精巣腫瘍治療記+α -2ページ目

精巣腫瘍治療記+α

2009年末、21歳で精巣腫瘍に罹患。一度は転移なしとなったものの翌年再発し5月から化学療法。患者であると同時に薬学生でもあるので、患者側と医療側双方の視点でこの病気と向き合っていければと思います。また自分の病気とは関係ない勉強、研究、趣味の話もちらほら。

昨日の経過観察、マーカーのみの観察でしたが、特に問題ありませんでした。
とりあえずご報告。
明日、化学療法・手術後2回目の経過観察に行ってきます。
採血は既に先週済ませていて、今回はCTはナシなので、マーカーの結果を聞きに行くだけ。
なので、何もなければ10分で終わるはずだし、
もし何かやばいことになっていれば、主治医は自分の携帯の番号も知っているので、
受信を待つことなく電話が来ると思っているのですが。
電話がなにも来ないということは何もなかった、ということだと信じたいんだけど、
こればかりは、やはり毎回ドキドキなのです。
前回転移が見つかった時は、主治医も診察室で初めて検査値見た様で驚いていたしなー。

今大学の付属病院(イコール受診先)で薬学実習中なので、実習→受診→実習、になります。便利(笑)

どうしても、経過観察前は、再発していた時のことを考えてしまうんだよな。
で、30分くらい落ち込んで、その後親とか大学とか、今だったら実習先の担当の先生とかに連絡して、
…っていうシミュレーションが頭の中にできている自分がなんかいやだ。

まあ、これからあと5年くらいは付き合っていかなきゃいけない感覚なんでしょうね。
前回に引き続き参加してきた今回の交流会。
今回は前回以上に、記者の方やwebサイト運営の方が多くいらっしゃっていて、楽しかったです。
これから回数を重ねていくごとに、すこしずつ、「楽しかった」以上のものにしていかなくてはいけないんでしょう。

精巣腫瘍治療記+α
本当は、ブログなんか書いている暇はないのだけど、ちょっとだけ。





一昨日、CBTが終わりました。薬学生が実習を行うために合格しなければならない試験です。
OSCEの1週間後ということもあって、OSCE終了後も休む間もなく勉強。
正直、他大学の方々に比べて、勉強量・演習量ともに全然足りないので、
試験直前の追い込みで、付け焼刃の知識で臨んだ、という感じです。


とはいえ、徹夜で勉強したとかいうわけでもないし、生活リズム的には気をつけていたのだけど。


試験翌日の昨日、体調を崩して1日中寝ていました。


試験関連の疲れなのか、それとも単に今研究室とかで風邪がはやっているから、
それをもらってきただけなのか、分かりませんが…。
疲れから来ているものだとしたら、情けないですね。本当。
明日までに作らないといけない原稿があるというのに。
今回の件に限らず、体力が無くなっていることを色々な場面で感じます。
集中力が1日もたない、とか。
週末は朝起きられない、とか。(布団から出られないとかじゃなくて、本当に目が覚めない。)

そして、そういうことがあるたびに、どうしても、病気のせいにしてしまう自分がいる。
自分は化学療法・手術後に、退院してすぐに研究室に復帰した。
他の患者さんの話を聞くと、1カ月以上は自宅療養などして、それから仕事復帰という方がほとんど。
でも当時の自分は、身体を動かして何かをしたくて仕方がなかったし、
1人で家にいてぼんやり過ごすのも嫌だった。
なにより、研究室の同期にこれ以上遅れを取るのが嫌だった。

でも、それは間違いだったのかもしれない。

ちょっと正直悩んでいる。
普通に行けば、もうこれから先月単位での休みを取れる機会はないんでしょう。
だとすれば、1日1日の仕事量をちょっとずつ減らして、何とか乗り切るしかないのか。


すいません、愚痴です。原稿作る作業に戻ります。
今日は自分たちの学校のOSCEでした。
OSCEとは、6年制薬学部生が病院実習に参加する前に受ける実技試験のことです。
患者さんに渡す薬を取り揃えたり(調剤)、薬の説明をしたり(服薬指導)。
そういった、実習に出た際に行うことになる基本的な技能・知識・態度などを試験します。
やっていることは決して難しくないのだけど、試験として行うから緊張する上に、
5分という時間制限もあるので、テンパると大変です。

合否はまだ分かりませんが、たぶん合格できたと思います。
完璧にできたとは言えないけれど、7割という超えるべきラインは超えられたかと。

試験の内容は言えないですが、結局、慌てずにやるってことが大事ですね。
ちょっとくらいミスしても、最後までやるべき内容を終わらせられれば何とかなる。
一番まずいのは、細かいところに気を取られたり、ミスしたことに途中で気がついて、
慌ててしまって最後まで終わらずに時間切れになっちゃうことですね。

来週はCBTというもう一つの試験です。
こちらは知識を問うもので、これから本気で勉強しなきゃいけません。
…でも今日はめちゃくちゃ緊張して疲れたからちょっと休みたいなあ(笑)
昨日12/18に、精巣腫瘍患者友の会<J-TAG>という組織の集まりに参加してきました。
以前に元患者の方とお会いしたことはあるけれど、こういう会に参加して、
たくさんの戦友の方とお会いするのは初めての経験。
お店に入るまではちょっとドキドキ。


それでも、すぐに、みなさんと初対面とは思えないほどたくさんお話しすることができました。


ほんの数か月前まで闘病していらした人。
何年も前に寛解し、今では元気に生活できているという人。
そして、今現在まさに闘病中という人。
色々な方がいらっしゃいました。
病期も、組織型も、抗がん剤の種類も、手術の有無もそれぞれで、
だけど、精巣腫瘍という病気になった、それだけでこれだけ繋がれる。

みなさんと話して、自分の入院中のことを思い出したりもしていました。
退院以来、割とすぐに日常生活に戻ったために、
自分が病気だったことや、あの時考えたことをちょっと忘れかけていたのかもしれない。
後ろ向きになることはよくないけれど、でも、
忘れてはいけないことだってあの生活の中にはあったはずで、
そういうのを再確認する良い機会だったと思います。


皆さんとお話しして思ったことは、自分が医療者側の視点で物事を考えているということです。
いや、自分はまだ学生の身分だし、医療者ではないのだけど、
でも、純粋な患者的視点ではない。そうはいられない。
患者側の人間でもあり、だけど、医療側の人間でもある。
(こういう対立軸の設定が正しいのかはわかりませんが。)
そんな立場の上で、何ができるのか。
あるいは、立場になんか囚われないほうがいいのか。


継続的にこういった会には参加してみたいと思います。
そのなかで、自分のできることが見えてくるかもしれない。
長らくご無沙汰していました。
生きていますよー(笑)

これまで、退院以来全然更新していなかったのは、
そもそも書くことがなかったってことと、
この時間に帰宅するくらいに学校が忙しかったからです。
まあそれだけ元気にやってますよってことですな。
すっかり入院前と一緒です。

で、今週月曜日に退院以来初の経過観察があって、受診してきました。
既にCT撮影、レントゲン、血液検査は終わらせていたので、その結果を聞くためだけに行ったのですが、
診察室に入る前に主治医に廊下でばったり会って、
「あ、結果何も問題なかったよー」
ってあっさり言われたり(笑)
まあ、さすがに退院直後のこの時期に何かあったらまずいんですけどねー。

次の経過観察は2/14、ってことで、バレンタインデーですねww
今日の午後から学校(研究室)に復帰しました。
本当は10時までに登校しないといけないんだけど、退院翌日ということで今日は午後から。
明日からは10時までに登校します。
ただ、しばらくは実験量も少なめ、研究室で過ごす時間も短めにするつもりです。
コアタイム、つまり最低限研究室にいないといけない時間帯は10時-18時なのですが、
普通は18時になったら即帰る、なんて人はいません。
大体の人が20時とか、遅い人は日付が変わるまで研究室にいます。
もちろんだらだらしているわけではなくて、やるべきことがあるから残っているわけですが、
自分はしばらく実験することがあまり多くない(というか頼んで少なくしてもらう)ので、
残っている方に対してちょっと申し訳ない気持ちはありますが、今日は18時きっかりに帰りました。
しばらくはそのスタイルで生活しようと思います。


「治療総括・1」の最後で「がん患者に完治はない」と書きました。
医学的にどうなのかは良く分からないけど、少なくとも一患者の心情として、
再発の可能性がわずかでもある以上は完治とは言えない。言う気にならない。
自分の5年生存率は、様々な統計があるので一概には言えませんが、おおむね90%です。
もちろんこれは組織型・病期・年齢などによって異なるので、別の数え方をすれば値は変わるし、
そもそも例数の多い病気ではないので、同じ数え方をしても別の統計では別の数字が出るでしょう。
でも、まあ大体90%くらい。
この数字はがんとしては異例なものだと思います。高すぎる。
世の中には、残念ながら5年生存率は限りなくゼロに近い、そういうがんもあります。
そういうことを考えると、90%というのはかなり良い成績と言えます。
客観的には。
だけど、一旦患者になってしまえば、なかなかそうは思えないんですよね。
90という数字よりも、残りの10%の方に目が行ってしまう。
決して十分な数字ではないんです。90%という確率も、5年という長さも。
5年生存率が90%なら、10年生きられる確率は?20年は?
この生存率の数字は、確かに比較的高いし、だから患者には希望ではあるけれど、でも十分ではない。

この病気に限った話ではないし、というか病気以外にも言えることなのかもしれないけど、
統計とか確率というのは、当事者には重くのしかかってきます。
客観的に見た解釈とはまた全然違う姿を数字は見せます。
それを気にしすぎだと言ったり、理詰めで解釈することは簡単ですが、
どうか、当事者の目線に立って数字を捉えることもして頂きたいと思います。
予定通り、今日退院することができました。

久しぶりに長く歩いたり、特に階段を昇降したので、思った以上に疲れました。
というか、思った以上に体力が落ちていますね。
今までの抗がん剤のための入院より、手術ということで体力低下は大きいのかな。
やばいやばい。

明日から学校復帰です。
ゆっくりゆっくりね。
学校に行くのも大変だけど家にいても暑いしね。
スローペースで。しばらくは18時にラボを出ることを心がけて。

とりあえずご報告でした。
総括などと銘打っていますが、退院を前に思うことを思いつくまま書いてみようというエントリ。


「病理の結果」のエントリにも書きましたが、今もあまり実感がわいていません。
寛解であるということ。治療がひとまず終わりになるということ。
いまいちピンとこない。
5月10日に化学療法のために入院して以来およそ4カ月。
その間、退院や外泊もしましたが、基本的な生活拠点は病院であるという、
客観的に見れば異常ともいえる環境で生活してきました。
世の中には年の単位で入院・闘病されている方もいらっしゃるのは承知していますが、
それでも、断続的とは言え入院期間4カ月というのは十分長い方に入るのではないかと思います。
その生活ももう少しでやっと終わる。
そのことに対する喜びや感慨がもっとあってもいいと思うのだけど、あまりありません。

あえて言うならば。
周りを見回した時に、同じ病気と闘っている人がいる。
その方々は、皆基本的にはこの寛解という所を目指して治療されているはずです。
その地点に到達することができた。
そういう視点から、幾ばくかの感慨を感じてはいます。

自分が何でこんなに淡々としているのか、いくつか解釈の仕方はあると思います。
例えば、自分の性格。
自分を取り巻く状況や環境が変わることについて、どちらかと言えば鈍感で、
「何が起きても気にしない、まあ何とかなるだろう」みたいな態度でやってきました。
実際、この病気になった時にもそんなに慌てなかったし、そのかわり、
治った時にも特別大きな心境の変化はないということなのかもしれない。

あるいは、今回の結果が、嬉しい結果とはいえ想定通りだったということもあるかもしれない。
化学療法から手術、そして病理検査の結果をもって寛解宣言というのは、
ほぼ5月の治療開始の時点からの「シナリオ通り」でした。
こうなることを予想してたとか、期待してたとか、信じていたとかではなくて、
こうなること以外のケースは想定しなかった。当然寛解でしょと思い込んでいた。
だから、寛解と聞いても、ああ予定どおりね、としか思わなかったのかもしれません。
そのかわり、今回の病理検査が「シナリオ通り」でなければ再度化学療法が行われたはずで、
もしそうだったら精神的に耐えられなかったと思います。

とまあ、色んな事が考えられるのだけど、自分が最近思うのは、
この病気がまだ終わっていないからではないかということ。
まだ決して区切りなんてついてない。だから特別な感慨なんて無いのではないか。
たしかに積極的な治療はこれでひとまず終わりです。
でも、これからも自分はこの病気と付き合っていかなければならない。
数か月に1回のペースで経過観察をしていくことはもちろんですが、他にもあります。
例えば、がんになった人の中には、寛解したものの仕事を辞めさせられたり、
そこまでいかなくても待遇面で差別を受けている人がいると聞きます。
自分はまだ就職していないので分かりませんが、仕事面に限らず、
がんという病気やサバイバーに対する社会の目は、必ずしも温かいものとは限らないのが現状です。
また、自分の片方残った精巣は、抗がん剤の副作用で造精機能を失ってしまいました。
これの回復についてもしっかり追っていかなければなりません。
このように、治療が終了したからと言ってまだまだ片付いていない問題があります。
あるいは治療をすることによって新たに生じてきた問題もあります。

これまで寛解という言葉を使ってきました。
これは「症状が良くコントロールされ、軽減・消失し臨床上問題にならない状態」のことだそうです。
これは完治とか治癒とは異なります。
自分は完治ではありません。というか、がん患者は完治と言うことはたぶん出来ないのだと思います。
がん患者の場合、身体の中からがん細胞が一切無くなれば完治ということになります。
でもそのことを証明はできません。いつ再発するか分からない。
精巣腫瘍の場合、再発するなら5年以内に再発することがほとんどだそうなので、
今から5年間再発が無かったら事実上の完治と言えるのかもしれませんが、
理論上は、自分がこれから生きていく間ずっと、再発の可能性が付きまとうことになります。



就寝時間になったので、今日はこれくらいでやめておきます。