日本の政治経済の現状(16-23)小池都知事とトランプ大統領:既成勢力への挑戦
米国大統領選挙の結果が出た。トランプ257に対し215しか選挙人を獲得できなかったクリントンが敗北を宣言しトランプを祝福し一年半以上に及ぶ選挙戦の幕が閉じられた。日本のいわゆる一般常識人、大手マスコミに出演していたコメンテーターなどを含めて、ヒラリーが勝つであろうと予想していた。
トランプはその暴言により身内である共和党内の既成勢力から毛嫌いされ彼を遠ざけるものも多く出た。しかし、トランプはそんなことはものともせず暴言と言われながらも自分の主張したいことははっきりと主張した。特にウォール街で大金を瞬時に稼ぐ金融業者や代々政治家を生みワシントンでうまい汁を吸う一方で底辺を這いすりまわって生きている多くの米国民の現状を知ろうともしない既成政治家を厳しく選挙戦中一貫して批判してきた。この主張に賛同し、トランプに一番票を入れたのが、40歳以上の低学歴の白人層であったという。彼らのほとんどが熟練工であり一生そこから離れては家族を養えない、真面目で不器用な人たちである。経済格差の現実がこの人たちの選挙への目を覚まさせたといってもよい。格差の時代に起きつつある政治現象でもある。
トランプの大統領当選の結果にすぐに思い起こすのは夏の東京都知事選であった。小池氏が290万票という大量の票を獲得し当選した。この選挙でも選挙民の既成勢力に対する強い反感がこの
大票につながったのである。森氏を頂点とした組織委員会JOCの面々がごく内々で3兆円にも上る税金を使う決定権を持っているのか。何でもかんでも自民党都連幹部と都幹部が密室で長年にわたって決めてきた都政を都民の前に明らかにして都民の賛同を得た票でもあった。都知事当選後もこの密室談合体質がさらに明らかになりつつある。
小池都知事の補選で当選した若狭衆議院議員にたいし自民党幹事長二階氏は「若狭氏は法律家として経験はあるが政治家としてはいまだ未熟で、発言には注意しときます」といった。若狭氏のいわゆる都議会議員7人の侍養護に対する発言である。二階氏大丈夫か日本の政治の底流に流れる意識がかなり変わってきているのを認識していない。年明けに解散総選挙などと言っている自民党員がいるようだが国民はバカではない。大勝できる保証はなくなった。
トランプ優勢の報を受け11月9日の日経平均は一時1000円を超す大暴落、円も105円から一気に101円台まで急騰した。日銀の必至の介入で終値はマイナス919円で引けたがこんな時に介入する気がしれない。死に体のアベノミクスを襲ったのがトランプ台風であった。これまで費やした400兆円以上の金はどうしてくれるのだ。日銀の総裁以下、金融政策委員会全員総辞職し、国民に謝罪すべきである。日経平均を100円上げるのに一日1000億円も費やすならその分子育てや福祉に回すほうが国として得策ではないか。(了)
日本の政治経済の現状(16-22)汚染された市場
今、日本には汚染された二つの金融市場がある。国債湖と株沼である。国債湖には毎年80兆円もの日銀水が流入しているが、日銀水は湖から流れ出ることがないので水質が年々悪化している。汚染された湖には民間からの清水の流入が従来と比べ半減しているのも水質が浄化されない原因にもなっているのである。そのうち住んでいた魚はすべていなくなり、2年後には湖底に500兆円から600兆円台に達する紙幣が汚泥として残るのである。
一方、株沼でも日銀水と公的資金水の二種類が沼の水を汚染して、酸素が年々少なくなり、沼の活性化が削がれ外国からのお客さんも半減してきている。今年に入りただ株を上げるだけの麻薬を含んだ日銀水と公的資金水の流入が倍となり国債湖と同じく汚染が極めて速いスピードで進んでいる。
政府はこの湖沼を浄化するための政策を早急に打ち出さないとさらに汚染は進み、かつて多様な生物が訪れていた水質に戻るのに相当の時間がかかると危惧するものである。
日銀が国債を買うのも、株式市場に介入するのも、その目的である「物価上昇2%」が錦の御旗であるが日銀の2%達成時期予想は何回も先送りされているのは承知の通りである。
10月4日発表の9月分日銀短観によれば、全企業の物価見通しは3年後でやっと1%上昇、5年後でも同じ1%である。実業界が見ている物価上昇率はそんなものである。そんな背景があるからか日銀は「今回2%達成時期を2017年度中」から18年度以降への達成時期先送りを検討中だという。黒田総裁の任期は2018年4月である。どう好意的に見ても在任中に物価2%の早期上昇は困難であるとみられる。
8月の消費者物価指数は前年同期比マイナス0.5%であり6ケ月連続前年を下回った。
安倍首相の任期を6年から9年に延長する自民党内規を変更する動きがあるが、その変更に表立った反対意見が出てこない。今や自民党という建築物の構造は一本柱構造になってしまって多数の柱がある構造物ではなくなってしまった。柔構造の方が地震があったときなどに強い構造であるが、安倍色一本の構造となると、意外にもろく強風や地震で一挙に崩れることがある。
黒田日銀総裁の任期延長が自民党内に出てくるとすれば、安倍政権はさらに構造的欠陥を露呈して崩壊の道をたどることになるであろう。そのとき、いつものように被害を受けるのは一般国民であり、アベノミクス失敗の責任をとるものはいないのである。
日銀の物価2%上昇のための株式市場介入や金利0%達成のための国債買いは、ますます市場を不活発なものにし市場はすでに「汚染された湖沼」になっていることに我々は注目するべきである。
(了)
日本の政治経済の現状(16-21)日銀の金融政策の総合的検証
2016年9月20、21日両日、日銀は2013年4月以来3年半続けてきた異次元の金融緩和政策を「総合的に検証」することを主眼とした金融政策決定会議を開いた。「総合的な検証」というからには相当な反省と見直しがあると期待したが、出てきた政策変更は意外ともいうほど何もなかったといってもよい。事前に経団連ほかの経済からの「これ以上深入りするな」との声もあったからか、中途半端なもので終わってしまった。黒田総裁の話も歯切れが悪く経済評論家や市場関係者にとって日銀の政策に何か特に変化があったのか理解しにくいものとなった。あえて言えば次の2点が日銀のメッセージであろう。
どんなに時間がかかっても「物価上昇率2%達成」に固執する。言い換えれば従来の「2年で2%」はギブアップする。
短期金利はマイナスで据置き、イールドカーブを少し修正するため長期金利をマイナスではなく0あたりで保持するように努力する。
この2点をさらに見てみよう。
日銀は何としても物価上昇率2%を達成したい。」とのことであるが「できるだけ早急に達成したいが、期限は切らない」というのは、経済界の常識としてありえない話である。事業会社の販売計画会議で販売部長が「売上2%を目指しますが、今の時点でいつまでにとは申し上げられません」と発言したらどうだろうか、みなさんの会社でそのような人で販売部長が務まりますか。日銀の総裁はそれでも務まるのでしょうか。務まるとすれば極めて政治的な判断で身分が保証されているとしか言えないでしょう。そろそろ日銀は実現不明な物価上昇率2%の政策を変更して、物価がマイナスにさえならなければヨシとの政策に変更すべきである。日本では物価上昇2%はまず不可能だと断言できる。
その理由はいくつかある。
人口が下がり続ける日本で物価は上がらない。
物の供給過多状態が解消されていない。スーパーでもアウトレットでもデパートでもどこへ行っても商品が所狭しと並べられている。誰がそんなに買うのであろうか。消費者はそれぞれの特売日を選んで上手に安く必要品を購入しているのが現実である。供給過多が「安売り日」をもたらし消費購買額が上がらない一因にもなっている。
100円ショップがつぶれないのも不思議だが消費者の中で支持者が多いのであろう。また、物価が上がらない一因として政府、日銀はよく「原油が下がっているので日本の物価が上がらない」と言い訳をしているが、原油価格は日銀がコントロールできる筋合いのものではなく、言い訳をするのではなくそのような海外要因をも考慮して物価2%が本当に達成できるのか否か今回検証すべきであった。日銀の金融緩和で原油価格までコントロールできると思っているとしたら大きな間違いである。シェールガスの本格的商業化は原油価格の構造を変えてしまったことを将来の物価傾向を考えるとき十分に分析すべき項目と思う。日銀のシュミレーシヨンでは原油が2017年には1バレル80ドルくらいまで上がるとみているようであるが。中国や外国の経済政策に日銀が口を挟めないのも同様である。できるのは分析だけである。国内外の情勢を分析すれば物価2%上昇は当分(少なくとも黒田総裁任期の間)無理であるのは明白である。米国でさえ金融緩和8年を過ぎたがいまだに物価2%上昇を達成し得ていないのである。
物価の中に金利が含まれていて、マイナス金利は商品コストの引き下げ要因になっている。例えば生産者は原材料を仕入れて、商品を製造し販売する。その間の金利は当然製造コストの中に入っている。さらに問屋がその商品を仕入れ販売現金化するまでの金利コストが含まれる。さらに小売店も仕入れ時から販売現金収入までの金利コストがかかるのである。金利が高い時と比較すれば現在は金利コストが低いので物価はその分安くなる。消費者から見ればありがたいが日銀の物価上昇2%上昇渇望に棹を差すのである。マイナス金利そのこと自体が消費者に先行き不安を感じさせるムード的な影響も消費者に消費を控えさせる結果として物価が上がらない要因なのである。
2 「長期金利を0あたりに定着させる政策」に変更したのはイールドカーブを少し起こしてマイナス金利の悪影響を受けている銀行、特に地方銀行や信金などを救うための政策である。また、国民から非難をGPIFの運用損を少しでも減らそうという意味合いでもある。すでに中小銀行はマイナス金利の影響で利ザヤが極端に狭まっており長期金利マイナスの状態があと半年も続けば破綻の可能性がある名前が上がり始めている。長期金利を0にしてすぐにこれらの中小銀行を救済できるとは思えないが、ないよりましであろう。日銀は「量より質」を重視することに変更と説明しているが、中小金融の状況がかなり深刻になっている実態が「長期国債0%への修正」の裏にあることを留意するべきである。しかし、あまり急に長期国債の金利をマイナスから0にしようとすると既発債の価格暴落に繋がるリスクもあることに我々は注目すべきである。
(了)