はじめに……
第10話は、彼女サイド(にのわんこROOM)と異なります。
時間系列からいうと、彼女サイトを読んでから、こちらを読むことをオススメします。
ちなみに、彼女サイトを読まなくても、話は繋がりますのでご安心くださいな。
では、翔サイド、どうぞ~
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あっという間に眠りについて、どれくらい経ったんだろう。
「‥‥‥‥Zzz‥‥‥‥」
『‥‥夏海‥‥?』
「‥‥‥‥Zzz‥‥。」
ふと窓からの心地よい風に目を覚ますと、彼女はテーブルに寄りかかるようにして、寝息を立てていた。
ふっ
『‥‥寝てんのか‥‥?』
「‥‥‥‥‥‥。」
『んーっ!!』
伸びをする。
ふぅ‥‥
オレは起き上がって、彼女の顔を覗いた。
『‥‥泣いて、、た?』
彼女の頬には、涙の痕があった。
オレはそっと髪を撫でた。
「ん‥‥。」
『そうだよな‥‥そんだけ、夏海には負担かけてんだよな‥‥』
「‥‥。」
静かに彼女の髪を撫で続ける。
「しょ‥‥ちゃ ん‥‥」
『…ん?起きた、、か?』
オレは髪を撫でていた手を止めた。
すると、彼女は目を閉じたまま、小さく呟いた。
「ふふっ。‥‥すぅ‥‥きぃ‥‥‥‥Zzz‥‥。」
寝言か…
そんなこと、寝言で言わなくたって…
『ったく‥‥知ってるっつうの。』
それからしばらく、オレは彼女の寝顔を見つめていた。
愛しくてたまらなくて…
でもこうしている事が、なんだか儚い夢のようだ…
このままずっと彼女には、オレの傍にいてほしい。
それは叶うのかな…
好きだって気持ちも、ずっと続くのかな…
オレだって、色々、不安になんだよ?
『夏海は…ずっとオレの傍にいてくれる?』
「……zzz」
『オレのこと、好きでいてくれる?』
「……zzz」
眠っているから返事なんかあるわけもなくて…
ただ、不安だけが募っていく。
『…夏海……オレの願い、聞いてくれる?』
眠っている彼女の髪を撫でながら、オレは小さく呟いた。
そう、これから…
オレの勝負の時間が始まるんだ…