こんばんは、りおです

今日のお話に出てくる、チェ将軍と、ユシュウ姫ですが、キムヒソンさんの「神話」に出てきた実際の登場人物です。二人はそのお話の中でも、結婚を言い交した仲でした

時空を越えた愛の考察 で今日のお話で登場する「神話」部分の二次動画が見れます。まだ見てない方は、一度みてみてくださいね

今日のお話は、先日の2次動画と、ままちゃんの考察をもとにした、完全なフィクションです。でも私なりの、天門考察が含まれています

あと、このお話を描くにあたり、読者のままちゃんから頂いた、「時空を越えた愛」の素敵な考察の一文もいくつか使わせて頂いております

ままちゃんありがとうございましたラブラブ!

全文を、掲載させて頂きたいと思います。よかったらご覧ください

「時空を超える愛」 
(ライターままちゃん)

ヨンとウンス。元は一つの魂だったんじゃないかな。それが男と女という二つの片らに別れてしまった。離れた片らはお互いを探して、時を旅する。輪廻転生を繰り返し、時間がふたりを割いても、その姿、形がが変わっても、また一つになるべく求め、触れ合い愛を確かめ合う。

それは運命なのか、宿命なのか、いや、ただ元のかたちになる為の必然なのではないでしょうか。どんなにふたりの間に他人が入り込んでも、時がふたりを隔てても、一度目が合えば、心の深いところで共鳴する。現実の世界のしがらみやそれぞれの抱える思いが高い壁となってふたりを邪魔しても、求めずにはいられなくなる。

そうして、出逢い、愛を確かめ合えた時、ふたりはもうどんな事が待ち受けていようとも、離れる事はない強い絆で結ばれるのでしょう。生きとし生けるこの世に生を受けたふたりに訪れる死がふたりを離しても、また輪廻を繰り返し、再びめぐり合うそんな永遠に続いて行く愛。ヨンとウンスを見ていると、そんな世界があってもいいんじゃないかなと思えてきます。



本日のテーマ写真:

未来永劫あなたを愛し続けます


「あ…あなたお帰りなさい」

「イムジャ、どうしたのです!こんな暗闇の中、明かりもつけずに」

チェヨンが屋敷に帰ると、ウンスが暗い部屋の中、椅子にぐったりと、もたれ掛っていた

その光景に驚いたチェヨンは、鬼剣を投げ捨て駆け寄ると、ウンスの肩を掴みあげた

「あ、ごめんなさい。私は大丈夫よ…ちょっと考えすぎちゃって」

チェヨンの気迫に少し驚く。チェヨンの顔をじっと見上げて、ウンス薄らと微笑みかけた

「本当に大丈夫なのですか?イムジャ、何かあったのですね?」

迂闊だったわ、もう少し遅く帰ってくると思ったのに。見つかってしまったわね…

ウンスは、はぁ~とため息を大きくつくと、何かを思いつめたような表情で、チェヨンにこう言ったのだ

「ねぇ、ヨンァ、隣に座ってくれる?あなたに、もたれ掛りたくて」

力なくそう言ったウンスを心配そうに見下げると、その横に座り、チェヨンは肩をやさしく抱きしめた

そうしてしばらく二人で過ごしていた

その間、チェヨンはウンスの肩を落ち着かせるように、ポン、ポンと優しく叩く

チェヨンの体温で、寒く震えた体が温まる。ウンスの心は徐々に、落ち着きを取り戻していった

話さないわけにはいかないか。覚悟を決めたウンスは、言葉を小さく落とし始めた

「ヨンァ、変だって思わないでね。私たちって、もっとずっと前に会ったことはない?」

こんな事いったら変に思われるよね
そんな馬鹿な話…

突然のウンスの言葉に、チェヨンは目を大きくして驚いた

「そうよね、びっくりするわよね。そんなわけないって…」

「イムジャ、今何と?いや…まさか、イムジャも同じように思っておったとは」

「えっ」

「俺も実は…そのように思った事が、幾度もありました」

そのチェヨンの言葉に、今度はウンスが驚き、ハッと口に手をあてる

「やだ…嘘でしょ」

「俺は、天界でイムジャを攫った時、どこか懐かしい、華のような香りがしたのだ

何故か、イムジャを見た途端、心がざわざわと騒ぎ出して、俺はイムジャしか目に入らなかった

あの時、あの建物の中には、たくさんの医員が、あの場所におったのだろう?

だが、俺は、その道を知っておるかのように、何の迷いもなく、あの部屋に入っていたんだ」

二人は顔を見合わせて、何度もパチパチと瞬きをする。互いに驚き顔で、見つめあった

「あなた覚えている?私が、嫌な夢を見たって話?」

「あの手帳が関係してるのではと、気にかけておった夢ですね?」

「うん、そう。私、何て言えばいいのかしら、過去の記憶っていうのもおかしいんだけど…今の私以外の記憶が、私の中にある気がするの」

「記憶ですか?」

「確かな記憶とかじゃないのよ。ほら、あの夢だったり、何かあなたと過ごしていて、懐かしい思いがしたりとかね。始めは気のせいじゃないかと思ったんだけど…」

あとね、今思えば、あなたの心臓が、私のせいで止まったあの時…

私を、何かが突き動かしていたように思うの。それは、罪悪感や、患者の死の恐怖からだけじゃない…

何かが、私の中の何かが、あなたを救いたいと懸命に願っていた

チェヨンはウンスの話を、黙って頷きながら、神妙な面持ちで、受け止めていったのだ

「そもそも、私の住んでいる現代では、タイムトラベル何て、実際はあり得ない事なの。物語の中ではあるけれど、現実には否定されているわ

それが、私がこうやって600年も過去に、時空を超えてくること自体が、説明が出来ないような、とっても不思議な現象なのよ…それでね、実は今までずっと言えなかった事があるの」

ウンスは言葉を濁すように、消え入りそうな小さな声で言う

何です?と目線で問う
黙りこくってしまったウンス

チェヨンは口を細めてぎゅっとつぶり、見守るような、優しい笑みを浮かべる。自分からは、何も問うことなく、そのままじっとウンスの言葉を待ち続けた

「あなたと婚儀を迎えても、まだ不安で言えなかった事があって…でも、ずっと気になっていたことなの。いつかはちゃんと言わなくてはいけないって思っていて…

ヨンァ、あなたのね、崔瑩 将軍のね、奥さんになった人の名前って、”ユ氏”っていうのよ。天界でもそう記録が残っているの」

「ユ氏ですか?」

「そう、ユ氏。ヨンァ、私の名前は?」

イムジャの名前?
ユ・ウンス…

チェヨンは、アッと小さく声をあげて、その口が開いたままになった

「そう、私は、ユ・ウンス…ユ氏」

ウンスはそういうと、薄笑いを浮かべて…また大きくため息を落とした

「何か、私とあなたが一緒になったのって、単なる愛だ恋だっていう、簡単な話じゃない気がするのよ

ただでさえ600年という時空を超えて、私があなたの傍に…ここにいる事を天が許したわけでしょ

おまけに、私の前に、時空を先に越えた未来の私が存在した…私にはっきりとしたその記憶はないの。だから、もしかしたら、それ以外にも、時空を飛び越えた可能性もある」

未来の私、知っているわよね?
とウンスがチェヨンを見る

「はい、俺やワンビママを助けてくれた、未来のイムジャですね?」

「ええ、そう…。未来の私。未来の私も、同じように天界からここ高麗に来て、ヨンァあなたと時を過ごしたのよ。そして、これも私と同じように、たぶん100年前の世界に飛ばされてしまった」

ウンスは今まで、何度も何度も、考えていた。あの”未来の私”は、今の私自身なのだろうか。それとも、また違った次元にいる私なのだろうか

今、未来の私はどうしているのだろうか

過去に飛ばされてた時も、ここ最近でも、頭がこんがらがるくらい、何度も考えた。でも、その答えが、今まではっきりと出たことはなかった

ただ、一つだけはっきりと思う事がある

私たちの常識だと、タイムトラベルをした者は、歴史の改ざんをする事を許されないはず

改ざんは歪みを生み出し、結局は元の歴史に戻るのが、タイムスリップドラマの常

だけど、”未来の私”が綴ったその時空旅行において、天は一度誤った歴史を、再び書き換える事を許したのだ

未来の私が、手紙を残す事で、間違いなく歴史は大きく変わったはず

亡くなるはずだったワンビママは、ご無事で。チョナもご自分を失う事はなかった。ヨンァこの人も…あれて荒む事もない

そして、ユ氏が、崔瑩将軍の妻になる事は、現代では史実として残っていた。とても奥さんを愛したって有名だもの

つまりは、すべては織り込み済みだったのではないだろうか

私とヨンァが、こうして結ばれる事が、もともと天が定めた縁だったのではないかと思うのだ

歴史を未来の私が書きかえる事も含めて、すべてが織り込み済みだったのかもと…

そうなると、私とこの人の間には、何か特別な縁を感じずにはいられない

全てが私たちがこうして一つになるための、過程に過ぎなかったとすら思う

だって…
あの神話…

「ヨンァ、まだあるの。驚かないでね。1000年前に華佗が天門をくぐり、天界に昇ったという伝説があったわけじゃない?

だけど、私が過去に行ったのはたぶんきっと、この高麗より100年くらいかな…そのくらい前に戻った程度なの

私が華佗なのだと思っていたから、最初は、誤った情報が伝わったのだと思ったわ。でも…でも…私…」

ウンスはそういうと、突然、青ざめガタガタと震えだした

「イムジャ、どうしたのだ!」

チェヨンが、驚いて声を張り上げる

「ごめんなさい…私、少し怖くなっただけ…。大丈夫よ」

ウンスの言葉と共に吐きだす息が、小さく震えを帯びていた

チェヨンはウンスをもっと近くに抱きよせると、ウンスの体をくるりと回して、その背から包み込むように抱きしめた

「今日ね、王宮の書庫にたまたま行くことがあって。違う書物を取ろうとして、棚から落ちてきた書物が、ある神話だったの

私もね、過去にいる間に、漢文もだいぶ読めるようになったのよ。お世話になっていた方が、とても博識な方だったから。勉強も頑張ったのよ私」

ウンスは心配するチェヨンを安心させようと、おどけた様にくすりと笑う

何かしてないと不安で、心が押しつぶされそうで…私は、必死で漢字を覚えたのよね

「でね、私が見た神話は、1000年以上前の話でね、悲しい恋の物語だったの。ヨンァ、聞いてくれる?」

チェヨンは相変わらず心配そうにウンスを見つめて、小さくコクコクと頷いたのだ

私が見たのはこんな神話なの

当時の王は、女や酒に溺れていた。国をかえりみる事などなく、国政は乱れて、荒れすさんでいた

しかし、力や金に物を言わせて、隣国の公主を半ば人質のような形で、妻として迎える事になる

その、公主の名前は、ユシュウ姫

そして、これは、近衛隊長のチェ将軍との、悲しい愛の物語なの

チェ将軍がまだ若い頃

その狂った王は、チェ将軍の仲間の女隊員を辱しめた事があった

そして、それをかばい、チェ将軍の師は、王の刃にかかり無残にも命を落とした

その後も、チェ将軍は、亡き師の言いつけを守って、王宮で近衛隊長として過ごしていた

王の妻となるユシュウ姫に、挨拶をしようと庭に出たチェ将軍。庭で儚げに過ごしていた公主の姿に目を奪われてしまう

二人は互いに深く、深く見つめあい、微笑みあったの

言葉なんか交わさなくても、魂の片割れは互いを強く求めたのよ

ある日、ユシュウ姫も女隊員と同じように、重臣が居並ぶ中で、辱しめを受けた

チェ将軍はその事を目撃してしまって…過去の記憶が頭をよぎり、すごく葛藤するの

男たちの慰み者にされる事に耐えきれなくなった、ユシュウ姫は命を断とうとして…

チェ将軍が、それを身を呈して止めた

逃げようとしたユシュウ姫に魔の手が迫り、ユシュウ姫は想いを伝え、チェ将軍の腕の中で命を落とした

ユシュウ姫は、亡くなる死の直前、こう言い残したそうよ

「わたくしの魂は、永遠にあなたを想い、待ち続けるでしょう。チェ将軍…いつの日か必ずや、あなたのお傍に…

しかし、わたくしは覚えていられぬかもしれぬ。さすればチェ将軍、そなたが、わたくしを探してくださりませぬか…?」

そう言い残すと、ユシュウ姫の魂は、天の門くぐってそのまま空高く昇っていった

チェ将軍はその後、王宮からひっそりと姿を消したそうよ

「まさか!何ですか。その話は…それは…それは…」

チェヨンも、その話に驚きを隠せず、それ以上の言葉を、口にする事が出来なかった

「そうなの。私、この神話を今日、書庫で見てしまってすごく驚いて…でも、とても他人事とは思えなくて…

そしてね、この話は1000年以上前の話だそうよ。神話って事になっているから、これが実話かどうかは分からない

華佗については、きっと、1000年前に天門をくぐったとされるユシュウ姫と、 100年前に天門をくぐった私が、混同され間違えて伝わったんじゃないかしら

私が最初にみた、あの形見の品は、きっと1000年も昔のものじゃない。私が、100年前に残していった物のはず

何より、この神話の近衛隊長の名前は、チェ将軍なのよ。そして公主の名前は、ユ・シュウ姫。ユ氏…」

チェヨンもその話に心臓がドクンと鼓動し、胸が押しつぶされそうに苦しくなる。未知の何かへの畏怖の念を感じて、小さく手が震えだす

「私ずっと考えていたことがあって。天門はね、きっと、惹かれあう魂を持つ者だけが、そこ通る事が出来る道なのよ

単なる時空旅行をするためだけの、門じゃない気がするの

魂の片割れを探すため、時空をも飛び越えることが出来る

多分だけど、あの門は、本来一つになるべき、魂と魂を結び付けてくれる門。私、そんな気がしてならないの…

後ね、これは、仮説よ、私がただ勝手に思った事

あの門は魂を結びつけるための、いくつかの役割を果たしている

1つ目は
本来あるべき場所に戻す役割

2つ目は
強く求めあう者達を結びつける役割

私が、この過去から、天門をくぐると、いつも私が元いた、ソウルという場所に必ず送られるの

キチョルに無理やり入れられた時もそう。今より、もっと過去からここに戻ってきた時もそう

必ず、”ソウルという元居た場所”を、一度は経由するの

そして、時間軸もたぶんほとんど変わっていない。時間がそこを立った時と、ほとんど動いていないのよ

あなたもそうでしょ?私を攫った時、戻ってきた時はどんなだった?」

「多分、ほとんど、時は過ぎておりません。あいつらが、そのまま、あの場所で待っておりましたので」

「そうなのよ、たぶん天門は、”その魂が、本来あるべき場所と、時に戻す”という働きを持っていると思うの

後は、もう1つ。”強く求めあう者達を結びつける”役割ね

これも、あくまで仮説なんだけど、基本的には、何でもない時空に、突然行くことはできない

多分、私が、一番最初、あなたに攫われた時、ソウルから、ここ高麗に来れたのは、あなたが私を強く求めてくれたから

もしくは、1つ目の役割である、”本来あるべき場所に戻す役割”が、あなたに作用して、私も一緒について来ることができた

そして、あなたがキチョルの氷攻にかかってしまった時、私は天界からここに戻って来ようとした

だけど、私はここに、あなたの元には戻ってくることはできなかった

それは、1つ目と、2つ目の条件に当てはまらなかったからだと思うの

あの時の、1351年は私が元々、存在していた場所ではないじゃない。私は異分子でしょ?

そして、あなたはあの時、氷攻にかかり生死を彷徨っていたわけでしょ?私をここに呼び戻すための強い力が、あの時のあなたになかった

そして、私が何故、100年前に飛ばされたのか、私、気づいてしまった事があって…

この神話ね…
350年頃の話のようなの

華佗が1000年以上前に天に上った後、どのくらいおきに弟子が、地上に降りてくるか覚えてる?

「華佗は300年に一度、 弟子をこの世に遣わせるのです」

「この神話が350年の話で、あなたと出会ったあの年が1351年、私が飛ばされた時代が1251年とすると分かる?」

300年ごとに天門が、いくべき道を指し示すとすると…

300年×3=900年

350年の900年後は、1250年

そう、あの私が飛ばされた、ほぼあの年にあたる事になる

私は、天門にもう1つの役割が加わるのではないかと思う

1つ目は
本来あるべき場所に戻す役割

2つ目は
強く求めあう者達を結びつける役割

3つ目は
魂が別ちあった時より、300年毎に再び一つになる”強い機会”を与える役割

3つ目の”強い機会”は、過ちを正し、歴史を変える事すらも許されてしまうくらいの、強い力を持っているんじゃないかしら

私は、偶然1251年に飛ばされたのではない。きっとそれは私とヨンァが再会するための必然で、不可欠だったのではないだろうか

「350年頃に、ユシュウ姫とやらが亡くなり、そこから900年後というと、1251年。イムジャが飛ばされてしまった古い過去ですね?」

「そうなの、私はあの時、条件の1つ目も、2つ目も満たせなかった。だから、私が行ける場所は、1251年だったのだと思う。

でも、それはね、天門が与えてくれた、最大の機会だったと思うの。天門は想いを別つのではなく、結びつけるためにあるとするとね」

私はその、機会により過ちを正し、一度辿ってしまった歴史を改ざんすることが出来た

1000年前に華佗という人がいた。その人の弟子が、300年毎に天界から地上に降りてくる

もしかして、私は…何度もタイムトラベルをしたのではないだろうか

”未来の私”の時空旅行の記憶が私にはない

きっとそれは、記憶があったら、”今を生きること”が出来ないから…

だから、過去の時空旅行の記憶なんて、あるはずがない

おそらくだけど、1000年前に華佗がいたのではない

1251年、951年、651年の300年毎に、医者の私が、過去にも天門をくぐり、タイムトラベルをした

そして1000年前の、351年に天に上ったとされるユシュウ姫

そのユシュウ姫が華佗だと、そして、300年毎に天門を通過した私が、その華佗の弟子だと…

後からあてがわれた話じゃないかしら

こんな長い時空旅行の話を、ヨンァにしたら…きっと苦しい思いをさせちゃうわね

すべては憶測でしかない。この事は私だけの胸に秘めておこう

「では、イムジャがまた、ここに、俺の元に戻ってこれたのは?」

「それは、ヨンァが私を強く求めてくれて、私も強くここに戻って来たいと願ったから…多分2つ目の条件を満たしたのよ

ちょうど1000年前に、ユシュウ姫とチェ将軍の魂は離ればなれになる。書物の中に、その名前を見ただけでも、背筋が凍りついた

ユシュウ姫の魂は、天の門をくぐり天に上る。そして、300年毎に訪れる、天門の特別な役割。350年から起算して、私が飛ばされた1251年は、ほぼ900年後

これが単なる偶然という言葉だけで、片付ける事ができるはずがない。すべての事象には何かしらの理由がある。私が今ここにいる事にも、ちゃんと理由があるはずなのよ

太陽の黒点の爆発で、ある程度の周期で天門は開いてきたはず。なのに、そこを通れた人の話があまりに少なすぎる

あれから色々調べてみたけど、華佗の弟子が天門より送られたという話以外、なぜか人がそこを通ったという話を聞かない

それは、限られた魂を持つごく一部の者のみが、その片割れを探すためだけに存在するからではないかと思うの」

ウンスは、チェヨンにそう語りながら、感極まって、眸から涙がこぼれ落ちてきてしまう

ウンスの震えを押さえるように、チェヨンは、想いを込めウンスの体をまた強く抱き締めた

「馬鹿みたいだと思うでしょ。私、チェ将軍と、ユシュウ姫の話が、何だかあなたと自分の事のように思うの」

本来一つになるべきだったチェ将軍と、ユシュウ姫の2人の魂。離れた片らはお互いを探して、時を旅する

輪廻転生を繰り返し、時がふたりを割き、その姿や形が変わっても、また一つになるべく求め続ける

生きとし生けるこの世で、訪れる死が二人を引き離しても、また輪廻を繰り返し、再びめぐり合うそんな永遠に続いて行く愛

そうして、出逢い、愛を確かめ合えた時、やっと結ばれた魂は、どんな事が待ち受けていようとも、離れる事はない強い絆で結ばれるのではないか

天門という未知の力の存在が、それを可能にしてくれる

だから、天門は一つになるべき魂を、結び付けてくれるためだけに、この世に存在する門なのではないかと私は思うのだ

もし、私がそのユシュウ姫で、ヨンァがチェ将軍の生まれ変わりなら、私たちの魂は1000年、1500年と、想像を絶するような長い月日を辿り、時空を越え、今ここにやっと一つに結ばれた事になる

今、ここに、チェヨンと共に過ごせる幸せに、とても大きなものを感じて、ウンスは息がつまりそうになる

ウンスは身を離し、チェヨンの正面に自分の身を置く。そして、チェヨンの手を、包み込むように想いを籠め握りしめる

「ヨンァ、私の手をずっと離さないでね」

今度は、チェヨンが、ウンスの肩をそっとつかみ引き寄せると、

「ウンス、俺はあなたをずっと離さぬ」

チェヨンはウンスを抱き込み、額に口づけを落とし誓いをこめた

死が二人を別ちあっても、輪廻を繰り返し、また俺はあなたを見つけ出し、攫いにいくだろう

そして、再びめぐり合い、どんなにあなたを嫌がろうと、俺はこの腕にあなたを繋ぎ止めよう

チェヨンはフッと小さく笑うと
抱きしめるその手に力をこめる

二人は、離れた魂が一つになるかのように、互いに強く抱きしめあった



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