変更というものは浸透することもあれば、漏れ出てしまうこともある。アメリカン・リーグが先ごろ採択したルール変更を、NHLの舵取りをしている人々がどう受け止めるのか興味深いところだ。
今週(7日~)開かれた理事会で、AHLはいくつかの革新的ルール変更を可決した。それはもしかしたら革新的と評されるだけで終わってしまうかもしれない。このスポーツにおける大きな変化が時として氷河のようにゆっくり進むことは知っているが、敢えて「革新的」という言葉を使った。先ずはAHLを褒めようではないか。今日、このゲームが直面していて、最も議論や論争を引き起こし、意見が正反対に分かれている二つの問題に対して積極的に動いたのだ。:その二つとは乱闘とシュートアウトである。
何と言っても新鮮なのは、NHLにいる同志と同じようにこのゲームに対して情熱を持っている「ホッケー人」たちがこのルール変更を起案し、承認したことだ。現にAHLの競技委員会と選手育成委員会はNHLの経営陣と繋がりのあるアシスタントGMで構成されているのだ。
先ず、乱闘について見てみよう。AHLの会長、デイブ・アンドリュース (Dave Andrews) は、1試合中に複数回の乱闘に関与した選手に対してゲーム・ミスコンダクトを科するという提案をした。そして、さらに重要なのは、そのミスコンダクトは出場停止処分の基となるその選手の累積回数に数えられるのだ。悪質な反則をした場合を除いて、AHLでは1シーズン中に累積3回のゲーム・ミスコンダクトを科せられた選手は1試合の出場停止となり、それ以降は1回のミスコンダクトごとに1試合の出場停止処分が科せられる。
このルールの意図するところははっきりしている。AHLは基本的にはわざとらしいばかばかしさをなくそうとしているのだ。周知の通り、AHLは遠征費用を節約するために二日連続の試合日程を多く組んでいる。そのため、このばかばかしいことが最初のゲームの終盤に起こることがある。もし、ある選手が既に1度乱闘に加わっていたとする。そして、その試合の白黒がはっきりしてしまっていたら、その選手がもう1度乱闘に入り込むことはまずないだろう。また、どうだろう。乱闘は後にとっておいた方が良いと、第1ピリオドには乱闘を思いとどまらせることになるかもしれない。
そしてAHLは、特定の選手を試合から追い出すために乱闘に引きずり込むことをさせない仕組みを設ける。もし、ある選手が乱闘に加わった時、それが相手の選手にけし掛けられたものとみなされた場合には、その選手の乱闘回数として数えられないことにする。勿論、それを認定し、そのペナルティを言い渡す責任はレフェリーが負うことになる。
「勿論」アンドリュースは言った。「私たちがやろうとしていることは、レフェリーと協力し合って、けし掛けたかどうかを正しく判断できるようにします。」
アンドリュースはこれでAHLが乱闘廃止に向けて前進するとは考えていないが、間違いなく、より意味のない乱闘を減らすことになるはずだ。(もっとも、乱闘は全て無意味だが、一部のものはそれ以外のものよりも更に意味がない。)「物事を正しい方向に進めることになると思います。」とアンドリュースは言う。「それはこのリーグにとってより健全な方向です。」
アンドリュースは、現役のホッケー界の人々からの反論が殆どないことに驚いていると言う。しかし、これがすぐにNHLで採用されるとは期待していない。それは、NHLはAHLのような乱闘問題を抱えていないからだ。それがここでのポイントだ。昨シーズンAHLでは1,140試合で合計1,959のファイティング・メジャーがあった。これは1試合あたり約0.86回の乱闘があった計算になる。また、一つの試合で同じ選手が複数の乱闘に関わった例が74あった。
一方、NHLでは1,230試合で933のファイティング・メジャーがあった。これはゲーム当たり約0.38回になる。
「乱闘に関するルールは重要です。」とAHLミーティングに出席していたNHL副会長のビル・ダリー (Bill Daly) が言った。「但し、AHLが潜在的に必要としているほどはNHLには関わりがないと思いますが。」
シュートアウトに関して、AHLは延長戦を増やし、シュートアウトを減らすことを決定した。来シーズンから、引き分けのゲームは一味ひねった7分間の延長戦で決着をつける。3分を越えた最初のホイッスルまでは4人対4人でプレーし、それ以降は3人対3人で戦う。また、延長戦の前に整氷作業とサイドチェンジを行い、「長い交代時間」をとる。これにより、AHLとしては得点が増えることを望んでいる。それでもまだ決着がつかない場合は、NHLのように5人ではなく、3人によるシュートアウトを行う。
アンドリュースは、AHLはシュートアウトの数を減らしたいと思っていると言う。これまでの25%の試合が延長戦になり、16%がシュートアウトになっている。NHLでは、ゲームの25%が延長戦となり、14.5%がシュートアウトになっている。
NHLは、恐らく乱闘に関してはAHLのやり方を採用しないとしても、新しい延長戦の方式が、下部リーグでどのように機能するかについては注目するだろう。延長戦を3人対3人にすべきだという意見は以前からあり、もし、この方式がシュートアウトの数を減らすことにつながれば、3人対3人を主張してテーブルを叩いていた人達はこの事例に勇気づけられることだろう。
AHLは、選手がヘルメットなしではプレーできないという規則についても可決した。もし選手がヘルメットを落とした場合、ベンチに戻るか、ヘルメットをかぶり直して顎紐をかけなくてはならない。そのどちらもしない場合にはマイナー・ペナルティが科せられる。
つまり、関係する人々にとってメリットのある動きがたくさんある。しかも、そのうちのいくつかは大胆な動きである。協議委員会にはプロ・ホッケー選手協会のエグゼクティブ・ディレクター、ラリー・ランドン (Larry Landon) がいるが、NHLとは異なり、AHLはルールを変更する前にその選手たちの承認を得る必要はないのだ。
「何かを変更するには時間がかかります。」アンドリュースは言った。「私たちがバイザーの着用を義務付ける規則を制定したときもそうでした。まるで天地を揺るがすことのように見られましたが、そのシーズンが始まって3週間でそれが標準的な慣行となり、誰からの反論もありませんでした。」
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