休日に行きたくなる茶道具の美術館といえばココ~主要都市編 | WABI×SABI〜日本のレキシが選んだ美のカタチ〜

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現在に伝わる日本の歴史・美を伝えていきたいと考えています。

特に茶道を通じて、日本独自の精神や美について記事を書いています。




茶道具の美術館は日本全国のどこにあるのでしょうか?
茶道具の美術館を周りながら旅行なんて出来たら、最高ですよね。

また、せっかく旅行で行ったのだから茶道具も見て帰らないと、
と思っている方もいらっしゃるのではないかと思います。



茶道具の美術館は、東京、京都はもちろんのこと、
その他にも石川、長野、愛知、兵庫、大阪、奈良、滋賀、
和歌山、山口、島根、岡山、福岡にもあります。

私の知っている中でも東京は9つ、京都は8つ、大阪は4つ美術館があります。
京都より東京の方が多いのには少し驚きました。

ここでは、茶道具美術館巡りの旅で立ち寄った
、京都と大阪の美術館をご紹介したいと思います。

(京都)北村美術館
茶人が集めた茶道具に加え、茶苑も見学をしたい方にお勧めです。

(大阪)湯木美術館
日本料理に興味がある茶道通の方にお勧めです。




京都にあるのは、実業家で茶人であった北村謹次郎の集めた
茶道具美術品を展示している“北村美術館”です。
美術館は、京都きっての景勝地でもある鴨川の西岸に位置しています。
国の登録文化財である奇数屋建築の四君子苑(しくんしえん)という建物がありますので、
立地が良いとさらに雰囲気が盛り上がりました。


この美術館は、春と秋のみしか公開されていませんので、
行く前に休館日を必ず確認しておくとスムーズかと思います。

おおよその休館日情報は、
毎週月曜、祝翌日、但し、年2回
(春3月中旬~6月上旬、秋9月中旬~12月上旬の特別展時のみ開館)となっております。

そんな北村美術館で一番心を惹かれたのが、
「重要文化財 蕪村筆紙本墨画淡彩鳶鴉図双幅01、02」です。

与謝蕪村(よさ ぶそん)といえば、
江戸時代中期の日本の俳人、画家であります。
蕪村に影響された俳人は多く、特に正岡子規の俳句革新に
大きな影響を与えたことは良く知られているようです。

蕪村は、俳趣的志向を示す作品と漢画的志向を示す作品をつくり、
本図は後者の作品であり、
激しい自然に対する鳶鴉【とびからす】の姿を墨画の手法で描いたものだそうです。



この墨画を眺めながら、躍動感、光の当たり方や、
風の強さなどを視覚的に感じました。
白黒の濃淡で、ここまで表現できるところが素敵です。




さて、京都から大阪に移動して見に行った次の美術館は
外観が現代風でおしゃれな“湯木美術館”です。
この美術館は少し特殊な美術館で、日本料理店「吉兆」の創業者であり、
数寄者としても知られる湯木貞一(ゆきていいち)さんのコレクションを収蔵し、展示していました。

湯木さんは、料理と茶の湯を人生の両輪とし、
日本料理を総合芸術の域にまで高め、茶の湯道具の収集にも心を傾けていたようです。

ここで私が拝見したのは、「石山切(伊勢集)」であります。
石山切とは、“西本願寺本三十六人集中の「貫之集下」と「伊勢集」の両帖が分割され、
それらの断簡をいい、料紙が美しいことで有名である。”と書かれていました。



湯木美術館の作品は、「伊勢集」の分割されたものです。
石山切の説明にも書かれているように料紙がとても綺麗で、
そこに示されている言葉の意味などがわからなくても、料紙のデザインを見て楽しむこともできました。
この料紙は、一見一枚の紙のようにみえますが、
様々な紙をちぎり、そして合わせてデザインをし、1枚の料紙としています。

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今でも、こういった料紙を1枚1枚人手で創り上げている職人さんがいらっしゃいます。
全体として作品を楽しむという楽しみ方も良いですが、

その作品が仕上がるまでに、どんなお道具や材料、
そして人々が関わってきたのかなども考えながら眺めるだけで、
また違ったものが見え楽しむことができる。そんなことを感じさせてくれる作品でした。