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休憩室のMonologue

時事ネタや書籍・音楽・映画・アニメ等の感想など
少々長めの文章で書いていきます

休憩室のMonologue
あまりにも眩しすぎるぜ・・・。
卒業して遠く離れても、この歌が私たちをつなぐ。
決意を新たにした合唱部の五人は、文化祭を再び開催しようと動き出す。

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具体的な手段は?
まず生徒会というのは確かに妥当。
そういえば文化祭の突然の中止に生徒はおろか親たちも何も言わずにいたのだろうか?
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町内会の会合で明らかになったのは開発計画との関係性。
すみやかに進めるため、いざこざを起こしたくなかったのだ。
でも工事の進行が遅れるからという理由での中止は愛が無さ過ぎるわな。
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理事長が典型的な悪役になっているが、フォローはあるのか?
現場を知らない政治家・官僚の典型にもみえるけど、暗に揶揄しているのだろうか?

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その一方で誰も知らない恋物語が─
同級生に頼まれた紗羽の写真を撮るべく、大智は本人に打診。
快くOKされるが、その写真は大智の携帯の(そして心の)フォルダにしまわれるw
この淡い思いは紗羽に伝えられることもないんだろうなぁ。
・・・現実はそういうもんです(キリッ)

もうひとつの見せ場はまひるの墓参り。
和奏は教頭と鉢合わせる。
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この哀しげな表情がたまらない・・。
学生のころ、まひると創り上げた合唱部と学校を維持出来なかったことは
教頭に深い後悔となっていたのだろう。

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完成した曲を教頭に聴かせる和奏。
”音楽に愛されていたのはまひるで、私にはあなたにアドバイスする資格は無い”
だが和奏には励ましてくれる友人がいた。だからこそ曲が出来た。
母・まひるもそうではなかったか─
その言葉に教頭の重荷が一つ救われた。

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そして文化祭前日。
やるべきことをやった五人は当日をどう迎えるのか?
いよいよ最終回。
・・・ふと思うと、この流れって「花咲くいろは」と全く同じじゃないの?
「喜翠荘=音楽=夢」と考えれば、文化祭、そして卒業後、
彼らの夢は白浜坂高校の再建になるのではなかろうか?

”寂して悲しくてつらいことばかりならば あきらめてかまわない
 大事なことはそんなんじゃない
 青春って1,2,3ジャンプ 暴れまくってる情熱
 青春って1,2,3ジャンプ あの娘だけの汗まみれのスター”
   「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」岡村靖幸


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ふと新聞のテレビ欄を見たとき「最終回」の印があったので、ちょっと驚いたと同時にホッとした。
もう1回あったらあまりにもしんどいし、展開が間延びすると思っていたからだ。

”私の好きな葉月君はどこへ行ったの?”
島尾の存在を認識し、葉月のことも思う六花。
そして島尾と葉月に交友があったことを、ここで知ることになる。
それまで島尾と葉月それぞれとしか接していなかったわけだから、
二人が自分のことで会話を交わしていたなんて思いもよらないことだっただろう。

”どうしたら僕は、君から離れられるのかな・・・”
自分の存在の不自然さを噛み締める島尾。
”そうだ。島尾君を苦しめているのは私の方だ─”
 私を大事に思ってくれる人達を、いつの間にかこんなにも巻き込んでしまっていたなんて”

自分が二人を苦しめていたことに気付く六花。

”超新星(ほし)が消えるのは熱すぎたから
 抱えきれないほどの愛を抱いて
 君が月なら僕は太陽 時々隠れながら廻る myLife
 確カニ僕ノセイダネ 確カニ君ノセイダネ
 落ちていく夕焼けに Misunderstanding
 願いをかける
 このまま僕は君のこと 目を閉じたまま抱きしめる
 凍りつく夜が来る前に Just Together

 このまま僕は君のこと 目を閉じたまま俯くの?
 さよならはまだ早すぎる Just Together
 途切れそうな糸繋ぐため 僕は今何をすればいい?
 さよならはまだ早すぎる Just Together”
             「MISS」Scudelia electro

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どうすれば別れられるのか?
とにかく葉月の体を元に戻すことには二人とも頷くが、
思い悩む六花はふいに「二人で骨になる?」と呟く。

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それも悪くないと島尾もラインを超えそうになるところが観てて怖かった。
この瞬間、葉月と気持ちがシンクロした気がする。

だが、島尾は決断する。
自分が去ることを。
痛みと傷跡を残して。

”ひとつだけ忘れないでいてよ
 君は確かに愛されていた
 いつの日か星の降らない夜を迎えても
 僕のことやがて消えたって
 そのことだけは
 生きていく”
      「星降らない夜」sing like talking


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”好きになったのが葉月君でよかった”
”俺、二人の記憶の一部をを共有している唯一なわけで─”

最後の最後に「めぞん一刻」になってくれてよかったよ、本当に。

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そして時間が一気に飛ぶのだが、島尾はずっと二人を見ていたのか?
あれからもずっと成仏できないまま、あるいはしないままだったのか?
六花と葉月が島尾の思い出の品をずっと残していたからこそなのか?
そして二人が生涯を終えたとき、そのときはじめて安心して天国に行けたのか?
もうひとつ気になったのはナツユキソウはどうなったのか?
キーポイントになるかと思ったが、単なる記号だったのか?
私が見落としているだけかな・・。

いやー重たい話だった。
「true tears」でも思ったが、漫画・アニメだからこそ出来たと思う。
実写だとつらさが増すばかりの気がするのだ。単なる偏見だろうか・・。

あと個人的には福山潤と中村悠一の演技に驚くばかりだった。
演技がうまいのは知っていたつもりだが、声のアクが強い気がして、
若干抵抗があったりしたのだ。
こういう実写的・吹替え的な声を聴けたのは良かった。
認識が変わりました。はい。
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”how do you wake up?
(どんなふうに めざめるの?)
 how do you say hello?
(どんなふうに 「おはよう」をいうの?)
 how do you look around?
(どんなふうに あたりをみまわすの?)
 how do you do it?
(どんなふうにするの?)
 how do you sing a song?
(どんなふうに うたうの?)
 how do you keep smiling?
(どんなふうに ほほえみつづけるの?)
 how do you dance with me?
(どんなふうに ぼくとおどるの?)
 how do you stop crying?
(どうやって なきやむの?)
 i wanna know
 well well
(しりたいんだ しりたいんだ)
 i wanna know if you would know
(もしも しっているなら)
 i wanna know we oughta know
(しってるはずだよ)
 if we ever say godnight
(ぼくらは「おやすみ」がいえるかな?)”
              「How?」pupa


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なんちゅう眩しい青春だ・・・。
「坂道のアポロン」を観たときも思ったが、こんな学校生活送ったことないわ。
私の場合は男子校だったし、2年に1回しか文化祭が行われないため、
高校では一度しか経験してないんだよなぁ・・・。
大学では学祭はあったけど、高校と比べて規模が大きいせいか、
他に誰がなにやってるかよく分からず、自分のサークル内だけで盛り上がってた気がする。
中学はどうだったけか、よく覚えてない・・・。
いかに自分の青春が欠落しているかが、あらためて分かって憂鬱になるw
だからこそ「なかったけど、あったかもしれない」青春にあこがれる。
そういう需要があるから、それを再現するアニメ・漫画が供給されるわけで。
あるわけないと思いつつ、こういうの好きなんだろうと言われると反論できないんだよw
というより恵まれた青春を送ってた人なんて少数派じゃなかろうか?
そんな人はそもそもアニメなんて観ないんじゃなかろうか?
・・かなり穿った見方ですみません。

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和奏は、なんつー可愛さだ!!
大分前からそうだが、母親に対する自責の念から開放された和奏は、
年相応の女子高生になっている。
しかし「楽しんで曲を作ろう」として実際に出来る和奏は、やはり才能があるのか。
あるいは無邪気な若さなのか。

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続けて現れるファンタジー世界にやられる。
そしてセクシー担当・紗羽の衣装にやられる・・・。
ところで、ここでは「音楽を取り戻す」というのがテーマになっているようだが、
昔TM NETWORKがやっていたミュージカル「CAROL」を思い出すのは私だけか?
メンバーの木根尚登氏が小説を書いてもいるのだが。・・ま、いっか。

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大道具担当になり悪戦苦闘する大智。
そこで美術部に手伝いを依頼するが、部長に瞬殺されるw
この女子部長、どこかで聞いたことのある声かと思ってたら
やはり寿美菜子だったか。
出演作品をそれほど観てるわけではないはずなのだが、分かってしまう私って・・・。

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美術部長には却下されたが、同級生が応援を申し出る。
交換条件は紗羽の写真w
その有り難味がいまいちよく分かっていなかった大智だが、あらためて紗羽の魅力に気づく。
青春だなぁ・・・。
大智と紗羽の恋模様が描かれるかと思ったが、どうやら恋愛話は最終回まで皆無のようだ。
卒業式まであれば、もっと色々な話が出来ると思うのだけれども。

その一方で学校側の問題が・・・。
来年度の新入生募集の中止、新校舎建設。
「廃校」という言葉は出なかったが、事実上そういうことなのか?
というのは建前で、本当はマンションの建設計画のため、校舎を解体するということか?
なぜこの時期なのかはよく分からないが、説明会で校長が言ったように、
少子化で学校の運営が成り立たなくなってきているのは事実なのだろう。
他人事ではなく、実は私の母校(男子校)も女子高との合併話が出てきているのだ。
OBが頑なに反対してとりあえず凍結となっているが、時間の問題だろうな・・。

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で、白浜坂高校の文化祭は中止となってしまう。

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特に言葉も無く、来夏、紗羽、大智、ヴィーンの4人のやるせない姿を描くことによって、
目標を失くしてしまった合唱部の、自然消滅・空中分解の状態を見事に表していたと思う。

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しかし和奏は笑顔で皆の前にやって来る。
”出来たよ!お母さんの歌!!”
学校がなくなっても、私たちが終わるわけじゃない。
その言葉に5人が輝きを取り戻す。
そして文化祭は?学校?教頭は?

”君と空に描いた 夢はいくつになるだろう
 背中を叩いてくれた その手を強く握った
 そうさ きらきらひかる青春ラインを 僕らは今走り出すよ もう戻らない
 ずっと ドラマティックな奇跡を探して 信じるまま手を伸ばすよ
 つなぐ 想いを 夢の先まで”
           「青春ライン」いきものがかり

”いたずらにただときは流れ ちがう生活(くらし)に紛れたとしても
 忘れられぬミュージック 今突然蘇える日々
 口ずさめるミュージック 君と僕の心に流れてた”
           「ミュージック」寺岡呼人・松任谷由実・ゆず



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葉月からすれば、あまりにもつらい話だった。

”駆けよってく君の残像が 今も僕の胸を打ち砕く
 そのたんびにどうしたら 解らず叫んでる
 いくら膝まずいても だめとわかってるから
 誰としても妙な後悔が僕の胸の奥を責める
 べらぼうに冗談ばっかの日々が失ってわかったどうかしてたんだ”
              「未完成」岡村靖幸

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人でなしの選択をした島尾によって
葉月は完全に心象世界に閉じ込められる。
仮死状態?つまり幽霊だったときの島尾と同じ状態になってしまう。
この展開も驚いた。
同じ体験をすることによって、島尾が何を思っていたのか。
どんな思いで六花を見つめていたのかを思う。
島尾はその重すぎる未練によって幽霊になったが、
幽霊になって六花を見つめることによって、さらにその思いが深くなっていったのだ。
それが六花を縛ることになったとしても。


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”からの心なら ただの体なら
 馬鹿なぼくらなら 何処へでも行けるだろう
 車の音や 風のにおい
 どうせ忘れたんだ
 指輪の跡を見ながら
 指折って数えた
 決して
 この街の歩き方を 知りたいわけじゃない
 流行りのやり方も
 まだこの冬を過ごす事を
 二人だけわかってないのなら
 せめて 離れないように”
            「ぼくらなら」GRAPEVINE


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”じゃあ・・私の好きな葉月君は・・・どこに行ったの?”
島尾と再会出来たことで、六花の中で葉月の存在が置き去りにされたように見えたが、
この一言が無ければ、最後まで本当に何の救いも無い話だった。
もし島尾が想いを遂げようとするならば、それは葉月を殺すという犯罪者の烙印を押されるのだ。
それも世間などではなく、誰よりも大切な六花から。
残り2話で、島尾が何を選択するかが見物である。
しかしつらい話が続く。
島尾派からすれば「超展開!やったー!」とか思うのかな?
最初から葉月に共感している身としては、島尾の執着がイライラするばかりだが。

”そんなことがたびたび起きて
 悲しい出来事が静かにやってきたんだ
 気づかないうちにぼくの両手は
 真夏のヒマワリをひきちぎってしまった
 最後にひとつだけ もし君に酷い言葉残せるのなら
 あなたが思うよりもこの想いは限りなく深い
 覚えているよりも思い出は果てしなくありそうで”
              「AFFAIR」スガシカオ


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→第1話
http://ameblo.jp/creston/entry-11329377961.html


<川島みなみ編 Side-B1(憂鬱)> 

上昇する気温のせいで、7月のグラウンドは見ているだけで熱をすべてもっていかれそうになる。
実際に立ったらあまりのしんどさに倒れてしまいそうだ。ましてや今日は風もふいていない。
ここ何年も続く猛暑はどうかしている。母に言わせれば昔はこんなに暑くなかったとのことだ。
暑くはあったがクーラーなど必要なく、扇風機ひとつで十分過ごせたという。
私も小学生の頃、群馬に住む親戚の家に遊びに行った時、東京とは違う空気に驚いたことがある。
こんな心地いいのなら、夏場に節電がどうとか水不足がどうとかなんてもめることもないだろうに。
それにしてもこんな暑さの中、野球部員はよく練習ができるものだ。
でもよくよく見ると、それほどしっかりとは練習をしていないことに私は気付いた。
今グラウンドに居るのは8~9人。
確か野球部は20人ぐらいいるらしいが、約半分しか来ていないことになる。
ランニング、キャッチボール、守備練習に取り組んでいるようだが、各自が勝手にやっているようでなんかバラバラだ。
こんなんで夏の大会やる気あるのかと思ったが、もう予選はとっくに終わっているのだった。
そういえば野球部は2回戦で負けていた。そりゃすぐにやる気は起きないかともしれない。
しかし気合のない練習風景をみていると、こっちの気分がだれそうになった。
だったら見なけりゃいいという話だが、そうもいかないから困る。
なぜなら私、川島みなみは、この野球部のマネージャーになったのだから。

野球部顧問の加地先生がグラウンドに入ってきたのを確認して、私も中に入った。
先生はその場で部員に集合をかけ、いくつかの連絡事項を告げたあと、あらためて私を紹介した。
「2年4組の川島みなみです。よろしくお願いします。」と軽くお辞儀をすると、
「うぃーっす」と気のない返事が返ってきた。見渡すと見知った人間は誰もいない。
いや一人は確実にいるはずなのだが、今はいないようだ。だとするとサボりか・・。
私のマネージャー就任挨拶はあっさりと終わり、再び気の無い練習が始まった。
就任したからには私がサボる訳にはいかず、その実務をこなさねばならない。
マネージャーは私だけではなく、もう一人いた。
文乃という1年生の女の子だった。見た目はおとなしい印象だが、作業について質問するとこと細かく答えてくれて助かった。
どうやらかなり頭のいい子のようだ。でもなんで野球部のマネージャーをやってるんだろう?

私が通う程高校は、いわゆる進学校だ。ほとんどの生徒が大学に進学する。場合によっては就職したり、専門学校に行ったりする。
だからといって部活動が、特に運動部がおろそかになる訳でもない。
アーチェリー部は今年も全国大会に行ったし、登山部も関東大会に出ている。
有名実業団に陸上部のOBもいるらしい。
まあそれなりに文武両道を保っている高校なのだが、野球部はこれといった実績がないままだった。
県内には私でも知っている実力高校が何校もある。組み合わせいかんで準決勝、準々決勝まで行ければ大したものだが、ここ数年は2~3回戦で負けている。
一応県大会決勝まで行ったことがあるらしいが、かなり前のことで野球部が盛り上がったのはそれが最後だったそうだ。
高校野球は一発勝負だ。プロと違って何回もやり直すことはできない。
どんなに実力があっても不運に見舞われれば負けてその場限りだ。
まあ、程高校野球部が勝とうが負けようが、私の将来にはほとんど影響がないけども。
まさか、あの子の体に何かしらあったりはしないだろうけど?・・。

その後、私がマネージャーになったからといって、急に野球部が盛り上がるはずもなかった。
毎回誰かしら練習をサボり、部員全員が揃わないままのだらけきった練習は1学期の終わりまで続いた。唯一成果と言えるのは、いとこでもある二年の次郎とようやく顔を合わせたことくらいだ。
「よう、マネージャーになったんだってな」その日の練習前、スパイクを履きながら次郎が言った。
「あんた何でずっと練習に来なかったのよ」私は責めるようににらみつける。
「いや数学で赤点取っっちまってさ・・・。補習を受けてたんだよ。もともと苦手な科目だったけどさ。赤点はまずいだろ。さすがに必死になってさ」ブツブツと気まずそうに次郎は答えた。
「まあそういうことなら仕方ないけど。でもよくその成績でこの学校に受かったわよね」
「・・いきなり傷つくこと言いやがって。俺も入学出来るとは思わなかったよ。でもお前が一緒に勉強してくれたからさ。しゃかりきにやってたけど、まさか本当に受かるとは思わなかった」
「学校側の採点ミスじゃないかって、ずっと疑ってたもんね」
「お前だって中学に比べれば成績ガタ落ちなんだろ」
「うるさいわね。周りに秀才が集まれば必然的に落ちるわよ。」
「中学の時は必ず10位以内に入っていたのにな。アイドルが落ちるのは悲しいね・・。」
「誰がアイドルよ!いいからさっさと練習行きなさいよ!」
私は次郎にミットを投げ渡した。
「・・・でもお前がマネージャーを引き受けたのは驚いたよ。もういいのかよ」
「・・よくないわよ」目をそらして私は言った。
「あんたこそ、高校に入ったら放課後ライフを満喫するとか言ってたくせに。典型的な野球バカよね」
「悪かったな。やっぱり俺は忘れられないよ。お前とあの公園でやってた野球がさ」
そう。小学生の頃、私はいとこの次郎と毎年のように親戚の家を訪ね、そこの子供たちと草野球で遊んでいた。
あの夏を忘れない。忘れられないと次郎は言った。
無言になった私を見て、気まずそうに頭を掻いて次郎はグラウンドに逃げた。

7月22日。終業式が終わると私はグラウンドには行かず、そのまま学校を出た。
サボりではなく野球部絡みの用だが、私からすれば野球部よりも大事な要件なのだ。
普段は使うことのないバスに乗って4つ目の停車場を降りた。すぐ目の前に見えるのは市の総合病院だ。玄関から入ってすぐの総合受付には、まだ結構な人が座っていて、会計と薬が出るのを待っている。
ほとんどがお年寄りだ。ほんとにこの人は病気なのかと思うくらい、隣の人と談笑している人もいる。
そこまで元気なら近所の個人病院に行けばいいのにと、以前母にぼやいたことがある。
すると厳しい口調でたしなめられた。
「人はね。一度お世話になった病院はなかなか変えないものなの。しがらみとかじゃなくてね。
一度治ると安心してその病院を信頼するの。何があっても大丈夫と思うのよ。」
私は病院通いをした経験がないので、その辺は分からない。
だが健康であることが幸運なことはよく分かる。
「それにね。見た目は元気そうでも、その人は実は難しい病気を抱えているかもしれないでしょ?
外見で判断しないの。あなただってそういう人がいるのをよく知ってるでしょ?」

4階の入院病棟に入ると、独特のにおいがする。
私はずいぶん慣れたと思うが、このにおいで外の世界とは違う空間に迷い込んだような、
いや断絶されて、隔離されたような気になる。
さすがにこんなこと彼女には言えないけど・・。
廊下の一番奥にある4人部屋の病室に入ると、窓際でゆうきがベッドの隅にちょんと腰掛けながら外を眺めていた。かわいらしいピンクのパジャマを着ているが、左腕に点滴の針が刺してある。
見るたびに痛々しいが、そのことには触れないように彼女に声をかけた。
「おーい。来たよー」
「あー来てくれたんだ」とゆうきはうれしそうに言って私の方を振り返り、ベットの枕元に座りなおした。
「今日は終業式だったんだよね?」
「うん。それで先生から頼まれて持ってきたんだけど成績表やら何やら・・。まあ後でじっくり読んでね」
「・・・うん」
袋から成績表を取出してゆうきに渡し、残りはベットのわきに置いてから、私も椅子に腰かけた。
「お母さんは?」
「ん?夕方には来るよ。毎日お昼と夕方の2回来てくれるんだけど・・」
「大丈夫なの?」
「もう個室から移ったから大丈夫だよ。ゆっくりなら歩けるしね」
「無理しないで。何かあったら看護婦さんに言いなよ?」
「”看護婦さん”じゃなくて”看護師さん”ね。うん、分かってる・・。そんなに出歩くなって言われてるしね。だってこの病棟、病室それぞれにトイレがついてるのよ。要はここから出るな!ってことでしょ・・。ちょっと心外だけどね」と言ってゆうきは笑った。

もともとゆうきは元気はつらつな女の子ではなく、どちらかと言えばインドアな方だった。
割と活発な私とは対照的なのだが、どこかしら気が合い、付き合いは中学校からになる。
彼女が高校に入って、野球部のマネージャーになると言い出したのは驚いた。
どうみても文化系のクラブに入るものと思っていた。
「その髪型って看護婦さんがしてくれるの?」
話題を変えて自分の髪を軽く触れながら、ゆうきの三つ編みについて聞いた。
「うん。朝に頼んでみたらやってくれて。それくらいのことはしたいじゃない?まあ見てくれる人はいないけど」
「その髪にメガネかければ、はかない文学少女の出来上がりだなーと思って」軽い感じで私は言った。
「え?私ってそんなキャラ設定なの?」
「図書室にいれば間違いなく注目されるんじゃない?あーもったいないもったいない」
「しまった。だったら早く教えてよー」
「いや女子マネージャーという属性もそそるものが・・」
「その割には今のところ何にもないんだけど・・・おかしくない?誰も声をかけてくれないなんて」
「誰かが木の陰からそっと見てるんだよ、誰かさんが。誰かは知らないけど」
「見てないでさっさと声をかけて欲しいわ。・・私が男だったら、もしかして看護婦さんとなんてありなんだろうけど」
「やっぱそういうのありそう?」
「いやごめん、ないない。みんなテキパキ仕事するんだもん。ラブコメの入る余地はないわよ。
って病院の内情に詳しくなるハメになるとは思わなかったわ・・」
「・・そうね」
こうして話をしていると、ゆうきは至って普通の17歳の女の子だ。ぱっと見ればまさか彼女が心臓の病気だとは思わないだろう。
「なんかおかしいなとは思ってたんだけど、まさか心臓とはね・・」以前にも言っていたセリフだ。
病名は特発性拡張型心筋症。要は心臓病の一種だが、心臓の血管が詰まったりするものではなく、
心臓の筋肉が弱くなる原因不明の病気らしい。今は薬を徐々に投与しながら様子をみている段階だという。入院前、急に動悸・息切れがひどくなり、歩くのもしんどそうになった彼女の姿を見たときはショックだった。

「みなみだって女子マネージャーっていう属性を手中に収めたわけじゃない?どうなの?」
ちょっと沈みがちな空気を変えるようにゆうきは言った。
「いや、どうだろうねぇ・・」
ゆうきが心臓を悪くして入院したのは7月初めのことだった。
その際、担任から代理としてマネージャーをやってくれないかと言われたのだ。
まったく予想外の話だったが、受けてしまった。
野球部に関心はなかったし、別に気のある男の子が部員にいるわけでもない。
「ねえ。練習ってけっこうだらけるもんなの?」私は今まで見てきた野球部の練習風景を思い浮かべながら言った。
結局、部員全員がグラウンドに揃うことはなく、それに対して顧問の加地先生も何も追及しなかったし、各自が気ままにやっている感じで、統一感みたいなものはまるでなかった。
何より肝心のピッチャーである浅木慶一郎は終業式の日までついに来なかった。
「なーんかやる気あるのかしらこの人たちって。あれじゃドラマが生まれようもないわ」
「・・まあ、夏の大会の予選が終わった後だからね。気が抜けるのも仕方ないかも」ゆうきは肩をすくめてながら続けた。
「でも真面目な子はいるし、実力はあると思うんだけど・・」
「別に気合だーってのはダサいからいいんだけど、バットを振るのも打球を捕るのも気が抜けているというか、格好良くないというか・・」
「・・・あれ?みなみ野球詳しかったっけ?」ゆうきに唐突に聞かれ私は
「あぁ・・・昔草野球やったくらいだよ。あとはマンガ」
答えがぎこちない気がしたが、ゆうきは気に留めなかったようだ。
「私もそう。あだち充先生とか。メジャーとか。水島新司も読んだかな。お父さんが持ってて」
「ああ、ドカベン?」
「・・もそうだし大甲子園も。男ドアホウ甲子園も読んで水原勇気にあこがれたけど」
「ゆうきの名前はそっからなんでしょ?」
「いやちょっと怖くて、まだ親に直接聞いてないのよ・・。でもやっぱ運動神経がなくて全然ダメだったな」

彼女が野球部のマネージャーになった理由は、入部するときに一度聞いた。
「うん、まあ・・自分が出来ない分、その場所を近くで見たいとか。同じ場所に立ってみたいとか。
 憧れかな。・・なんか格好いい言い方になっちゃうね・・」
照れて前髪をいじりだすゆうきを可愛らしいと思いながら、同時になぜか「儚げ」という言葉がその時浮かんだ。それが不吉な予兆だったなんて、考えたくもない。

「うん。野球は好きなのよ。マンガだけじゃなくて。プロ野球も高校野球もTVで観るのはすごく好きだった。スポーツ選手はみんなそうだけど、自分の限界を知るためとか、とことん追求するとか・・。格好いいよね。・・でもその先ってなんだろうね・・」
「・・・うん。どうなんだろうねぇ。それは聞いてみないと何とも・・」
私は急に深くなった話に困りながらもごもごしてしまった。
「そうだよね。ゴメンゴメン・・」変なこと言っちゃったとゆうきは笑いながら言った。
「ううん別に・・。でも高校野球ってそこまで追求するものなのかな?」私はふと聞いた。
「うーん。中にはそういう子もいるんだろうけど、目的じゃないよね?野球部に入ってそこからプロを目指すなら話は別だけど、何をしたいかって言えば・・」
「試合して勝ちたいんでしょう?負ければ悔しいし、また挑戦して勝てればうれしいし楽しいって・・。それだけじゃだめなのかな?」


                             <続く>


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