共感的理解の例文【解説】 | 傾聴・カウンセリングのレベルアップ「臨床カウンセラー養成塾」

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共感的理解を例文と共に解説

共感的理解を例文を元に解説します。

 

具体的な例を用いないと、

共感的理解についてちゃんと説明できないので、

わかりやすくするために簡単な例文にします。

 

 

共感的理解とは何か

私がカウンセラーとして駆け出しの頃。


共感できている状態がどんな状態なのか?


よくわかりませんでした。

 

 


ただ、一つだけわかっていたことがありました。

 

それは、共感的理解とは、「状態」であるということ。
共感できているという状態なんだということ。

 

そのことだけは、わかりました。

 

 


結局この「状態」を自分で体現できるまでには、

5~6年の年月を必要としました。


いえ、厳密にいうと、駆け出しの頃、既に体験はしていました。


体験はしていたのですが、それはほんの一瞬のこと。


再現性がなかったのです。

共感的理解とはどうすればできるのか

共感的理解というのは、一言でいうと「共有」されていることです。

 

クライエントの言いたいこと、経験の世界、感情や感覚などが

カウンセラーと出来る限り共有されていること。

 

私はこれを「分かち合い」とも呼んでいますが、

この共有が双方の間で実感できていることを指します。

 

 

 

お互いに同じことを同じように共有できている。

 

そうなると、それは互いにピンとくるものなんです。

 

「共有できているな」という実感を

お互いに持つことができるんですね。

 

 

 

そういう意味では「通じ合っている」ともいえます。

 

では、この共有、つまり共感的理解を成立させるために

何をどうすればいいのか?

 

 

 

カギを握るのはカウンセラーの「応答」なんです。

 

なぜならば、クライエントはこのカウンセラーの応答によって

自分が共有したかったことが共有されているかを確認できるからです。

 

 

 

ですからカウンセラーの応答の主目的は、

この共有がいかにできているかを示すもの。

 

また、クライエントに「自分が共有できているか」を

この応答によって確認してもらうことなんですね。

 

そういう視点で名だたる臨床家の逐語を読めば、

何かが見えてくるはずです。

 

共感的理解とは"あの感覚"のことだった

あなたも実は、既に体験しているのです。


共感的理解とは、人の話を聞いていて

「そうか!そういうことか!」と、膝を打つような感覚のことです。


そういう時は、いちいち頭で考えなくても、自然と言葉が出てきましたよね。

 

 


そういう風に出てきた言葉に、相手はこういう反応を起こすはずです。


ですから、一瞬であれば、誰もが体験しています。

 

 


カウンセリングでは、これを維持しすることが求められます。


そこに再現性が必要で、体現できることが必要なんですね。

 

 

共感できているから適切な応答ができるようになる

共感出来ているという状態。


私の場合、5~6年する頃から

自分なりに再現(体現)が出来るようになりました。

 

 


感覚的には、言葉が自然と浮かんでくるという感覚。


適切な応答が勝手に自分の中から浮かんできます。


この感覚で発した言葉は、クライエントにスンナリ受け容れられます。

 

 


なぜ、クライエントにスンナリ受け容れられるのか?


それは、その言葉(応答)がクライエントの感覚にピッタリくるからです。

 

 


クライエントが一番伝えたかったこと、わかってもらいたかったこと。


まさにそのものズバリが言葉になっていたからです。


では、どうすればこのような言葉が出せるのでしょうか?

 

 

応答と共感的理解つなぐもの

カギを握るのは「実感」です。


クライエントと同じ「実感」をわかち合うこと、わかち合えることです。


クライエントが伝えたい経験、感情、感覚、思い。

 

 


それらをカウンセラーが同じように、深くわかち合う。


すると、そこにはカウンセラーの実感も出てきます。


この実感が生まれれば、それを言葉にするのは難しくありません。

 

 


クライエントの悲しみ、怒り、虚しさ、不安、怖れ、絶望。


これらをリアルに、そして深くわかち合えるかがカギです。

 

 

こちらの記事も参考に。

 

 

 

 

共感的理解の成立は「わかちあい」

そして、こうした感覚を頭ではなく、心で感じる。


心の実感を伴い、わかち合えている。


この瞬間に「共感的理解」が成立するのです。

 

 


もちろん、これは否定的感情や感覚だけではありません。


クライエントの喜び、充実感、希望、感動、感謝。


こうした肯定的な感覚も同様にわかち合います。

 

 


つまり、クライエントの人間性、経験、感情、感覚。


クライエントが伝えようとしているもの。


それらをまるごとわかち合おうとするわけです。

 

 


本当にわかち合えていれば、そこには必ず「実感」が生まれます。


この実感がないままに共感できたことにしようとする。


だから「おうむ返し」のような言葉しか出せないのです。

 

 


そして、実は次のことも大事なんです。


本当に実感があるなら、「同じ言葉じゃなくてもいい」わけです。


例えば、悲しみの表現はいくつもあります。

 

 


寂しさを表す表現も、比喩的だったり、

擬人的だったり、ことわざだったり・・・・


それこそ、複数あるはずなんです。


実感があれば、これらを自分の言葉に変えることができます。

 

 

共感的理解の例文

「あの言葉に、自分はとても動かされました」

 

こうしたクライエントの表明があったとします。

 

 


それにカウンセラーがどう応答するか?

 

「(その言葉が)刺激になったわけですね」
「(その言葉に)奮い立たされたんですね」
「その言葉が、胸に響いたわけですね」

 

という具合に、いろいろ表現が可能なはずです。

 


話の流れ、一番伝えたい感覚などを踏まえて、

カウンセラーが言葉を選ぶわけです。


その「選ぶ」にしても、どれにしようかな・・ではないのです。


瞬間的に「これ」と浮かんでくるのです。

 

 


なぜなら、何度も言いますが、

そこには自分の「実感」があるからです。


カウンセラーの実感があるから、自然に言葉になるのです。

 

 


しかも、その実感はクライエントの実感と出来るだけ近いものです。


つまり、「互いにわかち合えている実感」ということです。

 

 

【参考動画】共感的理解の別の例文、動画で詳しく解説しています。

      ↓    ↓    ↓

 

 

 

 

共感的理解の効果

そして、大切なところは、カウンセラーの実感を通して、

クライエントが改めて自分の実感を味わい直すところにあります。


この「味わい直し」によって、クライエントは自分の感覚を、

よりリアルに、より鮮明に、そしてより正確に再認識します。


自分が無意識だったり、不明瞭だった経験、感情、感覚などを

改めてしっかりと意識化できる瞬間です。

 

 


カウンセリングによって、クライエントは自分の感覚を改めて、

あるいはより鮮明に「自覚」します。


その繰り返しの体験によって、自分の無意識を意識化し、

自分自身や問題の本質に気がついていきます。


これがカウンセリングの大事な本質の一つなのですね。

 

 


この実感の感覚がコンスタントに持てるようになると、

カウンセリングの進展は飛躍的に進み、

その面接はかつて経験のないほど深まります。

 

 


クライエントの自己洞察や問題への洞察も、

面白いように進み、深まっていくわけです。


共感とは、こうした感覚や実感をもつこと。


共感できるとは、そうした「状態」になることです。

 

 

 

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