こんばんは
りおです

今回の作品は、みゅうさんと、MMちゃん2人の合同作品です

あ、今回は、私は参加しておりません

岩盤浴に行って帰ってきたら完成してたのです

テーマは…続編で発表いたします…2話完結のお話です


本日のテーマ写真:



少し歩きませんか


秋も深くなり、そろそろ寒さが本格的になるだろうある日、

ウンスはヨンに頼んで、マンボ姐さんのクッパを食べに来ていた。

ヨンと2人並んで、熱々のクッパを食べて、大満足だった。

ヨンはふはふは言いながら、美味しそうに大きな匙を頬張る妻を、目を細めて眺めていた。

いつまでも、貴女の全ての喜びは
俺の手で与えてやりたい。

着たい服を着せてやり、食べたいものを食べさせてやり、大切にこの手のなかに…。

そして勿論、その服を脱がせるのも俺が…
チェヨンは心の中でふっと笑った。

「ふぅ~。食べたぁ。やっぱりマンボ姐さんのクッパは最高ね! お腹いっぱいで苦しいわ」

「では腹ごなしに、少し遠回りして帰りましょうか」

「いいわね! 今頃は裏山の紅葉も綺麗でしょうね」

皇宮の裏山の裾から少し登った所で、ヨンは手綱を引くと、チュホンの脚を止め、さっと下りた。

「少し歩きませんか」

と声を掛け、ウンスを下ろすために腕を伸ばす。

ウンスは黙ってヨンに向かって両手を伸ばし、ヨンの腕に身を任せた。

ふわり、と地上に下ろされる。

「ここから登った所に、周りが開けた場所があります。そこなら眺めも良いかと」

「本当? 敷物とお弁当持ってきたら、のんびりピクニックできたかしら。でも寒いか…」

「腹一杯なのでは?(笑) ぴくにっくとやらは、暖かくなったらまた来ましょう」

2人並んで歩きながら、他愛のない話をする

マンボ姐さんのクッパを食べて
ヨンと並んで歩いて、幸せだな…

隣を歩くヨンの腕に、そっと手を伸ばしてみた。

するとヨンの大きな手が、ウンスの手を包んだ。

見上げたヨンは真っ直ぐ前を向き、ただその手が、ぎゅうっとウンスの手を握っていた。


周りを背の高い、アカシアの木々に囲まれた小道

木漏れ日の中、サラサラと音を静かにたてながら、まるで雪の様に落ち葉がふたりの上に降り注ぐ。

暖かで力強いヨンの大きな手

口より心を雄弁に語るおしゃべりな手

悪戯する手。私を喜ばせてくれる手

ウンスの大好きなヨンの手。

繋がれたその手から、一杯の幸せが溢れてくるようだとウンスは思った。

ヨンに手を握られたまま、そんなことを考え、いつもより少しだけドキドキした気持ちで山道を歩いていた。

「ここです」

そう言われて思わず顔を上げると、赤と黄色の渦の中に放り込まれたような景色が広がっていた。

息をのんだウンスは、咄嗟に言葉が出なかった。

「…綺麗…ホントに綺麗…!」

「いつかイムジャに見せたいと」

「ヨン素敵! こんなに綺麗な紅葉初めて見たわ。写真撮りたいくらい…」

「イムジャに喜んでいただければ来た甲斐もあったというもの」

「……」

「イムジャ?」

「……」

ヨンがウンスの顔をちらと見ると、ウンスの頬にきらりと光る滴が見えた。

手を繋ぎ、腕をからめ、いつも以上に甘えるウンス

ヨンはついつい期待してしまう。

「これは、誘っておいでか?今夜はいけるかも」と…

しかし、世の中そう上手くいかない。

ウンスにとって、今日は月に数日のお楽しみデー、月のものがある日なのだ。

ウンスだってヨンに甘えたい。

ゆっくり触れてみたい。

なのに、そんなこと少しでもそぶりを見せると

「煽りましたね」とか、「誘っておるのか」とか言って

なし崩し…。

それも、もちろん嫌いじゃないけど、ゆっくりと満喫したい時もあるのだ。

そして、それを実行できる日がまさに今日

さすがのヨンも、この日ばかりは無体を働けない。

今日のヨンは、一言それを言えば

シュンっと耳を垂らした子犬の様な顔になるのだった



ラブラブムードをお楽しみください♪ポチッとクリックの協力宜しくお願いいたします。




にほんブログ村

こんばんは
りおです

今日は、完全なるパロディです
パロディ嫌いな方は、また次回の更新をお待ちくださいませ


本日のテーマ写真:



チェさんどうぞお入りください


はぁ、やっと、あと1人になった

明日は非番だし、早く帰って、たまったドラマの続きを見ないとね

疲れた首を伸ばすように、首を左右に振り凝りをやり過ごす

今日は本当に、忙しい日だったわと、ウンスはうーんと一度大きく伸びをし、よし、あと一息!と気合を入れた

ウンスは残り1人となった、カルテ1冊を手に取り、ぺらぺらとめくり始める。そして、その患者のカルテを、これで最後ねと思いながら、いつものように目を通していった

チェさん29歳
初診の患者か

ウンスは、カルテと一緒に、いつもはさまっているはずの問診票を取り出し、同じように目を通していった。しかし、その患者の問診票は、白紙のまま、何も書かれていなかったのだ

あれ、問診票ちゃんと書いてないじゃない

ウンスは少し苛立ちを覚える

あの受け付けに入った新人、駄目じゃない。きちんと書くように言ってくれなきゃ。後で注意しないと…ほんと困るわ

ブツブツと文句を言いながら、眉間にしわを寄せ目を細めた

「はい、次の方、チェさんどうぞ」

とにかく、最後の患者を、手っ取り早く終わらせてしまおうと、待合室で待つ、最後の患者に呼びかけた

ウンスは、廊下に声が伝わるように、大きめの声で名前を呼び上げ、部屋の入口に意識をやる。すると、重々しい静かな気配で、一人の患者がすっと姿を見せたのだった




長身で、なかなかお目にかかれないような、モデルのような顔立ちの若い男。無表情で真っ直ぐ目を向けて、つかつかと大股で診察室に入ってきた

ウンスはその男の風貌に、少し驚く

あら、イケメンじゃない、なんでこんなイケメンが美容整形なんて

ウンスは、心の中で呟いた

しかし、すぐに異変に気付いた。その男は、普通の服装ではなく、時代劇の鎧と思われるものを、その身にまとっていたのだった

あら、何か変な恰好してる。まるで、時代劇の衣装みたいね…仕事帰りの、役者さんかしら??

何かしらと、違和感を感じながらも、ウンスは診察を続けたのだ

「どうぞお座り下さい」

ウンスが患者を促すと、真っ直ぐに強い視線を放って、その患者は椅子にどさりと座った

強すぎる存在感にウンスはびくっとする

なっ、何かこの人迫力あるわね…主役級の方かしら?

でも、こんな人、見たことないわよね?

「チェさん、こんにちは。私は医師のユです。今日はどうされました?」

いつもの調子で名前を告げ、ウンスは患者に挨拶をする

患者が話しやすいように、にこりと柔らかな笑顔を作り上げ、お得意のビジネススマイルをした

しかし患者は言葉を発さず、ただ、食入るようにウンスを見つめていた




あまりに強い視線に、たじろぐが、負けじと虚勢をはる

「チェさん、どうしたのかしら?えっと、どこが気になるの?目も鼻も悪くないわよ、頬を少し削って、唇を少し薄くしてみる?」

どこか違和感を感じつつも、伺うように問いかけるウンス

患者チェは、気になるところ?あぁ、そういう事かという顔をして、片手の手のひらで、胸元をポンポンと2回叩く

えっ?
胸が悪いの?

やだ、科を間違えているじゃないの

「チェさんごめんなさい、ここはね、美容整形外科なの。御希望は胸部外科?それとも循環器かしら?」

「”びよおせいけいげか?”」

片言に言葉を発する、その男性患者チェ

あら、この人、韓国語分からないのね

「Can you speak english?(キャンユースピークイングリッシュ)」

ウンスは、言葉の通じない外人と思われるチェに、それではと、試しに英語で声をかけてみた

眉間にしわを寄せたチェ、英語が分からないようだ

そう思っていたところ、突然チェが言葉を発したのだった

「何を言っておるのです?」

うそ、韓国語じゃない…

「やだ、チェさん、あなた韓国語分かるんじゃない」

何か気味悪い
変な人だわ…

まぁ、いいか、胸部だったら私なら、昔取った杵柄(きねづか)

何かおかしな人だし、他に科に回してトラブルになっても、あとあと面倒ね。ちゃっちゃと、手早く終わらせてしまおう

「で、チェさん、今日はどうしたの?」

「胸が…痛むのです」

「そう、胸が、痛いのね。それは、どんな時に痛みますか?」

チェは、ウンスの言葉に、ぎゅっと唇を小さく噛みしめた

そして、言いづらそうに、小さな声でぼそりと呟いたのだ

「ある女人を見ると、胸がドクンと鼓動し、息が苦しくなって…」

えっ?
やだ、何それ、新手ナンパ?

いるのよね、そういう患者。患者として近づいておいて、口説いてくる男

私が3か月付き合った二人目のあいつ

あいつも、患者だった。つい、金目のものに吊られちゃって私ってば…

長くは続かなかった
だって美的にあまりに…





チェのその言葉に驚き、ウンスは目を大きく見開いた

「えっ、チェさん…えっと、どういう事かしら?恋煩いってこと?」

「恋煩いとは、恋慕(よんも)の事か?」

「”よんも”?よんも?あ~、よく時代劇で出てくるあれね。そうそう、”よんも”よ、よんも!」

やだ、この人って完全に、役者に成りきっちゃってるのね

職業病みたいなものかしら

最後に何だか、めんどくさい患者にあたったもんだわ

まぁ、適当に話流して合わせた振りして、さっさと帰ってもらおう

「えっと、じゃぁ、チェさん。あなたは、恋慕(よんも)している方がいて、胸が痛いという事かしら?」

「それが、分からぬのだ」

「くすっ、チェさん、分からぬって、でも、あなた気になる人が居るわけでしょ?その人と、あなたの関係はどんな関係かしら?」

ウンスは、時代劇かぶれのその男と、”ごっこ遊び”のように、やり取りする事が楽しくなってくる

「関係ですか?」

「そうよ、その女性との関係は?」

患者チェは、思いつめた様に何かを考えた後…あぁ、そうだと、思いついたように、何度か頷く

そして、たいそう恐ろしい…

ウンスをガタガタと震えさせるような、恐ろしい発言をしたのだった


「関係は…攫った者と、攫われた者です」




ウンスは、チェの言葉にその耳を疑った

嘘…
やだ、嘘でしょ

攫った(さらった)者と、攫われた(さらわれた)者って…

やだ、信じられない、もしかして、この人って、誘拐犯なの?

拉致したってこと?

ど、どうしよう…

誘拐犯と密室に二人、このまま人質にされても困る…

ウンスは自分の全身が、ざわざわと鳥肌で覆われるのを感じていく

ふと目をやると、チェの手元に、黒く長い1本の棒が目につく…

えっ…

あっ、あれって、刀じゃないの?

ウンスの目についたその黒く長い棒。持ち手があり、剣の鞘のようになっているのだ

やだ、あれ、どう見ても刀よね…凶器まで持っているじゃない…

机に置いた手元が、かすかにガタガタと震えだした

ど、どうしたらいいの…

犯罪心理学は選択科目であった。だけど人と向き合うのが、そんなに好きではなかった私。もちろん専攻していなかった

プロファイリング何て論外。多少興味はあったけど、やり方なんて、全く覚えていない。あぁ、もっと、刑事モノとか見ておくんだった

ウンスの目に、涙がじわりと浮かぶ

そうよ、こういう時は動揺を見せたら駄目。とにかく自然に、自然に何でもないように、ふるまうのよ

「チェさんえっと、その人は、その…今、監禁とかしちゃったり…しているかしら?」

イムジャを監禁?

それが俺のこの胸の痛みと、何の関係あるというのだ

キチョルの事もあるので、住まいや行動は、典医寺(チョニシ)にほぼ限られる。しかし、特に監禁などはしておらぬが?

「ある程度は、自由にさせております」

うそ、軟禁だわ…

軟禁をしているのよ

冷や汗がタラリとたれる

「え、そうなのね。自由にね…いいことだわ。できれば、完全に自由にしてあげたほうが…アハハ、いえ、何でもないわ」

危うく犯人に説教をしそうになり、ハッと我にかえるウンス

下手に犯人を刺激をしたら、あの凶器の刀で刺されかねない

ウンスはしまった事を口走ったと、チェの様子をうかがった

良かった、怒ってないようね…

とにかく話を変えないと

「で、チェさん、その…その女性は、あなたの事を何て?」

その女の人、大丈夫かしら、いきなりきっと攫われて、さぞかし怖い思いをしているに違いない

「俺の事ですか?」

本当に何故そのような事を聞くのだ

チェは、そのような事が関係あるのかと、少し苛立ちながら、しかしこれも診察だろうと、しぶしぶ考えた

俺の事をイムジャが?

何といっておるかと?

あっ、そうだ

「そのお方は、俺を、”さいこ”だと。”さいこぱす”だと言っております」

ウンスはその言葉を聞いた瞬間、全身の血の気がさっと引いたのだった

挙動不審な男、謎の衣装、刀、拉致、軟禁、そして、サイコパス…

もう駄目だ…
私はこの男に殺されるかもしれない

でも、どうせ殺されるなら、その女の人だけでも助けてあげたい

「チェさん、その…その女の人を、あなたは、元いた場所に、帰してあげるつもりはないの?」

元いた場所に帰す。その、医者の言葉にチェは、胸がどきんと痛くなる




まただ、胸が痛む

そうなのだ、その事を考えると俺は…

俺の胸がぎゅっと苦しくなって、ズキズキと痛みだすのだ

さすが、天界の医者だ、俺の痛みを上手く誘発するとは…

「元の場所に…帰して差し上げねばとは、思うております。しかし、俺は…」

チェは胸がもっと苦しくなって、言葉に詰まるのだった

はぁ…とチェが大きくため息をついた

その苦悩に満ち溢れたような、チェの姿にウンスは、どこかほっとする

あぁ、この男も、罪の意識で、きっと葛藤をしているのだ…

「その…その彼女はどうなの?帰りたがっているの?」

「それが、分からぬのです。前は帰りたいと、見る光景に怯えておりました。しかし今は、俺にも時々、笑顔を差し向けて下さるのだ…」

あぁ、あれだわ

誘拐犯と、人質との間に、生まれるという親近感。そう、確か…

ストックホルム症候群(ストックホルムしょうこうぐん、Stockholm syndrome)は、精神医学用語の一つで、犯罪被害者が、犯人と一時的に時間や場所を共有することによって、過度の同情さらには好意等の特別な依存感情を抱くことをいう。(wikipediaより引用)

緊迫した密室で、誘拐犯と二人きりで過ごす事で、何故か不思議な感覚がうまれだすという

過去に、そのまま結婚した事例もあるくらい

信頼や愛情を感じるようになる

あら、私もある意味、今その状況じゃない

この人がどこか気の毒になってくる

その女の人の笑顔を見て、この人は拉致した罪の意識を感じている…

犯人の罪の意識を上手にくすぐる。いいじゃないこの展開

「チェさん、ほら、もしその女の人の笑顔を見て、胸が苦しくなるのなら…その思いをちゃんと伝えればいいのよ。きっと分かってくれるわよ」

「そうですか?俺に、その想いをイムジャに伝えよと?」

イムジャ?
なにそれ

「そうよ、きっとちゃんと伝えれば大丈夫よ、彼女も分かってくれるはず」

自首して解放すれば、訴えたりしないで、きっと罪も減刑されるはず

「笑顔を見て苦しくなるって事は、それが”あなたの思い”なのよ。ねぇ、チェさん、思い立ったら今がチャンスよ?

もう取り返しがつかない事になる。ね、さぁ、早くその人の所にいって、ちゃんと思いを伝えてあげて」

ちゃんと罪の意識を伝えて、
せめて、情状酌量になればいいわね

「かたじけない。俺は、この胸の痛みが、何かよう分かりました。イムジャに”俺の想い”をしかと伝えます」

あぁ、よかった
分かってくれたわ

あとはその女の人が、元いた場所に、無事解放されればいいけど…

でも、どうなのかしら

誘拐犯と、人質の間に生まれた、只ならぬ親近感って、解放されれば自然と消えてしまうものなのかな?

こんな誰もが放っておかないようなイケメン。彼女は笑顔も見せてると言うし

案外、本当の恋が生まれて、そのまま住み着いちゃったりして…うふふ

拉致するような悪い男だけど、罪の意識を感じ憂いに満ちた、この表情。他人の私でも、ゾクっとする。イケメンって本当に得だわ

「チェさん、良かったわ、分かってくれて。あなたの胸の痛みを信じてね、それがあなたの本当の心よ」

「医員殿、あなたのおかげで、胸のつかえがすっと取れました…」

ウンスはクスリと笑って、チェをさぁ、行ってと背を押した

武士風の男チェは、ふかぶかと礼をして、剣を片手に去っていった

チェが完全に見えなくなったのを確認すると…ウンスはガタンと崩れおちた

はぁ…

怖かった…
殺されるかと思った

どうしよう。通報すべき?

でも、あの人、これから、ちゃんと、拉致した女の人に、思いを伝えるって言ってたわね

そうきっとあの人なら…
どこか、透きとおるような目をしていた

きっと、犯したくて犯した罪じゃないはず
つい、出来心で軟禁してしまったのよ

あの人は心底悪いひとではないと、何故かその時私は思ったのだ

今日の事は、私だけの心の中に、そっとしまっておこう…

ウンスは、小さくため息をつくと…
チェが思いを伝え、その人に許しを乞う事ができるよう…

心の底でそっと手を合わせ、願うのだった


30分後の事

「ナナさん、何言っているのよ。時代劇風の男よ?」

「ユ先生なにを言っているんですか?最後の患者さんは女性の方で終わりですよ」

「嘘、ちょっと、いたじゃない。鎧を身にまとって、ほら、ちょっとイケメンの、黒髪の男」

「先生、疲れすぎて夢でも見たんでは?」

「絶対いたのに…じゃぁ、あの人は誰だったの…?」


ウダルチ兵舎でのこと

「はっ、夢か…なんとリアルな夢だったのだ。この胸の苦しい痛みが、イムジャあの方への想いだと…?

夢の中の医者は、あの方に瓜二つの医員であった。その方が言うておった事、あながち間違いではないのだろうか…

どうやら、俺は…あの方をお帰しする事を思うと胸が痛むようだ。夢にそれを気づかされるとは…

あのような問診のみで、胸の痛みの原因を言い当てるとは…

あの騒がしいイムジャを、知的にしたような天界の医員。あの方はきっと天界の医仙だろう」




チェ氏がちゃんと思いを伝えられますように♪ポチッとクリックの協力宜しくお願いいたします。




にほんブログ村

こんばんは、
りおです

氷攻に倒れたチェヨンが、助かるシーン

脚本家さんの頭の中ではイメージがちゃんとあって、1251年に行ったウンスが、アスピリンの瓶を埋めて、そして小菊をたくさん植えて

それを死にかけているチェヨンが見つけて、ウンスがここに帰ってくるってメッセージを送っていると気づく

そして、雨がぽつりと降ってきて、凍りついたチェヨンを溶かす

確かこんな感じのシーンが本当はあったかもしれないそうです。

見たかったです残念むっ


天門ネタの余談

某所で、また天門について熱く語り合っていて、Cさんが一言、"ヨンは行きたい時代に行けた"のにと…

私、それをすっかり見落としておりました、しまったぁと、凹み…

で、また会議…

MMちゃんと、Cさんと、私で話し合った所、落ち込む私に2人が、

求めあう魂の縁

ということでよいのでは?と

ウンスは覚醒している意識の中ではチェヨンを求めてなかったけど、潜在意識の中では、本当はチェヨンを強く求めていたはず

出逢いめぐり合うのは、人智を越えた縁という事で、チェヨンが2012年に行けた理由は、縁(えにし)ってことで…

許して

MMちゃん、Cさんお付き合い頂き、ありがとうございました!!



本日のテーマ写真:


何です?


ある日の朝の事

ウダルチ兵舎へと足を運ぶチェヨン

通りすがる人々が振り返り見ては、何故かその目を、ふいっと逸らしていた

??
すぐ様、何かおかしい事に気づく

いつもと違う光景に疑問を感じて、訝しげな視線で、チェヨンはあたりを見回した

何だ先ほどから…
どうしたと言うのだ

また、状況を確認すべく、視線を動かす。しかし、目があうとやはり皆が、揃いも揃って目を逸らす

男達は、まかり間違えても、笑いが漏れ出れば只じゃすまぬと…

女達は、鬼と噂されるその男の愛らしい姿に、思わず漏れでる笑みを隠す

先ほどからそのような事を、幾度も繰り返す。チェヨンは目を細くしかめて、唇をぎゅっと噛みしめた

何なんだと苛立ちつつ、遠く目をやると、よく知った女人が目についた

トクマンが愛らしいとほざいていた、整った顔の武女子(ムガクシ)

人懐っこく、ウダルチの若い男どもがよく噂しておる女人ユニだ

ユニは俺と目が合うと、皆と同じく小さく目を見張り、そそくさと近づいてきた

「大護軍、御髪に…」

何だ?

ユニは俺を見上げて、クスリと笑った。そして、自分の耳元に、その手をあてがい、何かを指し示す

両の唇をきゅっと噛みしめて、笑いを堪えているかのように見えた

「おい、何だ?」

しかし、チェヨンの問いには答えず、ユニはくすくすと笑う

「何がそんなにおかしいのだ」

少し苛立った表情で、問い詰めるチェヨン。観念したのかユニは、少し言いづらそうに答えたのだ

「あの…素敵なお花ですね。医仙様がおつけになったので?」

花?
何の事だ…?

「その…黄色い可愛らしいお花が、大護軍のお耳元に…」

何だと…?

慌ててチェヨンはユニが指示した耳元をまさぐると、黄色い小さな小菊が、1輪ぽろりと零れ落ちた

自分の耳元から落ちた、その小菊の花を見て驚く

何故、小菊が俺の髪に?

チェヨンは、ハッと目を大きく開いた

その瞬間、チェヨンの脳裏に、朝のウンスとの光景が浮かんできた


朝の出来事

「あら、ヨンァちょっと待って、何か変なものがついているわよ…」
「ん?」
「ちょっと、動かないでってば、取ってあげるから」



イムジャめ…
よくもやりおったな

ふつふつと、悔しさが湧き上がってくる

男の面目、丸つぶれではないか
覚えておれ!!

チェヨンは、花を付け歩きまわった恥ずかしさで、顔を赤らめたのだった


夜、屋敷にて

「ただ今戻りました」
「あら、おかえりなさい」

屋敷に戻ったチェヨンを、ウンスが悪戯な表情を浮かべ、窺うように見上げてきた

やっぱり、もうないわね、気づいたのね
くすっ

「イムジャ」
「あら、何?」

「イムジャ、今日は不思議な事がありました。女達がやけに俺を見つめてくるのだ。どこに行っても、女の視線が…」

えっ、何それ…
ウンスの胸が少しチクンと痛む

チェヨンはウンスの表情に、想定通りだと、気を良くしニヤける

「そうしておったら、あのユニ殿が俺の傍に来て、花が髪についていると取ってくれたのだ」

ヤダ、うそ。ユニさんって、あのとっても可愛い子じゃない

もやもやと、心が燻る

「ちょっと、その花はどうしたのよ?」

心の中でふて腐れ、思ってもない、どこか的を得ない言葉が、つい口に出てしまう

チェヨンは心の中で、けたけたと笑う

「ユニ殿が、愛らしい花だというので、そのまま差し上げました」

チェヨンはウンスの反応が楽しくてニヤつく。そして、悦びにひたるように、頬に笑みを浮かべて言ったのだ




何それ…
ひどい

ウンスの隠しきれない曖昧な表情に、チェヨンは心の中でくくくと笑いを漏らした

「イムジャ、妬いておるのか?」
「何よ、そんなじゃないわよ」

顔に妬いておると、書いてあるではないか。いつも、俺ばかり業を煮やさせられているのだ

「イムジャ」
嬉しそうにチェヨンが、ウンスを煽る

「何よ!」
反射的に強く言い返す

「何ですその顔は?」
さらにチェヨンがけしかける

「もう、知らない!」

微妙な気持ちを、からかわれた事に悔しくなり、ウンスはぷいとそっぽを向いた

くすっ…
イムジャ、俺を辱しめたお返しだ

たまには焼きもちの1つのくらい、返してもらわねば

しかし…イムジャに、そのような顔をして貰えるのは何だか悪い気がせぬ

悪い気どころか
むしろ…

まずいこれは
癖になってしまいそうだ…

俺を想うて、そのような顔を
そう思うと胸がぽかぽかと温まる

チェヨンの胸に
愛らしい鈴の音が響くのだ

チェヨンは、そんな自分が可笑しくて、くすくすと笑う

イムジャはまた、手が掛かると、あやすように膨れるウンスの手を引いて行く

肩を抑え込むように、無理やり椅子に座らせると、目をじっと合わせこう言った

「イムジャ、目を瞑ってくれぬか?」

チェヨンの言葉に、ふて腐れ顔で、しぶしぶと目を瞑るウンス

「三つ数えたら、目を開けて下さい」

ウンスは、何よと思いながらも、仕方なく、小さく、ブツブツと呟いた

「ハナッ、トゥッ、セッ」

パチッと目を開けるウンス




その瞬間、ウンスの目の前には…

小菊の花で作られた花束が、まるで花畑のように広がっていた

ヤダ、何よこれ

ウンスは喜びのあまり、込み上げる嬉しさから両手で口許を覆い隠した

「イムジャ、今日はあの日ですね?」 チェヨンはウンスに問いかける

「うん」
ウンスはそうよと、こくこくと頷いた

イムジャは何と愛らしい事をされるのだ

生死を彷徨っていた俺が、イムジャの植えたこの小さな菊の花を見て、生きようと強く決意したあの日

その日をイムジャは覚えていたのか

ヨンァが生きてくれたあの日
絶対忘れる事が出来ない日




たった一輪の小菊が俺を揺さぶり、それが無数となり、俺に生きたいと強く願わす

俺とて、あの日を忘れる事が出来ぬ

「私にとって、今日は小菊記念日なの」

ウンスは満面の笑みで、チェヨンに笑いかけたのだった

チェヨンも幸せそうに笑い、ウンスをギュッと抱き寄せた



最後の小菊がヨンを助けるシーン見たかったですね、ポチッとクリックの協力宜しくお願いいたします。




にほんブログ村


焼きもちを焼かれる喜びを、覚えてしまったチェヨン君でしたべーっだ!


本日のテーマ写真:

あの人が待つその場所へ…



こんばんは
りおです

昨日お話を書いていて、自分の中で天門の謎が勝手にまとまっちゃいましたあくまで私の考察ですけど、結構つじつまあいませんか

これも、コメントをくださったヨンで下さっている皆様のおかげです、本当にありがとうございました。


◆ドラマ中での定義

・1000年前に華佗と呼ばれた名医が存在していた

・300年毎に、その弟子が天門を通じて地上に降りてくる

・どうやら天門は、入った場所に、往復で戻れるっぽい

◆1351年の1000年前は?
*ウンスとヨンが出会った年

351年

華佗の弟子、300年毎の謎

351年
651年
951年
1251年

*1251年がドラマの最後で、ウンスが飛ばされてしまった100年前の、古い過去です

◆天門の役割

1つ目は
本来あるべき場所に戻す役割
(ウンスを現代に、ヨンを高麗に戻す)

2つ目は
強く求めあう者達を結びつける役割
(ドラマの最後にウンスが戻れた理由)

3つ目は
魂が別ちあった時より、300年毎に再び一つになる”強い機会”を与える役割 (華佗の弟子が下りてくるとされる周期)

◆未来のウンスの時空旅行

ドラマウンスより、先に時空旅行をした”未来ウンス”が存在する。ドラマウンスにその確かな記憶はない。その時は、ワンビは死に、チョナは我を忘れ、チェヨンは荒れすさんだ

◆小屋でチェヨンの死

未来のウンスの時空旅行では、チェヨンは荒れすさんだけど、死んではいない。しかし、ウンスにそういう潜在的な記憶が残っている

◆りおの天門考察

300年毎に、天門から降りてくるとされている、”華佗の弟子”

”華佗の弟子”は、高度な医術を持っているという事から考えると…それも、歴史に残るくらいの、高レベルの医療技術

もしや、ウンス自身が、過去にも1251年、951年、651年を、タイムトラベルしたんじゃないですか??

下手したら、1000年前の、華佗もウンス自身だったりして…

私がフィクションで書いたお話みたいに、生まれ変わりが居たのか、ウンス自身がタイムトラベルをしたかは分かりませんが

類まれな医療技術があると仮定すると、生まれ変わりがその技術があるとするより、現代医術に精通したウンスが過去に何度も行ったと思った方がすっきり

ロマン的には、1000年前に一緒になれなかった、チェ将軍とユシュウ姫が存在する(*)っていうのも素敵ですけどね

たとえば、千年も昔なので人を癒す神秘的能力がユシュウ姫にはあり、キチョルみたいなやつが、手に入れんとし、我が物にならないなら殺してしまえってのもありかも

二次動画にもキチョさん登場します

どちらかと言うと、千年前もドラマウンスさんと言うより、二人の愛のはじまりであり、終わり

終わりかと思ったら、それが時間旅行をするきっかけとなり、実は真の愛のはじまり

チェ将軍とユシュウ姫の悲恋があったほうが、神秘的で私は好みです

みなさんはどうですか?

死が二人を別ちあうたび、終わり、そしてまた始まる

ままちゃんが、書いていた、永遠に続く愛の形なのかもしれない

チェヨンも、ここからが始まりといっていましたよね。違う意味でいってたかも知れませんがあせる

(*素敵な2次動画が見られます)

ウンスは、”未来の私”の時空旅行の記憶がまったくない

過去の時空旅行の、記憶が消えている理由は、Pさんが私のコメ欄で語ってくれていたように

記憶があったら、”今を生きること”が出来ないから…

つまりは、過去に何回タイムトラベルしていようと、その記憶はない(潜在意識には残っていても)

もしかして、あの小屋で、チェヨンが死んでいたのも、過去のタイムトラベルの時の記憶かもしれないと思うのです

未来のウンスの時は、荒れすさんだけど、死んでいないですよね

天門が開くタイミングは、なんちゃらかんちゃらの公式で開閉自体は、太陽の黒点に関係する

しかし、門をくぐり、行き着く先は、限られている(いきなりどこかの空間に行くわけではない。)

行きつく先は、自分を強く求めてくれている場所か、300年単位のその場所だけ

最後に、古い過去に飛ばされてしまった理由も、天門の役割1~3を当てはめれば、納得だし、そんなに不自然じゃない気がします

そして、天門はそもそも
別つためにあるんじゃなくて、結びつけるために存在する

とすると、1251年に行ってしまったのは、天門が二人を試したとか、想う気持ちが足りなかったのではなくて、むしろ、想う気持ちを叶えるために、飛ばしてくれた(やり直す事を助けてくれた)んだと思うんです

もしかしたら、ドラマ最終回であのままウンスが、現代から1351年に戻っても、チェヨンは既に死んでいたかもしれません

それを、1251年に時間を巻き戻して戻る事で、小菊を植えたり、アスピリンの瓶で頑張ってって、メッセージを送った事(*)で、チェヨンを助ける事が出来たと思ったらどうでしょうか

(*このシーンは、ドラマでは描かれてなかったですが、脚本家の方はそうしたかったらしい)

ウンスが自分を想って時空旅行を続けているんだと、絶対ここに戻ってくるから諦めないでと、伝える事ができたのは、1251年の昔にさかのぼったからです

あとは、形見や危険を知らせる手紙を残す役割上も、1251年に戻る必要がありましたよね

そのまま、1351年に戻ってきたらそれは出来なかった

天門(てんもん)とは、
真に愛する者同士を、人間の自然の摂理を越えて、結びつけるための道に導いてくれる門

と思ったら、二人を翻弄した、憎き天門が、素敵な門に思えてきました

すっと謎でモヤモヤとしていた事が、何か自分なりに全てすっきり

なんか、つじつま合わないんじゃない?って点があったら、ぜひ教えて下さい。考えてみたいと思います


天門の謎おお!って納得して頂けた方、ポチッとクリックの協力宜しくお願いいたします。




にほんブログ村

こんばんは、りおです

今日のお話に出てくる、チェ将軍と、ユシュウ姫ですが、キムヒソンさんの「神話」に出てきた実際の登場人物です。二人はそのお話の中でも、結婚を言い交した仲でした

時空を越えた愛の考察 で今日のお話で登場する「神話」部分の二次動画が見れます。まだ見てない方は、一度みてみてくださいね

今日のお話は、先日の2次動画と、ままちゃんの考察をもとにした、完全なフィクションです。でも私なりの、天門考察が含まれています

あと、このお話を描くにあたり、読者のままちゃんから頂いた、「時空を越えた愛」の素敵な考察の一文もいくつか使わせて頂いております

ままちゃんありがとうございましたラブラブ!

全文を、掲載させて頂きたいと思います。よかったらご覧ください

「時空を超える愛」 
(ライターままちゃん)

ヨンとウンス。元は一つの魂だったんじゃないかな。それが男と女という二つの片らに別れてしまった。離れた片らはお互いを探して、時を旅する。輪廻転生を繰り返し、時間がふたりを割いても、その姿、形がが変わっても、また一つになるべく求め、触れ合い愛を確かめ合う。

それは運命なのか、宿命なのか、いや、ただ元のかたちになる為の必然なのではないでしょうか。どんなにふたりの間に他人が入り込んでも、時がふたりを隔てても、一度目が合えば、心の深いところで共鳴する。現実の世界のしがらみやそれぞれの抱える思いが高い壁となってふたりを邪魔しても、求めずにはいられなくなる。

そうして、出逢い、愛を確かめ合えた時、ふたりはもうどんな事が待ち受けていようとも、離れる事はない強い絆で結ばれるのでしょう。生きとし生けるこの世に生を受けたふたりに訪れる死がふたりを離しても、また輪廻を繰り返し、再びめぐり合うそんな永遠に続いて行く愛。ヨンとウンスを見ていると、そんな世界があってもいいんじゃないかなと思えてきます。



本日のテーマ写真:

未来永劫あなたを愛し続けます


「あ…あなたお帰りなさい」

「イムジャ、どうしたのです!こんな暗闇の中、明かりもつけずに」

チェヨンが屋敷に帰ると、ウンスが暗い部屋の中、椅子にぐったりと、もたれ掛っていた

その光景に驚いたチェヨンは、鬼剣を投げ捨て駆け寄ると、ウンスの肩を掴みあげた

「あ、ごめんなさい。私は大丈夫よ…ちょっと考えすぎちゃって」

チェヨンの気迫に少し驚く。チェヨンの顔をじっと見上げて、ウンス薄らと微笑みかけた

「本当に大丈夫なのですか?イムジャ、何かあったのですね?」

迂闊だったわ、もう少し遅く帰ってくると思ったのに。見つかってしまったわね…

ウンスは、はぁ~とため息を大きくつくと、何かを思いつめたような表情で、チェヨンにこう言ったのだ

「ねぇ、ヨンァ、隣に座ってくれる?あなたに、もたれ掛りたくて」

力なくそう言ったウンスを心配そうに見下げると、その横に座り、チェヨンは肩をやさしく抱きしめた

そうしてしばらく二人で過ごしていた

その間、チェヨンはウンスの肩を落ち着かせるように、ポン、ポンと優しく叩く

チェヨンの体温で、寒く震えた体が温まる。ウンスの心は徐々に、落ち着きを取り戻していった

話さないわけにはいかないか。覚悟を決めたウンスは、言葉を小さく落とし始めた

「ヨンァ、変だって思わないでね。私たちって、もっとずっと前に会ったことはない?」

こんな事いったら変に思われるよね
そんな馬鹿な話…

突然のウンスの言葉に、チェヨンは目を大きくして驚いた

「そうよね、びっくりするわよね。そんなわけないって…」

「イムジャ、今何と?いや…まさか、イムジャも同じように思っておったとは」

「えっ」

「俺も実は…そのように思った事が、幾度もありました」

そのチェヨンの言葉に、今度はウンスが驚き、ハッと口に手をあてる

「やだ…嘘でしょ」

「俺は、天界でイムジャを攫った時、どこか懐かしい、華のような香りがしたのだ

何故か、イムジャを見た途端、心がざわざわと騒ぎ出して、俺はイムジャしか目に入らなかった

あの時、あの建物の中には、たくさんの医員が、あの場所におったのだろう?

だが、俺は、その道を知っておるかのように、何の迷いもなく、あの部屋に入っていたんだ」

二人は顔を見合わせて、何度もパチパチと瞬きをする。互いに驚き顔で、見つめあった

「あなた覚えている?私が、嫌な夢を見たって話?」

「あの手帳が関係してるのではと、気にかけておった夢ですね?」

「うん、そう。私、何て言えばいいのかしら、過去の記憶っていうのもおかしいんだけど…今の私以外の記憶が、私の中にある気がするの」

「記憶ですか?」

「確かな記憶とかじゃないのよ。ほら、あの夢だったり、何かあなたと過ごしていて、懐かしい思いがしたりとかね。始めは気のせいじゃないかと思ったんだけど…」

あとね、今思えば、あなたの心臓が、私のせいで止まったあの時…

私を、何かが突き動かしていたように思うの。それは、罪悪感や、患者の死の恐怖からだけじゃない…

何かが、私の中の何かが、あなたを救いたいと懸命に願っていた

チェヨンはウンスの話を、黙って頷きながら、神妙な面持ちで、受け止めていったのだ

「そもそも、私の住んでいる現代では、タイムトラベル何て、実際はあり得ない事なの。物語の中ではあるけれど、現実には否定されているわ

それが、私がこうやって600年も過去に、時空を超えてくること自体が、説明が出来ないような、とっても不思議な現象なのよ…それでね、実は今までずっと言えなかった事があるの」

ウンスは言葉を濁すように、消え入りそうな小さな声で言う

何です?と目線で問う
黙りこくってしまったウンス

チェヨンは口を細めてぎゅっとつぶり、見守るような、優しい笑みを浮かべる。自分からは、何も問うことなく、そのままじっとウンスの言葉を待ち続けた

「あなたと婚儀を迎えても、まだ不安で言えなかった事があって…でも、ずっと気になっていたことなの。いつかはちゃんと言わなくてはいけないって思っていて…

ヨンァ、あなたのね、崔瑩 将軍のね、奥さんになった人の名前って、”ユ氏”っていうのよ。天界でもそう記録が残っているの」

「ユ氏ですか?」

「そう、ユ氏。ヨンァ、私の名前は?」

イムジャの名前?
ユ・ウンス…

チェヨンは、アッと小さく声をあげて、その口が開いたままになった

「そう、私は、ユ・ウンス…ユ氏」

ウンスはそういうと、薄笑いを浮かべて…また大きくため息を落とした

「何か、私とあなたが一緒になったのって、単なる愛だ恋だっていう、簡単な話じゃない気がするのよ

ただでさえ600年という時空を超えて、私があなたの傍に…ここにいる事を天が許したわけでしょ

おまけに、私の前に、時空を先に越えた未来の私が存在した…私にはっきりとしたその記憶はないの。だから、もしかしたら、それ以外にも、時空を飛び越えた可能性もある」

未来の私、知っているわよね?
とウンスがチェヨンを見る

「はい、俺やワンビママを助けてくれた、未来のイムジャですね?」

「ええ、そう…。未来の私。未来の私も、同じように天界からここ高麗に来て、ヨンァあなたと時を過ごしたのよ。そして、これも私と同じように、たぶん100年前の世界に飛ばされてしまった」

ウンスは今まで、何度も何度も、考えていた。あの”未来の私”は、今の私自身なのだろうか。それとも、また違った次元にいる私なのだろうか

今、未来の私はどうしているのだろうか

過去に飛ばされてた時も、ここ最近でも、頭がこんがらがるくらい、何度も考えた。でも、その答えが、今まではっきりと出たことはなかった

ただ、一つだけはっきりと思う事がある

私たちの常識だと、タイムトラベルをした者は、歴史の改ざんをする事を許されないはず

改ざんは歪みを生み出し、結局は元の歴史に戻るのが、タイムスリップドラマの常

だけど、”未来の私”が綴ったその時空旅行において、天は一度誤った歴史を、再び書き換える事を許したのだ

未来の私が、手紙を残す事で、間違いなく歴史は大きく変わったはず

亡くなるはずだったワンビママは、ご無事で。チョナもご自分を失う事はなかった。ヨンァこの人も…あれて荒む事もない

そして、ユ氏が、崔瑩将軍の妻になる事は、現代では史実として残っていた。とても奥さんを愛したって有名だもの

つまりは、すべては織り込み済みだったのではないだろうか

私とヨンァが、こうして結ばれる事が、もともと天が定めた縁だったのではないかと思うのだ

歴史を未来の私が書きかえる事も含めて、すべてが織り込み済みだったのかもと…

そうなると、私とこの人の間には、何か特別な縁を感じずにはいられない

全てが私たちがこうして一つになるための、過程に過ぎなかったとすら思う

だって…
あの神話…

「ヨンァ、まだあるの。驚かないでね。1000年前に華佗が天門をくぐり、天界に昇ったという伝説があったわけじゃない?

だけど、私が過去に行ったのはたぶんきっと、この高麗より100年くらいかな…そのくらい前に戻った程度なの

私が華佗なのだと思っていたから、最初は、誤った情報が伝わったのだと思ったわ。でも…でも…私…」

ウンスはそういうと、突然、青ざめガタガタと震えだした

「イムジャ、どうしたのだ!」

チェヨンが、驚いて声を張り上げる

「ごめんなさい…私、少し怖くなっただけ…。大丈夫よ」

ウンスの言葉と共に吐きだす息が、小さく震えを帯びていた

チェヨンはウンスをもっと近くに抱きよせると、ウンスの体をくるりと回して、その背から包み込むように抱きしめた

「今日ね、王宮の書庫にたまたま行くことがあって。違う書物を取ろうとして、棚から落ちてきた書物が、ある神話だったの

私もね、過去にいる間に、漢文もだいぶ読めるようになったのよ。お世話になっていた方が、とても博識な方だったから。勉強も頑張ったのよ私」

ウンスは心配するチェヨンを安心させようと、おどけた様にくすりと笑う

何かしてないと不安で、心が押しつぶされそうで…私は、必死で漢字を覚えたのよね

「でね、私が見た神話は、1000年以上前の話でね、悲しい恋の物語だったの。ヨンァ、聞いてくれる?」

チェヨンは相変わらず心配そうにウンスを見つめて、小さくコクコクと頷いたのだ

私が見たのはこんな神話なの

当時の王は、女や酒に溺れていた。国をかえりみる事などなく、国政は乱れて、荒れすさんでいた

しかし、力や金に物を言わせて、隣国の公主を半ば人質のような形で、妻として迎える事になる

その、公主の名前は、ユシュウ姫

そして、これは、近衛隊長のチェ将軍との、悲しい愛の物語なの

チェ将軍がまだ若い頃

その狂った王は、チェ将軍の仲間の女隊員を辱しめた事があった

そして、それをかばい、チェ将軍の師は、王の刃にかかり無残にも命を落とした

その後も、チェ将軍は、亡き師の言いつけを守って、王宮で近衛隊長として過ごしていた

王の妻となるユシュウ姫に、挨拶をしようと庭に出たチェ将軍。庭で儚げに過ごしていた公主の姿に目を奪われてしまう

二人は互いに深く、深く見つめあい、微笑みあったの

言葉なんか交わさなくても、魂の片割れは互いを強く求めたのよ

ある日、ユシュウ姫も女隊員と同じように、重臣が居並ぶ中で、辱しめを受けた

チェ将軍はその事を目撃してしまって…過去の記憶が頭をよぎり、すごく葛藤するの

男たちの慰み者にされる事に耐えきれなくなった、ユシュウ姫は命を断とうとして…

チェ将軍が、それを身を呈して止めた

逃げようとしたユシュウ姫に魔の手が迫り、ユシュウ姫は想いを伝え、チェ将軍の腕の中で命を落とした

ユシュウ姫は、亡くなる死の直前、こう言い残したそうよ

「わたくしの魂は、永遠にあなたを想い、待ち続けるでしょう。チェ将軍…いつの日か必ずや、あなたのお傍に…

しかし、わたくしは覚えていられぬかもしれぬ。さすればチェ将軍、そなたが、わたくしを探してくださりませぬか…?」

そう言い残すと、ユシュウ姫の魂は、天の門くぐってそのまま空高く昇っていった

チェ将軍はその後、王宮からひっそりと姿を消したそうよ

「まさか!何ですか。その話は…それは…それは…」

チェヨンも、その話に驚きを隠せず、それ以上の言葉を、口にする事が出来なかった

「そうなの。私、この神話を今日、書庫で見てしまってすごく驚いて…でも、とても他人事とは思えなくて…

そしてね、この話は1000年以上前の話だそうよ。神話って事になっているから、これが実話かどうかは分からない

華佗については、きっと、1000年前に天門をくぐったとされるユシュウ姫と、 100年前に天門をくぐった私が、混同され間違えて伝わったんじゃないかしら

私が最初にみた、あの形見の品は、きっと1000年も昔のものじゃない。私が、100年前に残していった物のはず

何より、この神話の近衛隊長の名前は、チェ将軍なのよ。そして公主の名前は、ユ・シュウ姫。ユ氏…」

チェヨンもその話に心臓がドクンと鼓動し、胸が押しつぶされそうに苦しくなる。未知の何かへの畏怖の念を感じて、小さく手が震えだす

「私ずっと考えていたことがあって。天門はね、きっと、惹かれあう魂を持つ者だけが、そこ通る事が出来る道なのよ

単なる時空旅行をするためだけの、門じゃない気がするの

魂の片割れを探すため、時空をも飛び越えることが出来る

多分だけど、あの門は、本来一つになるべき、魂と魂を結び付けてくれる門。私、そんな気がしてならないの…

後ね、これは、仮説よ、私がただ勝手に思った事

あの門は魂を結びつけるための、いくつかの役割を果たしている

1つ目は
本来あるべき場所に戻す役割

2つ目は
強く求めあう者達を結びつける役割

私が、この過去から、天門をくぐると、いつも私が元いた、ソウルという場所に必ず送られるの

キチョルに無理やり入れられた時もそう。今より、もっと過去からここに戻ってきた時もそう

必ず、”ソウルという元居た場所”を、一度は経由するの

そして、時間軸もたぶんほとんど変わっていない。時間がそこを立った時と、ほとんど動いていないのよ

あなたもそうでしょ?私を攫った時、戻ってきた時はどんなだった?」

「多分、ほとんど、時は過ぎておりません。あいつらが、そのまま、あの場所で待っておりましたので」

「そうなのよ、たぶん天門は、”その魂が、本来あるべき場所と、時に戻す”という働きを持っていると思うの

後は、もう1つ。”強く求めあう者達を結びつける”役割ね

これも、あくまで仮説なんだけど、基本的には、何でもない時空に、突然行くことはできない

多分、私が、一番最初、あなたに攫われた時、ソウルから、ここ高麗に来れたのは、あなたが私を強く求めてくれたから

もしくは、1つ目の役割である、”本来あるべき場所に戻す役割”が、あなたに作用して、私も一緒について来ることができた

そして、あなたがキチョルの氷攻にかかってしまった時、私は天界からここに戻って来ようとした

だけど、私はここに、あなたの元には戻ってくることはできなかった

それは、1つ目と、2つ目の条件に当てはまらなかったからだと思うの

あの時の、1351年は私が元々、存在していた場所ではないじゃない。私は異分子でしょ?

そして、あなたはあの時、氷攻にかかり生死を彷徨っていたわけでしょ?私をここに呼び戻すための強い力が、あの時のあなたになかった

そして、私が何故、100年前に飛ばされたのか、私、気づいてしまった事があって…

この神話ね…
350年頃の話のようなの

華佗が1000年以上前に天に上った後、どのくらいおきに弟子が、地上に降りてくるか覚えてる?

「華佗は300年に一度、 弟子をこの世に遣わせるのです」

「この神話が350年の話で、あなたと出会ったあの年が1351年、私が飛ばされた時代が1251年とすると分かる?」

300年ごとに天門が、いくべき道を指し示すとすると…

300年×3=900年

350年の900年後は、1250年

そう、あの私が飛ばされた、ほぼあの年にあたる事になる

私は、天門にもう1つの役割が加わるのではないかと思う

1つ目は
本来あるべき場所に戻す役割

2つ目は
強く求めあう者達を結びつける役割

3つ目は
魂が別ちあった時より、300年毎に再び一つになる”強い機会”を与える役割

3つ目の”強い機会”は、過ちを正し、歴史を変える事すらも許されてしまうくらいの、強い力を持っているんじゃないかしら

私は、偶然1251年に飛ばされたのではない。きっとそれは私とヨンァが再会するための必然で、不可欠だったのではないだろうか

「350年頃に、ユシュウ姫とやらが亡くなり、そこから900年後というと、1251年。イムジャが飛ばされてしまった古い過去ですね?」

「そうなの、私はあの時、条件の1つ目も、2つ目も満たせなかった。だから、私が行ける場所は、1251年だったのだと思う。

でも、それはね、天門が与えてくれた、最大の機会だったと思うの。天門は想いを別つのではなく、結びつけるためにあるとするとね」

私はその、機会により過ちを正し、一度辿ってしまった歴史を改ざんすることが出来た

1000年前に華佗という人がいた。その人の弟子が、300年毎に天界から地上に降りてくる

もしかして、私は…何度もタイムトラベルをしたのではないだろうか

”未来の私”の時空旅行の記憶が私にはない

きっとそれは、記憶があったら、”今を生きること”が出来ないから…

だから、過去の時空旅行の記憶なんて、あるはずがない

おそらくだけど、1000年前に華佗がいたのではない

1251年、951年、651年の300年毎に、医者の私が、過去にも天門をくぐり、タイムトラベルをした

そして1000年前の、351年に天に上ったとされるユシュウ姫

そのユシュウ姫が華佗だと、そして、300年毎に天門を通過した私が、その華佗の弟子だと…

後からあてがわれた話じゃないかしら

こんな長い時空旅行の話を、ヨンァにしたら…きっと苦しい思いをさせちゃうわね

すべては憶測でしかない。この事は私だけの胸に秘めておこう

「では、イムジャがまた、ここに、俺の元に戻ってこれたのは?」

「それは、ヨンァが私を強く求めてくれて、私も強くここに戻って来たいと願ったから…多分2つ目の条件を満たしたのよ

ちょうど1000年前に、ユシュウ姫とチェ将軍の魂は離ればなれになる。書物の中に、その名前を見ただけでも、背筋が凍りついた

ユシュウ姫の魂は、天の門をくぐり天に上る。そして、300年毎に訪れる、天門の特別な役割。350年から起算して、私が飛ばされた1251年は、ほぼ900年後

これが単なる偶然という言葉だけで、片付ける事ができるはずがない。すべての事象には何かしらの理由がある。私が今ここにいる事にも、ちゃんと理由があるはずなのよ

太陽の黒点の爆発で、ある程度の周期で天門は開いてきたはず。なのに、そこを通れた人の話があまりに少なすぎる

あれから色々調べてみたけど、華佗の弟子が天門より送られたという話以外、なぜか人がそこを通ったという話を聞かない

それは、限られた魂を持つごく一部の者のみが、その片割れを探すためだけに存在するからではないかと思うの」

ウンスは、チェヨンにそう語りながら、感極まって、眸から涙がこぼれ落ちてきてしまう

ウンスの震えを押さえるように、チェヨンは、想いを込めウンスの体をまた強く抱き締めた

「馬鹿みたいだと思うでしょ。私、チェ将軍と、ユシュウ姫の話が、何だかあなたと自分の事のように思うの」

本来一つになるべきだったチェ将軍と、ユシュウ姫の2人の魂。離れた片らはお互いを探して、時を旅する

輪廻転生を繰り返し、時がふたりを割き、その姿や形が変わっても、また一つになるべく求め続ける

生きとし生けるこの世で、訪れる死が二人を引き離しても、また輪廻を繰り返し、再びめぐり合うそんな永遠に続いて行く愛

そうして、出逢い、愛を確かめ合えた時、やっと結ばれた魂は、どんな事が待ち受けていようとも、離れる事はない強い絆で結ばれるのではないか

天門という未知の力の存在が、それを可能にしてくれる

だから、天門は一つになるべき魂を、結び付けてくれるためだけに、この世に存在する門なのではないかと私は思うのだ

もし、私がそのユシュウ姫で、ヨンァがチェ将軍の生まれ変わりなら、私たちの魂は1000年、1500年と、想像を絶するような長い月日を辿り、時空を越え、今ここにやっと一つに結ばれた事になる

今、ここに、チェヨンと共に過ごせる幸せに、とても大きなものを感じて、ウンスは息がつまりそうになる

ウンスは身を離し、チェヨンの正面に自分の身を置く。そして、チェヨンの手を、包み込むように想いを籠め握りしめる

「ヨンァ、私の手をずっと離さないでね」

今度は、チェヨンが、ウンスの肩をそっとつかみ引き寄せると、

「ウンス、俺はあなたをずっと離さぬ」

チェヨンはウンスを抱き込み、額に口づけを落とし誓いをこめた

死が二人を別ちあっても、輪廻を繰り返し、また俺はあなたを見つけ出し、攫いにいくだろう

そして、再びめぐり合い、どんなにあなたを嫌がろうと、俺はこの腕にあなたを繋ぎ止めよう

チェヨンはフッと小さく笑うと
抱きしめるその手に力をこめる

二人は、離れた魂が一つになるかのように、互いに強く抱きしめあった



死が二人を別ちあっても続く愛の形でした、ポチッとクリックの協力宜しくお願いいたします。




にほんブログ村