空の規定です)

 

 これを機械的に反対解釈すると、犬と猫を飼うことだけを禁止しているから、たとえばウサギやハムスターなんかは飼っていいことになる。次回書くが、これを論理解釈のひとつである類推解釈で解釈すると、犬や猫などの動物を飼うことを禁止しているので、ウサギやハムスターを飼育するのも禁止ということになる。解釈方法により、結論が正反対になる。

 

 したがって、反対解釈の方法を用いる場合には、特に注意が必要である。

 

 

※(雑談)「それ考え方の違いじゃない?考え方や捉え方は、ひとそれぞれでしょ!!」なんて、なんでもかんでもかみつく人が時々おります。わたしはこれは、時と場合によっては、とても「デタラメ・インチキ・ガラクタ的な意見」になると考えています。法的な考え方を知らない、経験したこともない人と、法的な見方をある程度知っている人とでは、同じ出来事やニュースを見ても、見え方が全然違っていると思います。たとえば、何か事件や報道があると、芸人や有名人がSNSでコメントして、ネットニュースなどで取り上げられたりしますが、単なる芸人・有名人のコメントと、弁護士や学者とのコメントでは、あきらかに見ているポイントが違うことがありますよね。これは、そもそも思考するために持っているフレームの種類や数、質が違うからだと思います。ただの芸人や有名人の多くは、感覚や印象や自分の経験や思い込みだけでコメントします。それこそ、「それ考え方の違いじゃない?考え方や捉え方は、ひとそれぞれでしょ!!」の世界です。日常生活での安易な反対解釈は、詭弁や言い訳や的外れなクレームなんかにつながるおそれがあると思います。いませんか???周りに反対解釈ばかり繰り返して、周囲に迷惑かけまくるひと。反対解釈の方法を日常生活で使う際には、細心の注意が必要です。