法令解釈④(縮小解釈について) | 司法書士 荒谷直樹のブログ

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(※法令解釈は、法規的解釈と学理的解釈に大別される。学理的解釈には、文理解釈、論理解釈、目的論的解釈がある。ここでは論理解釈について書く。)

 

 法令解釈にあたっては、まず、文言や用語に即して解釈する文理解釈が基本である。しかし、法令は、すべてのケースに備えて網羅的に規定できているわけではない。そこで、論理解釈が必要になる。


 ここでは、論理解釈のひとつ縮小解釈について書く。縮小解釈とは、拡張解釈とは逆に、法令に用いられている文言を通常の意味よりも狭く解釈する方法をいう。制限解釈や限定解釈ともいう。


 これは、条文を文言どおりに解釈すると妥当な結論が得られない場合に認められる解釈方法である。


 立法者の意図が法律制定後の社会の実体に適合なくなった場合に用いられることが多い。例としてあげられることが多いものに、次の民法の規定がある。


「民法177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することがてきない。」


 文言上は、登記をもって対抗できる「第三者」の範囲については何らの限定も付されていない。しかし、登記制度の全体の趣旨からみて、ここでいう「第三者」とは、すべての第三者ではなく、登記の欠缺を正当に主張できる第三者であると判示されている(大判明治41年12月15日民録14-1301)。背信的悪意者などには、登記がなくても対抗できるとするのが典型的な例。すなわち、登記がなければ対抗できない第三者の範囲を狭めて解釈されている。これが、縮小解釈の代表的な例である。