CRI時事経済ブログ -148ページ目

CRI時事経済ブログ

不動産のリースバックを利用した経営コンサルタント「CRIコンサルタンツ」の業界動向、時事経済ブログ

新素材の製造に日本の伝統技術

日進月歩の素材業界で今、注目される新素材があります。日立金属(日立金属(株):東京都港区 髙橋秀明社長)が材料開発に力を入れている特殊鋼「SLD-i」です。「世界トップクラスの高機能材料会社」を目指す同社の主力材・ヤスキハガネの新製品で、自動車鋼板などの金型材として使われます。製造には、伝統の「たたら製鉄」の技術が受け継がれています。

 

「たたら」で金型の寿命が約7倍

たたら製鉄は、日本古来の製鉄法。砂鉄と木炭を炉で燃やし、たたら (ふいご)を踏んで風を送り炉内の温度を上げる製法で、炭が還元剤になり、純度と耐久性の高い鉄ができます。

 

「もののけ姫」のたたら

161103_1.jpg

たたらは、ジブリの映画『もののけ姫』にも出てきました。同社は、その現代版ともいえる製造技術で金属内部組成を改良し、金型の寿命を従来に比べ約7倍と飛躍的に伸ばしました。

 

新陳代謝が求められる素材業界

素材業界では、次々と新材料が生まれ、既存技術が短期間で陳腐化します。技術の新陳代謝が、他業種以上に求められるのです。

同社の特徴は、その危機意識を経営に反映させていること。平成30(2018)年度までの3年間に、15テーマに対し、120億円を投資しました。先端材料研究開発のための横串を通す組織として、平成29(2017)年4月にはコーポレート研究所を開設する予定です。

 

内部プロジェクトで次世代技術

内部のプロジェクトとしては、今期からの中長期計画に、業界で最も技術力が問われる分野を盛り込んでいます。3Dプリンターなど積層造形、ハイブリッド自動車などエコカーのモーターに使う新磁石、航空機やタービン用素材となる複合素材など、「次世代技術」と呼ばれる分野です。

 

生き残りは伝統技能から

顧客の期待を上回る製品を提供しなければ、国内外で生き残れないという危機感の土台があるからこそ、たゆまない研究開発の結果、日本の伝統工法からの、新素材SLD-iにつながりました。

 

[2016.11.04]

逆風を逆手に営業利益大幅増

161103_2.jpg

「100円ショップ」が絶好調です。大手のキャンドゥ((株)キャンドゥ:東京都新宿区 城戸一弥社長)が発表した、平成27(2015)年12月~平成28(2016)年8月期の連結営業利益は、前年同期比68.5%増でした。
通期でも、過去10年で最高となる見通しです。

 

背景にあるのは、多くの業界にとって"逆風"となる、消費者の根強い節約志向と円高です。為替と消費者心理で収益を押し上げました。

 

消費支出は6ヵ月連続前年割れ/総務省

同期の売上高は512億7300万円で、5.3%増。しかし、一般消費者の財布のひもが緩んだわけではありません。総務省の8月の家計調査(速報)では、1世帯あたりの消費支出(2人以上世帯)は27万6338円で、6か月連続で前年割れ。上陸した大型台風など天候不順が小売店の売り上げを直撃しました。
日銀の黒田総裁デフレ意識の解消には時間がかかる!とコメントしているように、国内の消費環境は、依然、厳しい状況です。

 

独自の商品工夫

キャンドゥは、独自の工夫を凝らしました。消費者の節約志向を的確に読み、低価格で値ごろ感があり、機能性の高い素材を使った衣料、化粧品、インテリア用品などの新商品を次々に投入しました。

在庫管理も徹底させました。そこに、原油安と円高が味方しました。商品の大きな部分を占めるプラスチック製品の仕入れ価格が下がり、快進撃を下支えしました。

 

低価格商品には一定の需要

同じ100円ショップのセリア((株)セリア:岐阜県大垣市 河合映治社長)、アパレルのしまむら((株)しまむら:埼玉県さいたま市野中正人社長)、家具のニトリホールディングス((株)ニトリHD:東京都北区似鳥昭雄会長)も、業績は好調です。
低価格商品には、今後も一定の需要があります。そのうえで、工夫を凝らし差別化を図るかが生き残りを分けるカギになります。

 

[2016.11.03]

旅行保険や自動車保険/さらに先へ

161102_1.jpg

大手通信企業NTTドコモ((株)NTTドコモ:東京都千代田区 吉澤和弘社長)が今年9月、ドコモショップで、生命保険の代理販売をスタートさせました。平成22(2010)年から保険の取り扱いに乗り出しており、携帯電話を通して加入できる国内・海外旅行保険や1日自動車保険「ワンタイム保険」などが好調です。今回の挑戦は、その勢いに乗ったもので、今後の展開に注目です。

 

保険販売の有資格者育成

生命保険の代理販売を行うのは、関東甲信越のドコモショップ11店舗。ショップの従業員を3か月で有資格者に育成し、対面販売を担わせます。携帯電話の販売スペースを保険販売用に割きました。同社は生命保険事業について、「健康で豊かな社会の実現を目指し、お客様と長く・深い関係性を築く」ためと説明します。

 

保険でさらに「長く・深い」顧客関係を

過当競争が続く通信業界で生き残るには、「長く・深い」顧客の獲得が不可欠です。契約期間が長期になる生命保険の対面販売を行うことで、顧客との関係を強化しようという戦略でしょう。年度内に40店舗に増やします。

 

機種変更のついでに生命保険

さて、この新サービスは、ユーザーに受け入れられるでしょうか?

ドコモショップの役割は、携帯電話料金の見直しや端末の買い換え、名義変更などのサポートです。生命保険は人生設計上大切なもので、機種変更のついでに、とはいかない気もします。保険と携帯電話のセット契約による割引は、保険業法上、難しい。3か月で行うスタッフの教育にも、不安が残ります。

 

健康関連分野を生かす

とはいえ、試みとしては斬新です。要は、ドコモらしさをどこまで示せるかでしょうか?健康関連分野で「ドコモヘルスケア」「らでぃっしゅぼーや」「ABCCooking Studio」などの事業を運営していて、これらと組み合わせた展開があるかもしれません。健康と生命保険なら、つながりやすい!と考えたのかもしれません。

 

[2016.11.02]

「新興国小型車カンパニー」設立

161101_1.jpg

自動車業界でスズキ(スズキ(株):静岡県浜松市 鈴木修会長)と提携したトヨタ自動車(トヨタ自動車(株):愛知県豊田市豊田章男社長)は、完全子会社化したダイハツ工業(ダイハツ工業(株):大阪府池田市 三井正則社長)と、新興国向けの小型車事業で新組織を立ち上げます。

 

「新興国小型車カンパニー」
開発から調達、生産の準備をダイハツに一本化し、苦手の分野での体制強化を狙う戦略です。時期は、平成29(
2017)年1月になりそうです。

 

世界のトヨタ/小型車事業参入

トヨタは平成28(2016)年、車のタイプ別の社内カンパニー制を導入しました。年間販売台数が1000万台規模に拡大した巨大企業の課題である「意思決定のスピード」を速めるための制度です。

「小型車」「中型車」「高級車」など車のタイプに基づいて社内にカンパニーを新設し、各トップが製品企画から生産まで責任を負います。環境規制が強まる先進国だけでなく、トヨタが唯一、出遅れている新興国の小型車事業にも本腰を入れる姿勢の表れといえるでしょう。

 

ダイハツのDNGAを駆使

トヨタによると、第1弾として、ダイハツの車種をアジア各国の需要に合わせてトヨタの販売店で販売します。第2弾で、ダイハツが主導して設計した新機種を開発し、新興国で展開する方針。

ダイハツには、「DNGA」(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼ばれる新設計手法があり、これを駆使してトヨタブランドの新モデルをつくるのです。

 

アジアでいまだ競争力のある小型車

マレーシアやタイ、インドネシアなどのアジア新興国では、まだ、小型車の競争力が維持されています。ダイハツがマレーシアの現地合弁企業を通じて販売してきた、燃費性能が高い5人乗りの小型セダン「BEZZA(ベザ)」も好調でした。トヨタブランドがいよいよ小型車に広がります。

 

[2016.11.01]

五輪に向け、漁業も始動

161031_1.jpg

平成32(2020)年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、各業界が活発に活動してしています。その1つ、五輪を漁業の競争力強化につなげようと試みる、宮城県塩釜市の明豊漁業(明豊漁業(株):宮城県塩釜市 松永賢治社長)は、「海のエコラベル」と呼ばれる海洋管理協議会(MSC)認証の取得をテコに、業界の先頭を走ろうという意気込んでいます。

 

カツオ船の入港がなかった塩釜で新体制

松永社長は、同社の経営立て直しのため、8年前、静岡県焼津市の親会社からやってきました。
カツオ漁の基地である焼津と違い、塩釜には、カツオ製品の工場はあっても、カツオ船の入港がほとんどありません。原料から加工、販売まで一貫した流れもなかったそうです。

そこで震災後、親会社を説得し、500トン級2隻でカツオ一本釣り漁を行う体制を築きました。業績は良く、近くもう1隻を買い入れて、日本近海からフィリピン沖で操業します。

 

公的な認証を得てブランド化

次に着目したのが、商品のブランド化です。

東京五輪では、選手村などで提供する食事に、地球環境に配慮した食品が求められる見通しです。それを示すのが公的な認証。海洋環境や資源を守りながらとった水産物であることを示すもので、ロンドン、リオ五輪でも採用されました。

 

「資源保護」一本釣りに注目

認証取得は、市場を広げる絶好の機会にもなるはずです。日経新聞のインタビューに答えた松永社長は・・・


「震災後にサスティナブル(持続可能)なものを売っていかねば、という気持ちがあった。一本釣りは資源保護という観点ではやさしい漁法。環境にやさしいと評価されて消費者が買ってくれれば単価も上がるし、船もよくなり、人手不足の解消にもつながる。持続的な漁業も実現できる」

と印象的なコメントをしました。

 

認証にはコストも時間もかかりますが、将来を見据えて、一歩一歩。五輪を転機に、新しい流れを生み出す契機にしたいものです。

 

[2016.10.31]