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日本の政治経済の現状(16-20)財界の反応

 アベノミクスと称する金融政策が現在ほとんど破綻に近いと多くの人が見ているが、日銀はやっと重い腰を上げ9月20-21日に開かれる金融政策決定会合で「総括的な検証」をやるそうである。自分たちがやっていることであるから深く反省することもなくたぶん戦前の日本軍と同じく「戦況はきびしいがさらに戦いを進めて物価2%アップの勝利を勝ち取ろうではないか。」という結論になるのではないかと危惧している。もし日銀の9人の委員の5人でも現在行っているマイナス金利の見直しやクレージ―な株価つり上げ介入を反省して、介入をやめるまたは減額するという結論を出すというのであれば日銀委員の率直な反省に敬意を表したいと思う。

 

ところで、このブログで経済界はアベノミクスに対して何の発言もないのはいかがなものかと書いてきたが、財界が次回の金融政策決定会合の前にして珍しく口を開いた。3団体の代表の発言である。

 

経団連・榊原会長「物価2%目標はいまだ達成できていない。マイナス金利も期待されたが効果が出ていない。今回の会合でアベノミクスの功罪や副作用をしっかり検証してもらいたい」

(9月9日仙台市の記者会見)

同友会・小林代表幹事「これ以上深みに入るのだけはやめてほしい」

(8月30日の記者会見)

商工会議所・三村会頭「一定の効果があったが金融政策や財政出動は時間を

稼ぐ政策。これ以上金融政策が本当に良いのか

疑問なしとしない」

(9月1日の定例会見)

 

日頃、法人減税などで安倍政権にお世話になってきた経済界のトッはこれまで批判がましい発言を抑えてきたが、さすがにアベノミクスの限界をはっきりと認識しこれ以上黙ってはいられないと感じたのであろう。遅きに失したとはいえ経済人としてのギリギリの良識といえる。

株式市場では、今年に入って外資の参入がめっきり減り、GDPを押し上げる国民消費は全く上がらずむしろ前年比マイナスという状況が続いている。20-21日の会合での日銀自身による「自己総括」の結果はどうなるか反省なしと終わればでは日銀が政府に隷属している証左となり日本政治経済の悲劇となる。

 

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政治経済を考える:日本の政治経済の現状(16-19)アベノミクスはアホノミクス そのー2

 前回のブログではアベノミクスはアホノミクスと書いたが、今やアホノミクスと揶揄していればよい状況ではない。今朝(829日)の日経新聞一面に「公的マネー筆頭株主に」という見出しが躍っていた。驚くというより、やはりという感想である。異次元の金融政策がもたらした恐るべき結果である。東証1部上場会社の4社に1社の実質的な筆頭株主が日銀とGPIFを合わせた公的資金となっていると報じている。実に東証1部の1970社中の474社の筆頭株主が日銀と公的資金を合わせた公的マネーだというのだ。(日経新聞を見ていない人のために)日経が挙げた上位13社は次の通りである。

 

          (日銀とGPIFの保有比率)

TDK         17.0%

アドバンテスト     16.5%

トレンドマイクロ    15.0%

横川電機        14.2%

日東電工        14.2%

コムシスHD        13.1%

クレデイセゾン     12.9%

ファナック       12.6%

コナミHD         12.3%

テルモ         12,2%

日本水産        12.1%

セコム         12.0%

住友重機械工業     11.9%

 

日経はこの状態を「官製相場」の色彩が強まっていると遠慮がちに表現しているが、まさに「安倍式粉飾相場」としか言いようがない。当然であるが株価は企業業績に連動するのが当たり前であるがそのような常識は当てはまらず日銀―GPIF連合軍が買う株が上がるのである。例えばPERが18を超えようが20になろうが、公的資金が買えば上がるのである。日銀は今後とも年間6兆円の札を刷って株を買い続け、GPIFも130兆円の25%を日本株に充てるゆえ、公的資金の筆頭株主比率は上がり続けるであろう。このような状況が続けば市場自体が機能不全となる。

1.    前回のブログですでに書いたが、政府や金融当局の介入を嫌う外資系、特に米系ファンドは日本市場から手を引くであろう。結果として、日銀とGPIFが買い進もうとして売手不在となり売買が不成立となるような最悪の状態も考えられる。外資が参入しなくなると東証1部はほとんど機能しなくなる。今年に入ってかなり外資の取引額が減少しているのが現実としてある。昨日も書いたが米系投資家の当局介入に対する嫌悪感は日本人には理解できないほどすさまじいものである。

 

2.    株主総会において筆頭株主として日銀やGPIFが各会社の経営に対して意見を言うだけの知識や能力があるとは思われない。ETF(数種の株をブレンドしたもの)を買っただけなので筆頭株主と言われても、その会社に特段の思い入れもないのでる。ただ一つだけ彼らが株主総会で口を挟むことが出来るとすれは、役員人事に介入し筆頭株主の存在感を示すことである。有用な人物を筆頭株主の意向で失ってしまう恐れがある。例えば役員の中で安倍政権に対して批判的な役員を辞任させるなどである。日銀金融政策委員の人事において「イエスマン」だけで固めた黒田総裁のやり口を見ればそういうこともありうるのである。また公的資金が名前を使われたりする危険もある。A役員を煙たがっている社長が「筆頭株主の日銀がA君のことをよく思っていないから外そう」と日銀がそんなことを言ってもいないにもかかわらずほかの役員を説き伏せる口実に日銀の名前が使われてしまう恐れもある。当局がそんなことを言うはずがないと思う事例でも「当局のご指導により今回のXXXサービスは中止することにしました」という店の張紙と同じである。

 

このような事態に至っても何も発言しない(あるいは出来ない)経団連幹部や東証幹部の良心はいったいどうなっているのか。彼らが「コーポレイトガバナンス」や「コンプライアンスの順守」を会員会社や上場会社に対してどうして言えようか全く疑問である。(了)

日本の政治経済の現状(16-17)アベノミクスはアホノミクス?

 同志社大学浜矩子教授が日銀の「異次元の金融緩和政策」開始当初からこの政策を批判し、「アベノミクス」ではなく「アホノミクス」と揶揄した。アベノミクスに対して懐疑的であった筆者も「アホノミクス」は言い過ぎだろうと思っていた。

 しかし、異次元の金融緩和を政府・日銀が導入して以来約3年半たったその結果は確かに「アホノミクス」と批判されても仕方がないと言わざるを得ないものである。金融市場、特に株式市場に直接投資をしてきた日銀とGPIFの投資結果は惨憺たるものである。

 

1)    日銀は729日からETF買いの介入額を年間3.3兆円から6兆円に増額すると発表した。まず指摘しておきたいのは、日銀の使命は物価2%上昇が最終目標であるが、株への投資額を増やして物価が上がるのか全く理解できない。

ましてや、日銀が企図した株価押し上げ効果は今のところないどころか青目ばかりか黒目のヘッジファンドに恰好の「儲ける機会」を与えるだけの結果となってしまった。日銀はただETFを買うだけの投資家である。ヘッジファンドは日銀が市場に介入して、日経平均が上がったところで先物の空売りや現物売りで市場を揺さぶり下がったところで利益確定買いを入れるというような投資行動で儲けているのである。729日以降丁度4週間ただ買うだけの日銀と、先物と現物の売り買いの手段を駆使するヘッジファンドとの攻防が極めて明瞭にみられたが、今後もこのような図式は変わらないであろう。日銀はヘッジファンドのために市場のお膳建てをしているとしか見えないのである。

 

4週間の市場の動きを追ってみよう。

 

        (日銀の介入額) (日経平均終値)

729日      -      16,569.27

81日       350億円

82日       350億円

84日       700億円

810日       700億円

812日       -     16,919.92

                             (4週の中での最高値) 

 

日銀は12日のうち5日総額約2100億円のETF買により日経平均を約350円押し上げた。(が、たったの350円かともいえる)

 

825日       700億円

826日       700億円   16,360.71

                            (4週の中での最安値で12日の

               高値比 -559円)

 

 15日の週に入り外資がここぞとばかり1週間で2296億円(財務省発表)という額の圧倒的な売りをかけ、日経平均は再び月初めの16,500円台に押し戻された。日銀はたまらず25700億円、26日も700億円の介入を行ったが、効果なく売り方に押され 826日は16,360.71円で終わった。月初めから26日までに計7日、総額3500億円を使っても日経平均は下がったのである。日銀のETF買枠は月間5000億円である故来週またぞろ介入するであろうが、介入の結果上げた分あるいはそれ以上を(外資などの)売り方に絶好の機会を与えて儲けられるだけであり日銀の無謀な市場操作は速やかに中止するべきであろう。

 日銀の金融政策決定会合において1委員から指摘されたという「政府の市場介入が市場に混乱をもたらす恐れがありETF買増額に反対」であるという少数意見が正論である。特に海外の投資家は当局による市場介入に対しては「本来自由であるべき市場がゆがめられる」との理念がありある種の正義感をもって立ち向かってくる傾向が強いのである。株や債券、FXのデイーラーたちは常にリスクをかけて勝負をしている故、ある意味ゆがんだ市場操作行為に対して激しく批判的である。日銀が意図的に株を上げようとしても上げさせない正義が存在するのである。繰り返すが一時的に株が上がったとしても物価上昇とは関係がない。

 

2)  GPIFの損失 4-6月3ケ月間の損失額 5兆2491億円。

  2014年10月以来総計で10.4兆円の損失。

 

 201410GPIFは運用成績を向上させるとの目的で運用のポートフォリオを大きく変えた。国内外株式に対する比率を25%から50%に引き上げ国内株25,国外株25%としたが、20158月以降の円高により、大きな損失額を出さざるを得ない結果となった。4-6月の損失が発表された以前に2014年から2016年3月までの損失が5.1兆円となったことはすでに周知のとおりである。その上に今回約5.3兆円の損失が報告されたのである。投資勘定別の損益結果は下記の通りで特に外国株において為替先物ヘッジなどの手法を使うという円高対策もせず放っておいたGPIFの運用は幼稚ともいえるのである。安倍政権においてはずっと円安で円高のリスクはないとでも思っていたのであろうか。


(4-6月の運用実績の内訳)

国内株式:  マイナス 2兆2574億円

外国株式:  マイナス 2兆4107億円

           (ほとんどが円高による損失)

外国債券:  マイナス 1 5193億円 (同)

国内債券:  プラス     9383億円

 

  201410月から20-166月末までの運用損失総額は結局10.3兆円超となり、2014年9月以前までに増えた9兆円を超える損失であって、安倍政権になってから全体の運用実績は1兆円を超えてしまったのである。株式投資比率引き上げはアホノミクスと言われても仕方がない。()