憤怒レポート第5弾
役人天国・地方公務員は「管理職だらけ」
課長補佐以上がウヨウヨ!昨年、愛知県知事選と名古屋市長選の同時選挙で勝利した河村市長(右)と大村知事。改革は進んでいるのか〔PHOTO〕川谷 渚
愛知県庁に登庁する職員たち。同県の管理職比率は34・3%に上る。しかし、「わたり」が今なお続いている
民間企業ではあり得ない
「管理職比率」に、即刻メスを入れよ!福島県69・6%、佐賀県68・9%…低いと言われる大阪府でさえ民間より上の18・6%なのだ。これに〝わたり〟=横並びの役職手当も加われば、人件費がかさむのは当たり前だ!

「
管理職と言っても名ばかりで、実際には仕事らしい仕事がほとんどない。職場で時間を潰しているだけの人がたくさんいました。初めて社会人になった私としては、衝撃的な光景でした。結局、私はその数年後、依願退職しました」
こう証言するのは、ある地方都市の役所に勤務した元職員である。公務員の世間離れした「厚遇」と、民間と大きな格差がある「高給」を追及してきた本誌「役人天国」シリーズ第5弾。今回は、
人件費高騰の元凶とされる、地方公務員の「管理職だらけ」の実態をレポートする。
役所に管理職が多すぎるという問題は、昔から言われてきたことだ。'05年に当時の谷垣禎一財務大臣が公表した答申(『地方公務員給与の主な問題点』)でも指摘されている。「地方における過大な上位級職員(管理職)の比率」と題して、各自治体に早期の是正を求めた。『公務員の異常な世界』などの著書があるジャーナリスト・若林亜紀氏が解説する。
「答申によると、
地方公務員の60%以上が課長補佐級以上です。国家公務員ですら38%なのに、地方公務員は3分の2が管理職なのです。それに見合う給与が支払われており、地方公務員の人件費を押し上げる大きな要因になっています」
(表註)「職員」は、警察官・教師を除く一般行政職員。「全職員数」は、2010~2011年に公表された最新数値
谷垣答申は、警察や教員を除く一般行政職の地方公務員について調査したもので、管理職を「課長補佐級」以上と定義している。そこで本誌も今回、全国47都道府県の最新の管理職の割合を調べてみた。自治体によって「課長補佐」の呼称が異なっているので、各都道府県に課長補佐に当たる役職を確認して調整した。それが別表である。まずはご覧いただこう。
表では、
管理職が25%以上の都道府県を掲載したが、全部で39道府県に上った。その中で、福島、佐賀、長野、熊本、大分などの10府県が現在でも60%を超えていたのだ。橋下徹前府知事(現大阪市長)がコストカットに辣腕を振るった大阪府は18・6%で表に掲示していないが、それでさえ民間の17・6%(厚生労働省「'10年・賃金構造基本統計調査」による)を超えている。〝管理職がウヨウヨ〟の実態は何も変わっていないのだ。
なぜ、地方公務員にはかくも管理職が多いのか。その理由と弊害を、奈良県大和郡山市役所と新潟県庁に勤めた経験のある、兵庫県立大学大学院・応用情報科学研究科教授・中野雅至氏が説明する。
「中央官庁のキャリア官僚の場合、若い世代を早く出世させなければならないので、ベテラン組は無理やり辞めさせ、どんどん間引いていく。しかし地方の場合は、基本的にみんな定年まで勤める。誰も辞めないので、管理職がたくさんいる」
その弊害はシャレにならないものばかりである。中野氏が続ける。
「彼らは意思決定の権限はないけれど、『ああでもない、こうでもない』と口を出す。古い人なので、新しいことをやりたがらない。僕が新潟で課長をやった時も、若い人は新しいことをやりたがるが、年配の人は何かにつけ、『失敗する可能性がある』『無駄じゃないか』などとネガティブな面を強調して反対する。積極的に仕事をしたがらないのです」
こんな組織では、行政サービスの向上に結びつく新しい試みなど望むべくもない。冒頭の元職員はこんな体験を明かす。
「資産税課に配属された時、税金の滞納者からより多く徴収できる改善計画を出しましたが、上司に却下されました。滞納者の自宅を回っていないのに特殊勤務手当(注1)として一日400円支給するのを止めましょうと提案した時も、『同じ手当を出している納税課や市民税課とバランスがとれない』と断られた。公務員の世界は、とにかく横並びで変化を嫌がる人たちの集まり。管理職はその典型」
(注1
)業務遂行の際、職員に過度なストレスがかかると判断された時に支払われる手当。この場合、納税を拒む住民を説得するストレスとして特殊手当400円が設定されていた
1月某日、午前10時過ぎ。愛知県庁内の食堂に、何やら話し込んでいる職員と思しき男性3人の姿があった
玄海原発のやらせメール問題などで批判を集めた佐賀県はワースト2。古川康知事の厚顔無恥ぶりが極立つ〔PHOTO〕結束武郎
前出・若林氏も、こんな経験をした。
「これは地方ではなく省庁の外郭団体にいた時の話なのですが、海外出張の際、私は格安航空券を手配したんです。すると上司に、『高いチケットで出張している人に迷惑がかかる』と叱られました。公務員は予算を取ってくることが省益になるという価値観なので、予算を削るようなことは悪になる。慣例を崩すことがタブーなのは、地方公務員も同じです」
無責任と言おうか、我が身が大事すぎると言おうか。前出・中野氏は市役所勤務の新人時代にこんな管理職を見た。
「僕が市役所の税務課にいた時、いかにも怖そうな人が税金の支払いに来た。職員たちはみんな、自分が対応したくないから目線を外す。結局、1年目で、窓口に一番近い席にいる僕が対応することになった。案の定、彼は激しい口調で文句をつけてきた。でも、誰も助けに来てくれない。管理職の人たちも無視している。民間企業でこんなことあり得ますか」
愛知県人事課の「迷回答」
地方自治体の人件費が膨らむ原因には、前号でも指摘した
「わたり」という〝横並びの役職手当〟の問題もある。管理職でもないのに、年功によって管理職級の給与を支払う「裏手当」のことだ。部下もいないし、平職員でもできる仕事しかしないのに、課長や部長級の給与をもらう。役所側は、「職員の間に不満が残らないようにするため」と、この制度を擁護する。悪しき平等主義が堂々とまかり通っているのだ。
中野氏によると、
県庁の課長時代には窓際にぽつんと独立した机に座っている「得体の知れない人」がたくさんいたという。「わたり」の対象者である。この〝隠れ管理職〟を含めれば、全職員に占める管理職の割合は、次ページの表の数字をはるかに超えることになる。
(表註)「職員数」は、「職員の給与に関する条例」に基づく行政職給料表の級区分によるもの。「標準的な職務内容」は、それぞれの級に該当する代表的な職名。「職員数」には教育委員会及び警察本部の一般行政職員を含む(千葉県ホームページより)(平成23年4月1日現在)
谷垣答申以降、総務省も「わたり」を廃止するよう指導しているが、'10年の調査でも、13の県と3政令指定都市で実態が残っていた。「減税党」の河村たかし名古屋市長の盟友、大村秀章知事が改革を進める愛知県も該当する。が、愛知県総務部人事課は、本誌の質問に対して、「現在、総務省のわたりに該当する基準は(愛知県には)ない。廃止された従前の制度が適用され、経過措置的に該当する者はいるが、大幅に減少している」と、どちらともとれる謎に満ちた、ある意味、公務員的な回答を寄せた。そこで本誌は確認の意味を込めて電話取材を試みた。以下が、人事担当者とのやりとりだ。
---回答文にある「経過措置的に該当する者はいる」とはどういう意味か。結局、「わたり」に該当する職員はいるのか。
「降格人事が基本的にできない仕組みになっていますので、一旦、昇格した人を降格させることはできません。そういう意味で、そういった人がいることはいます。例えば、退職間際の方、昔の制度で上の級に格付けられた人です」
--
-谷垣答申も求めた、管理職の人件費の実態を集計していないのはなぜか。
「必要ないからです(キッパリと即答)」---谷垣答申では地方公務員の上位級職員(管理職)の増大を問題視している。公開すべきでは。
「ある意味、それは全国の問題ですよね。ウチの場合、近隣県を確認しても、集計しているところはないので、愛知県だけの問題ではないと思っています」
なんとも、横並びが好きで変化が嫌いな公務員の典型といった回答であった。
もう1県、千葉県は今年3月末までにわたりの全廃を打ち出した。上に同県の職位区分表を掲載した。ご覧いただきたい。まず驚くのは、その肩書の多さだ。「主事」「技師」に始まり「部長」まで、その数はなんと15種! 民間企業ではあり得ない数だ。同県総務課によると、そのうち、管理職に当たるのは、5級の「班長」「副主幹」以上。その割合は50・4%になる。が、4級の「係長」「主査」に「わたり」の対象者の多くが存在するのだという。それを含めると、管理職の割合は69・9%にも上る。ほぼ7割だ。人件費もかさむはずである。同県総務部行政改革推進課がこう説明する。
「なぜこれだけ上位級職員が増えたかというと、千葉県の特殊性として急速な人口増加が背景にあります。豊富な職務経験を有する中堅職員を主幹(6級)として積極的に活用してきたのです。上位級職員構成比が高い状況にあることは、問題点として意識しています。対応策として'10年度から千葉県行政改革計画を実行しています。'12年度までに全体の職員数、総人件費の抑制を推進しています。その過程で、管理職員数の削減、上位級職員の比率の抑制についても進めています」
廃止予定の「わたり」の金額について、同課の提示した対象者数と手当額をもとに本誌は概算を出してみた。すると、その額は月に約3800万円となった。
千葉県は思いの外、オープンだった。しかし、ムダに払われた裏手当の額が年間にして約4億円にもなるというのは驚きだ。公務員問題に詳しい、ジャーナリストの北沢栄氏が言う。
「
公務員世界の古い体質は、実は、国家公務員以上に地方公務員に根強く残っている。国家公務員は批判にさらされ、最近、遅ればせながら、やや改善がみられる面もある。しかし、地方は地方自治体の自主性に任せられている面が強いので、改善が遅れているのです」
どうしたら地方公務員の問題を解決できるのか。前出・中野氏はこう話す。
「
地方自治体によって、課長と課長補佐の間に、参事とか参与とか室長、企画官、課長級などといった新たな名前の役職を作り出している。そういう役職の人の多くが、組織をダメにする。地方自治体にとって今一番必要なことは、人を改造することではなく、制度そのものの変革です。例えば抜擢人事で、できる人間をどんどん上げていくことです。そうしないと組織が活性化しません」
公務員の人件費の問題は何十年も前から指摘されながら、いまだに抜本的なメスが入っていない。このままでは早晩、日本がギリシャ化するのは目に見えている。
「フライデー」2012年2月3日号より総務省第13回議事要旨
「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」(第13回)[議事要旨] 日時 平成17年10月13日(木)13時30分~15時30分
場所 虎ノ門パストラル 新館4階 ミント
出席委員(敬称略)
塩野宏座長、植本眞砂子、内田公三、太田聰一、久保田利昭、須賀恭孝、中川浩明、西村美香、丸山 誠、山野岳義、芳山達郎
議事経過
(1) 開会
(2) 最近の地方公務員給与をめぐる動きについて
事務局から最近の地方公務員給与をめぐる動きについて説明がなされた。
(3) 給与決定の考え方について
事務局の配布資料説明の後、意見交換が行われた。その際出された主な意見等は次のとおり。
○ 地方公務員法24条3項は、これまで均衡の原則、国公準拠と解釈してきたが、この解釈が唯一の読み方ではないという前提に立つ必要があるのではないか。また、地方公務員法24条3項は、給与決定における考慮事項を定めたものであり、その中で、民間給与との距離感についての議論を詰めていく必要があるのではないか。
○ 国は地域ブロック別に地域民間給与との均衡を図るという考え方に変わったが、地方公務員法24条3項に定める民間事業の従業者の概念が変わっている中で、地方公務員法24条3項の趣旨が国公準拠により達成されるか議論する必要があるのではないか。また、国家公務員に準ずる場合、例えば東北ブロックであれば東北各県がブロックの水準に合わせるのか、地元の民間企業の給与水準に合わせるのかを考える必要があるのではないか。
○ 公務の特質、性質を給与決定の考慮事項に入れていいのではないか。
○ 戦前は官の社会的地位が高く、給与水準は民間より高いものだと考えられていたが、官から民へ、国から地方へと言われている今の時代、官と民を比較する場合に、官と民の関係をどのように考えるのか。例えば、官が民より高い初任給を示して優秀な労働力を確保しようとすることは、官から民へと言われている時代にそぐわないのではないか。
○ 民間労働者と給与比較を行う場合、賞与を含む年間給与で考えるべきではないか。特に、地方の都市では、現在の期末・勤勉手当の水準(支給月数4.4月)は非常に高い水準となるのではないか。
○ 民間のボーナスは業績によって大きく変動することから、年収は参考指標と考え、月例給を中心に議論する必要があるのではないか。
○ 本来、給与制度と水準はそれぞれ自主的に考え直すべきだが、給与水準を厳密にすることばかりを重視すると、制度設計を自由に行うことができなくなるのではないか。
○ 公民比較を厳密化する場合、都道府県レベルでは有効であっても、市町村レベルでは対応できないのではないか。
○ 給与水準について厳格な民間準拠など制約が多いと、任用の多様化に即した柔軟な待遇決定が難しくなるのではないか。また、能力・実績主義的な任用・給与制度・運用になると、民間との比較が難しくなるのではないか。
○ 地域民間給与を反映するために公民比較を厳密にしたとしても、住民の理解が得られる訳ではないのではないか。
○ 地域民間給与の厳密な反映には人事委員会機能の強化が必要であるが、給与水準のためだけに人員を費やすことは費用と効果の点で課題があるのではないか。
○ 公務員は採用試験で一定の能力が実証されることから、現実に勤務する公務員の能力の市場価値を国民に理解してもらえるような指標を出すことができないか。
○ 給与決定のあり方を議論する場合、地方の公務公共サービスはどうあるべきか、また、そのサービスに見合った処遇はどうあるべきかについて、十分議論する必要があるのではないか。
○ 地域の実情に合った合理的な給与制度・運用が行われるような標準的な地方公務員の給与制度・運用の考え方を整理し、すぐに着手できるものや法令等の改正が必要なものを区分けしていく必要があるのではないか。
(4) 今後の進め方
事務局より次回の日程等について説明された。
[文責 研究会事務局 速報のため事後修正の可能性あり]
地方公務員の給与のあり方に関する研究会構成員名簿(平成17年10月現在)
(敬称略・50音順)
上村 武志 (読売新聞社論説委員会副委員長)
植本 眞砂子 (全日本自治団体労働組合副中央執行委員長)
内田 公三 (全国人事委員会連合会会長)
太田 聰一 (慶應義塾大学経済学部教授)
久保田 利昭 (静岡県人事委員会委員)
座長 塩野 宏 (東京大学名誉教授)
須賀 恭孝 (日本労働組合総連合会総合労働局長)
清家 篤 (慶應義塾大学商学部教授)
中川 浩明 (全国知事会事務総長)
西村 美香 (成蹊大学法学部教授)
丸山 誠 (日本電気株式会社顧問)
山野 岳義 (人事院給与局長)
芳山 達郎 (財団法人地方自治情報センター理事長)
渡辺 勉 (岩手県花巻市長)ほんと、ギリシャと同じ・・・ひどいもんだ・・
これに、官僚の天下りと、特別会計の特殊法人、独立法人、
巨額な退職金と年金がプラスされるなんて・・
国民を舐めてるね・・